未 本編 -29-

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師匠シリーズ
以前cicciさんが更新してくださっていましたが、更新が止まってしまってしまったので、続きを代わりにアップさせていただきます。
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問題文

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(「このあたりはしょうがをやっていますか」)

「このあたりはショウガをやっていますか」

(「いんや。しょうがならとなりまちだなぁ」)

「いんや。ショウガなら隣町だなぁ」

(「むかしはやっていたんでしょうか。)

「昔はやっていたんでしょうか。

(ここに、かめがぶちのことをしょうがぶちとかいています」)

ここに、亀ヶ淵のことをショウガブチと書いています」

(「うん?」)

「うん?」

(だんせいはろうがんきょうのいちをなおしながらほんをのぞきこんだが、くびをひねっている。)

男性は老眼鏡の位置を直しながら本を覗き込んだが、首を捻っている。

(「あのためいけは、しょうがぶちなんてよびかた、しねえけどなあ」)

「あの溜め池は、ショウガブチなんて呼び方、しねえけどなあ」

(そういいながらちかくにいたしりあいのろうじんにほんをみせると、)

そう言いながら近くにいた知り合いの老人に本を見せると、

(やはりおなじようなこたえがかえってきた。)

やはり同じような答えが返ってきた。

(どうやらしょうがぶちというよびなはいっぱんてきではないようだ。)

どうやらショウガブチという呼び名は一般的ではないようだ。

(もしくはもうすたれたふるいなまえなのかもしれない。)

もしくはもう廃れた古い名前なのかも知れない。

(「ありがとうございました」)

「ありがとうございました」

(ししょうはおれいをいってほんをかかえると、ぼくにめくばせをした。)

師匠はお礼を言って本を抱えると、僕に目配せをした。

(ほかのほんもかたづけろ、といっているらしい。)

他の本も片付けろ、と言っているらしい。

(「もういいんですか」)

「もういいんですか」

(「うん」)

「うん」

(すたすたとあるきだしたししょうをおいかける。)

スタスタと歩き出した師匠を追いかける。

(「しょうがぶちでなにかわかったんですか」)

「ショウガブチでなにか分かったんですか」

(「たぶんな」)

「たぶんな」

(またじぶんひとりりかいしたというかおですましている。いいかげんじれったい。)

また自分一人理解したという顔ですましている。いい加減じれったい。

など

(「おしえてくださいよ」とくいさがると、やれやれとばかりに)

「教えてくださいよ」と食い下がると、やれやれとばかりに

(ためいきをつきながらししょうはゆびをたてた。)

溜め息をつきながら師匠は指を立てた。

(「かめというじのよみかたはいくつしってる?」)

「亀という字の読み方はいくつ知ってる?」

(かめがぶちの「かめ」のじか。)

亀ヶ淵の「亀」の字か。

(くんよみだと「かめ」。おんよみだと「き」。)

訓読みだと「カメ」。音読みだと「キ」。

(いくつというか、これくらいしかおもいつかない。)

いくつというか、これくらいしか思いつかない。

(ししょうはおおきなじてんをほんだなからとりだして、ぺらぺらとめくりはじめる。)

師匠は大きな辞典を本棚から取り出して、ペラペラと捲り始める。

(そしてかめというかんじについてかいてあるぺーじをひらいてみせた。)

そして亀という漢字について書いてあるページを開いて見せた。

(「ほかに、かめのてとかいてきんしゅとか、きんれつ、)

「他に、亀の手と書いて亀手(きんしゅ)とか、亀裂(きんれつ)、

(あとちゅうごくのせいいきしょこくのなかのきゅうしってくにもかめのじをあてているな。)

あと中国の西域諸国の中の亀茲(キュウシ)って国も亀の字をあてているな。

(それから「かがむ」のくつというじのかわりにかめのじをあてた)

それから「屈む」の屈(くつ)という字の代わりに亀の字をあてた

(「かがむ」なんてことばもあるな」)

「亀む(屈む)」なんて言葉もあるな」

(しらなかったが、いろいろあるものだ。)

知らなかったが、色々あるものだ。

(「じんめいだとばりえーしょんがおおいな。そういや、わたしのしんせきにも)

「人名だとバリエーションが多いな。そういや、わたしの親戚にも

(かめにつかさとかいてひさしってなまえのおっさんがいたな」)

亀に司と書いて亀司(ひさし)って名前のオッサンがいたな」

(しかぁし・・・・・)

しかぁし・・・・・

(ししょうはもういちどゆびをたててさゆうにふる。)

師匠はもう一度指を立てて左右に振る。

(「かめをしょうとよむれいはどこにもでていない」)

「亀をショウと読む例はどこにも出ていない」

(「はあ」)

「はあ」

(だからなんだというのだろう。)

だからなんだというのだろう。

(「まだわからないのか」)

「まだ分からないのか」

(「はあ」)

「はあ」

(ししょうはためいきをつきながらくびをふった。ものすごくばかにされているらしい。)

師匠は溜め息をつきながら首を振った。もの凄くバカにされているらしい。

(「いいか。よみかたがちがっているんじゃないんだ。)

「いいか。読み方が違っているんじゃないんだ。

(だったら、まちがっているのはかんじのほうだ」)

だったら、間違っているのは漢字の方だ」

(「かんじ、ですか」)

「漢字、ですか」

(えらそうにいわれても、だからどうした、というきがしてくる。)

偉そうに言われても、だからどうした、という気がしてくる。

(「と、というわけで、かいけつだ」)

「と、というわけで、解決だ」

(なにがかいけつなんだか。)

なにが解決なんだか。

(かりにちょすいちのなまえのなぞがとけたところで、なんのいみもない。)

仮に貯水池の名前の謎が解けたところで、なんの意味もない。

(そうおもっていると、ししょうはまんめんのえみでつづけた。)

そう思っていると、師匠は満面の笑みで続けた。

(「かんぬしのゆうれいのなぞは、とけたよ」)

「神主の幽霊の謎は、解けたよ」

(「はあぁ?」)

「はあぁ?」

(あぜんとしたぼくのかたをぽんぽんとたたいてししょうは、)

唖然とした僕の肩をぽんぽんと叩いて師匠は、

(「さあ、もうすこしつめをするぞ」といった。)

「さあ、もう少し詰めをするぞ」と言った。

(ぼくはわけのわからないまま、うながされてとにかくとしょかんをでた。)

僕はわけの分からないまま、うながされてとにかく図書館を出た。

(「はらへった。めしくおう」)

「腹減った。飯食おう」

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