未 本編 -45-

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師匠シリーズ
以前cicciさんが更新してくださっていましたが、更新が止まってしまってしまったので、続きを代わりにアップさせていただきます。
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順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 berry 7822 7.9 98.3% 423.5 3369 56 60 2025/11/29
2 Jyo 5825 A+ 6.0 97.0% 561.2 3371 102 60 2025/11/29

関連タイピング

問題文

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(「おまえのは、ただとおりみちだったというだけだ。あけむっつがはじまるから、)

「おまえのは、ただ通り道だったというだけだ。明け六つが始まるから、

(でていこうとしたんだよ。そのしんこうほうこうにすわっていたというただのふうんだ」)

出て行こうとしたんだよ。その進行方向に座っていたというただの不運だ」

(そうか。そういえば、なんというか、がいあくのようなものはかんじなかった。)

そうか。そう言えば、なんというか、害悪のようなものは感じなかった。

(では、そのじんぶつとはもうひとりしかいないじゃないか。)

では、その人物とはもう一人しかいないじゃないか。

(「ひぃぃ」)

「ひぃぃ」

(なきごえのようなひめいがあがる。かずおだ。かずおがうめきながらめのまえのくうかんを)

泣き声のような悲鳴が上がる。和雄だ。和雄が呻きながら目の前の空間を

(てではらうしぐさをしている。)

手で払う仕草をしている。

(そのしゅういにはむすうのかげがうごめいている。まるでむらがるように。)

その周囲には無数の影が蠢いている。まるで群がるように。

(「おまえだけだよ。おいかけられているのは」)

「おまえだけだよ。追いかけられているのは」

(かずおのすがたをみながら、つめたいこえでししょうはそういった。)

和雄の姿を見ながら、冷たい声で師匠はそう言った。

(「ろてんぶろでそうぐうしたとき、おまえはちかよってくるゆうれいからなんとか)

「露天風呂で遭遇したとき、おまえは近寄ってくる幽霊からなんとか

(にげきった、といったな。なぜおまえだけ、そんなめにあうんだ?)

逃げ切った、と言ったな。なぜおまえだけ、そんな目に会うんだ?

(こたえてやろうか。ええ?わかみやじんじゃのおぼっちゃん。)

答えてやろうか。ええ?若宮神社のお坊ちゃん。

(わたしもさいしょはただおまえがこのとがのじんじゃのまつえいのちにとっては)

わたしも最初はただお前がこの栂野神社の末裔の地にとっては

(きゅうてきのしそんであり、まねかれざるきゃくだからだろうとおもったさ。)

仇敵の子孫であり、招かれざる客だからだろうと思ったさ。

(だが、あたらしいとかのけはわかみやじんじゃのうじこになり、そんなくびきから)

だが、新しい戸叶家は若宮神社の氏子になり、そんなくびきから

(ときはなたれたせいかつをはじめているんだ。こころよくはおもわないだろうが、)

解き放たれた生活を始めているんだ。快くは思わないだろうが、

(それいにしてもそれをぶちこわそうとまでするだろうかとかんがえると、)

祖霊にしてもそれをぶち壊そうとまでするだろうかと考えると、

(しっくりこないものがあった。)

しっくり来ないものがあった。

(そのなぞがとけたのはきっさてんだよ。きょうのひるににしかわまちでのきっさてんであったろ。)

その謎が解けたのは喫茶店だよ。今日の昼に西川町での喫茶店で会ったろ。

など

(おまえはそのとき、おんなづれだった。そしてこまったかおでいもうとだとしょうかいをした。)

おまえはそのとき、女連れだった。そして困った顔で妹だと紹介をした。

(ここでじぶんたちをみたことをだれにもいわないでくれ、ともいったな。)

ここで自分たちを見たことを誰にも言わないでくれ、とも言ったな。

(そのあとで、いもうととのけんかをだしにかえでをでーとにさそったことをしったわたしたちには)

その後で、妹との喧嘩をダシに楓をデートに誘ったことを知ったわたしたちには

(ちょうどいいめくらましになるところだった。)

ちょうどいい目くらましになるところだった。

(だけどあのきっさてんには、ばいくはいちだいしかとまっていなかった。)

だけどあの喫茶店には、バイクは一台しか止まっていなかった。

(おまえいったよな。ばすていがとおいから、うちのかぞくはみんなばいくに)

おまえ言ったよな。バス停が遠いから、うちの家族はみんなバイクに

(のってるって。きっさてんのばいくにはみおぼえがあった。)

乗ってるって。喫茶店のバイクには見覚えがあった。

(おまえのばいくだ。じゃあいもうとはどうやってきたんだ?)

おまえのバイクだ。じゃあ妹はどうやって来たんだ?

(ふたりのり?しかしへるめっとのかたほうのはんどるにひとつだけしか)

二人乗り?しかしヘルメットの片方のハンドルに一つだけしか

(かけられていなかった。もうひとつはざせきかのへるめっとほるだー?)

掛けられていなかった。もう一つは座席下のヘルメットホルダー?

(だが、おまえはばいくはへるめっとがふたつどうじにしゅうのうできるたいぷだ。)

だが、おまえはバイクはヘルメットが二つ同時に収納できるタイプだ。

(なぜばいくをおりたあと、ふたりがへるめっとをぬいだのに、かたほうだけを)

なぜバイクを降りた後、二人がヘルメットを脱いだのに、片方だけを

(わざわざざせきしたにしまうようなことをするんだ。どちらかはのーへるか?)

わざわざ座席下に仕舞うようなことをするんだ。どちらかはノーヘルか?

(いや、かおみしりのおおいいなかのまちなかをはしるのに、)

いや、顔見知りの多い田舎の街なかを走るのに、

(そんなむだなきけんをおかすもんか。)

そんな無駄な危険を冒すもんか。

(へるめっとなんてはじめからひとつしかなかったんだよ。ただおまえはあそこで)

ヘルメットなんて始めから一つしかなかったんだよ。ただおまえはあそこで

(まちあわせていただけなんだ。にしかわまちにすむおんなと。あのおんなはいもうとのみどりじゃない。)

待ち合わせていただけなんだ。西川町に住む女と。あの女は妹の翠じゃない。

(かおのしらないわたしたちならとっさにだませるとおもったのか。)

顔の知らないわたしたちなら咄嗟に騙せると思ったのか。

(ずいぶんとらくてんてきだな。さっき、りょかんにでんわがあったよ。かえでちゃんいますかってさ。)

随分と楽天的だな。さっき、旅館に電話があったよ。楓ちゃんいますかってさ。

(なまえをきいたらみどりとなのったぜ。)

名前を聞いたら翠と名乗ったぜ。

(おかしいな。でーとのやくそくのじかんからにじかんくらいしかたってない。)

おかしいな。デートの約束の時間から二時間くらいしか経ってない。

(きっさてんであにきとくちうらあわせをしてたのがほんとうにみどりなら、)

喫茶店でアニキと口裏合わせをしてたのが本当に翠なら、

(かえでがいないだろうってことくらいしっているはずじゃないのか。)

楓がいないだろうってことくらい知っているはずじゃないのか。

(ありがちなはなしだ。しんぷるにかんがえればいい。やましいかんけいにあるおんなと)

ありがちな話だ。シンプルに考えればいい。やましい関係にある女と

(みっかいしているときに、しりあいにみられたばあいのいいわけ、)

密会しているときに、知り合いに見られた場合の言い訳、

(そのー。「いもうとなんだ」・・・・・な?ばっかみたいだろ。)

そのー。「妹なんだ」・・・・・な?バッカみたいだろ。

(おまえ、かえでにぞっこんなふりをして、なにをたくらんでんだ」)

おまえ、楓にゾッコンな振りをして、なにを企んでんだ」

(ししょうのことばにみんなみみをうたがうようにあぜんとしている。ただとうのかずおだけは)

師匠の言葉にみんな耳を疑うように唖然としている。ただ当の和雄だけは

(じぶんのまわりをとりかこむゆうれいのむれにおびえてそれどころではないようだった。)

自分の周りを取り囲む幽霊の群れに怯えてそれどころではないようだった。

(「おとりこみちゅうみたいだから、かわりにいってやろうか。)

「お取り込み中みたいだから、かわりに言ってやろうか。

(おまえがじなんだからだよ。でんとうあるわかみやじんじゃはこうがくかんのいんせいであるちょうなんのおさむが)

お前が次男だからだよ。伝統ある若宮神社は皇學館の院生である長男の修が

(つぐことがじじつじょうきまっている。おまえがいずれいえからおいだされることは)

継ぐことが事実上決まっている。おまえがいずれ家から追い出されることは

(じぶんでいっていたことだ。それまでにてにしょくをつけなければならない。)

自分で言っていたことだ。それまでに手に職をつけなければならない。

(そんななか、おさななじみだったかえでがこうこうをそつぎょうしてたんだいにはいり、)

そんな中、幼馴染だった楓が高校を卒業して短大に入り、

(ずいぶんとあかぬけてかわいくなった。)

随分と垢抜けて可愛くなった。

(おいおい。いいんじゃないか。じっかはりょかんをけいえいしている。)

おいおい。いいんじゃないか。実家は旅館を経営している。

(なのに、こうけいはいない。むこにはいれば、りょかんはいずれじぶんのてにはいったもどうぜんだ。)

なのに、後継はいない。婿に入れば、旅館はいずれ自分の手に入ったも同然だ。

(しょうらいはあんたい、よめはかわいい。ははおやのおかみともいままでうまくおりあいがついている。)

将来は安泰、嫁は可愛い。母親の女将とも今まで上手く折り合いがついている。

(さいこうじゃないか。ほんめいはべつのおんなだとしても、ばれなきゃいい。)

最高じゃないか。本命は別の女だとしても、ばれなきゃいい。

(そとにおんなのひとりやふたりもつのもおとこのかいしょうだぜ。なあ、そうだろう」)

外に女の一人や二人持つのも男の甲斐性だぜ。なあ、そうだろう」

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