男と息子とロバ
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問題文
(おとこがむすこをつれて、ろばをうりにいちばへでかけた。)
男が息子を連れて、ロバを売りに市場へ出かけた。
(「ろばになにものせないで、いっしょにてくてくあるいていくなんて」と、)
「ロバに何も乗せないで、一緒にテクテク歩いていくなんて」と、
(とおりがかりのひとがいった。)
通りがかりの人が言った。
(「あんたたちには、じょうしきというものがないのかね?」)
「あんたたちには、常識というものがないのかね?」
(そこで、おとこは、むすこをろばにのせてたびをつづけた。)
そこで、男は、息子をロバに乗せて旅を続けた。
(「おい、なまけもののちいさいの」と、つぎにあったひとがいった。)
「おい、怠けものの小さいの」と、次に会った人が言った。
(「おまえさんがろばにのって、としをとったおやじさんをあるかせるなんて、)
「おまえさんがロバに乗って、年をとった親父さんを歩かせるなんて、
(はずかしいとはおもわんのかね?」)
恥ずかしいとは思わんのかね?」
(おとこはむすこをかかえおろすと、じぶんがろばにのった。)
男は息子を抱え降ろすと、自分がロバに乗った。
(すれちがったふじんのうち、ひとりが、もうひとりにいった。)
すれ違った婦人のうち、ひとりが、もうひとりに言った。
(「あのみがってなろうじんをみてよ!)
「あの身勝手な老人を見てよ!
(じぶんはろばにのり、ちいさなむすこはあるかせてるわ!」)
自分はロバに乗り、小さな息子は歩かせてるわ!」
(そこで、おとこはむすこをだきあげ、じぶんのうしろにすわらせた。)
そこで、男は息子を抱き上げ、自分の後ろに座らせた。
(そのつぎにあったたびびとは「ろばがあなたたちをはこぶよりも、)
その次に会った旅人は「ロバがあなた達をを運ぶよりも、
(ふたりでろばをはこぶほうがうまくいくとおもうがね」)
二人でロバを運ぶ方がうまくいくと思うがね」
(そこで、おとこは、ろばのあしをひとまとめにぼうにくくりつけると、ふたりでかつぎ、)
そこで、男は、ロバの足をひとまとめに棒にくくり付けると、二人で担ぎ、
(ろばのおもさによろめきながら、まちまではこんでいった。)
ロバの重さによろめきながら、町まで運んでいった。
(まちにつくと、どっとわらいごえがおこった。おとこは、はじをかいたとばかりに、)
町につくと、どっと笑い声が起こった。男は、恥をかいたとばかりに、
(ろばをかわになげすて、むすこのうでをつかむと、いえにかえっていった。)
ロバを川に投げ捨て、息子の腕をつかむと、家に帰っていった。