田山花袋「少女病」 ３
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問題文
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(なにもにんげんがとおるのに、ひょうばんをたてるほどのこともないのだが、)
何も人間が通るのに、評判を立てるほどのこともないのだが、
(さびしいいなかでひとめずらしいのと、それにこのおとこのすがたがいかにもとくしょくがあって、)
寂しい田舎で人珍しいのと、それにこの男の姿がいかにも特色があって、
(そして、あひるのあるくようなへんてこなかたちをするので、)
そして、鶩の歩くような変てこな形をするので、
(なんともいえぬふちょうわ)
なんともいえぬ不調和――
(そのふちょうわがろぼうのひとびとのひまなめをひくもととなった。)
その不調和が路傍の人々の閑な眼を惹くもととなった。