誰も知らぬ 太宰治(2/3)
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問題文
(なりました。するとせりかわさんは、いきなり、いやっといってわたしからあるばむを)
なりました。すると芹川さんは、いきなり、いやっと言って私からアルバムを
(ひったくってしまったので、わたしには、すぐははあと、きがつきました。)
ひったくってしまったので、私には、すぐははあと、気がつきました。
(いいの、もうはいけんしてしまったから、とわたしがおちついていうと、せりかわさんはきゅうに)
いいの、もう拝見してしまったから、と私が落ちついて言うと、芹川さんは急に
(うれしそうに、にこにこわらいだして、わかったの?ゆだんならないわね、ほんとう?)
嬉しそうに、にこにこ笑い出して、わかったの?油断ならないわね、ほんとう?
(みて、すぐわかったの?もうね、じょがっこうじだいからなのよ、ごぞんじだったのね、)
見て、すぐわかったの?もうね、女学校時代からなのよ、ご存じだったのね、
(などとひとりでくちばやにいいはじめて、わたしがなにもしってやしないのに、あらいざらい、)
などとひとりで口早に言い始めて、私が何も知ってやしないのに、洗いざらい、
(みんなはなしてくださいました。ほんとうに、すなおな、つみのないおかたでした。)
みんな話して下さいました。ほんとうに、素直な、罪の無いおかたでした。
(そのしゃしんのきれいながくせいさんはせりかわさんと、なんとかいうとうしょざっしのあいどくしゃつうしんらん)
その写真の綺麗な学生さんは芹川さんと、何とかいう投書雑誌の愛読者通信欄
(とでももうしましょうか、そんなところがあるでしょう?そのつうしんらんでことばを)
とでも申しましょうか、そんなところがあるでしょう?その通信欄で言葉を
(かわし、いわば、まあきょうめいしあったというのでしょうか、ぞくじんのわたしには)
交し、謂わば、まあ共鳴し合ったというのでしょうか、俗人の私には
(わかりませんけれど、そんなことから、しだいにちょくせつにぶんつうするようになり、)
わかりませんけれど、そんなことから、次第に直接に文通するようになり、
(じょがっこうをそつぎょうしてからは、きゅうそくにせりかわさんのきもちもすすんで、なんだか、)
女学校を卒業してからは、急速に芹川さんの気持もすすんで、何だか、
(ふたりで、きめてしまったのだそうです。せんぽうは、よこはまのふながいしゃのごじなんだとか)
ふたりで、きめてしまったのだそうです。先方は、横浜の船会社の御次男だとか
(けいおうのしゅうさいで、すえはりっぱなさっかになるでしょうとか、いろいろせりかわさんから)
慶応の秀才で、未は立派な作家になるでしょうとか、いろいろ芹川さんから
(おしえていただきましたけれど、わたしには、ひどくおそろしいことみたいで、また、)
教えていただきましたけれど、私には、ひどく恐しい事みたいで、また、
(きたならしいようなきさえいたしました。いっぽう、せりかわさんをねたましくて、)
きたならしいような気さえ致しました。一方、芹川さんをねたましくて、
(むねがにごってときめきいたしましたが、つとめてかおにあらわさず、いいおはなしね、)
胸が濁ってときめき致しましたが、努めて顔にあらわさず、いいお話ね、
(せりかわさんしっかりおやりなさい、ともうしましたら、せりかわさんはびんかんにむっと)
芹川さんしっかりおやりなさい、と申しましたら、芹川さんは敏感にむっと
(ふくれて、あなたはいじわるね、むねにたんけんをひめていらっしゃる、いつもあなたは)
ふくれて、あなたは意地悪ね、胸に短剣を秘めていらっしゃる、いつもあなたは
(あたしをつめたくけいべつしていらっしゃる、だいやなね、あなたは、といつになくつよく)
あたしを冷く軽蔑していらっしゃる、ダイヤナね、あなたは、といつになく強く
(わたしをせめますのでわたしも、ごめんなさい、けいべつなんかしてやしないわ、つめたく)
私を攻めますので私も、ごめんなさい、軽蔑なんかしてやしないわ、冷く
(みえるのはわたしのそんなしょうぶんね、いつでもひとからごかいされるの、)
見えるのは私の損な性分《しょうぶん》ね、いつでも人から誤解されるの、
(わたしほんとうは、あなたたちのことなんだかおそろしいの、あいてのおかたが、あんまり)
私ほんとうは、あなたたちの事なんだか恐しいの、相手のおかたが、あんまり
(きれいすぎるわ、あなたを、うらやんでいるのかもしれないのね、とおもっている)
綺麗すぎるわ、あなたを、うらやんでいるのかも知れないのね、と思っている
(ことをそのままもうしのべましたら、せりかわさんもはればれとごきげんをなおして、)
ことをそのまま申し述べましたら、芹川さんも晴れ晴れと御機嫌を直して、
(そこなのよ、あたし、いえのにいさんにだけは、このことをうちあけて)
そこなのよ、あたし、家の兄さんにだけは、このことを打ち明けて
(いるのだけれど、にいさんも、やっぱりあなたとおなじようなことをいって、ぜったい)
いるのだけれど、兄さんも、やっぱりあなたと同じようなことを言って、絶対
(はんたいなの、もっとじみちな、あたりまえのけっこんをしろっていうのよ、もっとも)
反対なの、もっと地みちな、あたりまえの結婚をしろって言うのよ、もっとも
(にいさんはてっていしたげんじつかだから、そういうのもむりはないけれど、でも、)
兄さんは徹底した現実家だから、そう言うのも無理はないけれど、でも、
(あたしにいさんのはんたいなんかきにしていないの、らいねんのはる、あのひとががっこうを)
あたし兄さんの反対なんか気にしていないの、来年の春、あの人が学校を
(そつぎょうしたら、あたしたちだけでちゃんときめてしまうの、とかわいくりょうかたをはって)
卒業したら、あたしたちだけでちゃんときめてしまうの、と可愛く両肩を張って
(いきごんでいました。わたしはむりにほほえみ、ただうなずいてきいて)
意気込んでいました。私は無理に微笑み、ただ首肯《うなず》いて聞いて
(いました。あのひとのむじゃきさが、とてもうつくしく、うらやましくおもわれ、わたしの)
いました。あの人の無邪気さが、とても美しく、うらやましく思われ、私の
(ふるくさいぞくなきしつが、たまらなくみにくいものにおもわれました。そんなうちあけばなしが)
古くさい俗な気質が、たまらなく醜いものに思われました。そんな打ち明け話が
(あってから、せりかわさんとわたしとのあいだは、いぜんほど、しっくりいかなくなって、)
あってから、芹川さんと私との間は、以前ほど、しっくり行かなくなって、
(おんなのこってへんなものですね、だれかあいだにおとこのひとがひとりはいると、それまで)
女の子って変なものですね、誰か間に男の人がひとりはいると、それまで
(どんなにしたしくつきあっていたっても、さっとたいどがしかつめらしくなって、)
どんなに親しくつき合っていたっても、颯《さ》っと態度が鹿爪らしくなって、
(まるで、よそよそしくなってしまうものです。まさかわたしたちのあいだは、そんなに)
まるで、よそよそしくなってしまうものです。まさか私たちの間は、そんなに
(ひどくかわったわけではございませんけれど、でも、おたがいにえんりょがでて、)
ひどく変ったわけではございませんけれど、でも、お互に遠慮が出て、
(ごあいさつまでていねいになり、くちかずもすくなくなりましたし、よろずにおとなびて)
御挨拶まで叮嚀になり、口数も少なくなりましたし、よろずに大人びて
(まいりました。どちらからも、あのしゃしんのいっけんについてはなしするのをさけるように)
まいりました。どちらからも、あの写真の一件に就いて話するのを避けるように
(なりまして、そのうちにとしもくれ、わたしもせりかわさんも、にじゅうさんさいのはるをむかえて、)
なりまして、そのうちに年も暮れ、私も芹川さんも、二十三歳の春を迎えて、
(ちょうど、そのとしのさんがつまつのことでございます。よるのじゅうじごろ、わたしがははとふたりで)
ちょうど、そのとしの三月末のことでございます。夜の十時頃、私が母と二人で
(おへやにいて、いっしょにちちのせるをぬっておりましたら、じょちゅうがそっとしょうじを)
お部屋にいて、一緒に父のセルを縫って居りましたら、女中がそっと障子を
(あけ、わたしをてまねぎいたします。あたし?とめでたずねると、じょちゅうはしんけんそうにちいさく)
あけ、私を手招ぎ致します。あたし?と眼で尋ねると、女中は真剣そうに小さく
(にさんどうなずきます。なんだい?とははがめがねをひたいのほうへおしあげてじょちゅうに)
二三度うなずきます。なんだい?と母が眼鏡を額のほうへ押し上げて女中に
(たずねましたら、じょちゅうは、かるくせきをして、あの、せりかわさまのおにいさまが、おじょうさんに)
訊ねましたら、女中は、軽く咳をして、あの、芹川さまのお兄様が、お嬢さんに
(ちょっと、といいにくそうにいって、またふたつみっつせきをいたしました。)
鳥渡《ちょっと》、と言いにくそうに言って、また二つ三つ咳をいたしました。
(わたしは、すぐたってろうかにでました。もう、わかってしまったようなきがして)
私は、すぐ立って廊下に出ました。もう、わかってしまったような気がして
(いたのです。せりかわさんが、なにかもんだいをおこしたのにちがいない、きっとそうだ、)
いたのです。芹川さんが、何か問題を起したのにちがいない、きっとそうだ、
(ときめてしまって、おうせつまにいこうとすると、じょちゅうは、いいえおかってのほうで)
ときめてしまって、応接間に行こうとすると、女中は、いいえお勝手のほうで
(ございます、とひくいこえでいって、いかにもいちだいじできんちょうしているもののように、)
ございます、と低い声で言って、いかにも一大事で緊張している者のように、
(すこしこしをおとしてこばしりにすっすっとさきにたっていそぎます。ほのぐらいかってぐちに)
少し腰を落して小走りにすッすッと先に立って急ぎます。ほの暗い勝手口に
(せりかわさんのにいさんが、にこにこわらいながらたっていました。せりかわさんの)
芹川さんの兄さんが、にこにこ笑いながら立っていました。芹川さんの
(にいさんとは、じょがっこうにかよっていたときには、まいあさまいゆうあいさつをかわして、にいさんは、)
兄さんとは、女学校に通っていたときには、毎朝毎夕挨拶を交して、兄さんは、
(いつでも、おみせで、こぞうさんたちといっしょに、くるくるとこまめにたちはたらいて)
いつでも、お店で、小僧さんたちと一緒に、くるくると小まめに立ち働いて
(いました。じょがっこうをでてからも、にいさんは、いっしゅうかんにいちどくらいは、なにかと)
いました。女学校を出てからも、兄さんは、一週間にいちどくらいは、何かと
(ちゅうもんのおかしをとどけに、わたしのいえへまいっていまして、わたしもきやすくにいさん、)
注文のお菓子をとどけに、私の家へまいっていまして、私も気易く兄さん、
(にいさんとおよびしていました。でも、こんなにおそくわたしのいえにまいりましたことは)
兄さんとお呼びしていました。でも、こんなに遅く私の家にまいりましたことは
(ないのですし、それに、わざわざわたしを、こっそりよぶというのは、いよいよ)
無いのですし、それに、わざわざ私を、こっそり呼ぶというのは、いよいよ
(せりかわさんのれいのもんだいがばくはつしたのにちがいない、とわくわくしてしまって、)
芹川さんのれいの問題が爆発したのにちがいない、とわくわくしてしまって、
(わたしのほうから、「せりかわさんは、このごろおみえになりませんのよ。」となにも)
私のほうから、「芹川さんは、このごろお見えになりませんのよ。」と何も
(きかれぬさきにくちばしってしまいました。「おじょうさん、ごぞんじだったの?」と)
聞かれぬさきに口走ってしまいました。「お嬢さん、ご存じだったの?」と
(にいさんはいっしゅんけげんなかおをなさいました。「いいえ。」「そうですか。あいつ、)
兄さんは一瞬けげんな顔をなさいました。「いいえ。」「そうですか。あいつ、
(いなくなったんです。ばかだなあ、ぶんがくなんて、ろくなことがない。おじょうさんも、)
いなくなったんです。ばかだなあ、文学なんて、ろくな事がない。お嬢さんも、
(まえからはなしだけはごぞんじなんでしょう?」「ええ、それは、」こえがのどに)
まえから話だけはご存じなんでしょう?」「ええ、それは、」声が喉に
(ひっからまってこまりました。「ぞんじております。」「にげていきました。)
ひっからまって困りました。「存じて居ります。」「逃げて行きました。
(でも、たいていいどころがわかっているんです。おじょうさんには、あいつ、)
でも、たいていいどころが分かっているんです。お嬢さんには、あいつ、
(このごろ、なにもいわなかったんですね?」「ええ、このごろはわたしにも、とても)
このごろ、何も言わなかったんですね?」「ええ、このごろは私にも、とても
(よそよそしくしていました。まあ、どうしたのでしょう。おあがりに)
よそよそしくしていました。まあ、どうしたのでしょう。おあがりに
(なりません?いろいろおうかがいしたいのですけれど。」「は、ありがとう。)
なりません?いろいろお伺いしたいのですけれど。」「は、ありがとう。
(そうしてもいられないのです。これから、すぐあいつをさがしにいかなければ)
そうしても居られないのです。これから、すぐあいつを捜しに行かなければ
(なりません。」みると、にいさんは、ちゃんとせびろをきて、とらんくをけいたいして)
なりません。」見ると、兄さんは、ちゃんと背広を着て、トランクを携帯して
(おります。「こころあたりがございますの?」「ええ、わかっております。)
居ります。「心あたりがございますの?」「ええ、わかって居ります。
(あいつらふたりをぶんなぐって、それでいっしょにさせるのですね。」にいさんは)
あいつら二人をぶん殴って、それで一緒にさせるのですね。」兄さんは
(そういってくったくなくわらってかえりましたけれど、わたしはかってぐちにたったまま)
そう言って屈託なく笑って帰りましたけれど、私は勝手口に立ったまま
(ぼんやりみおくり、それからおへやへひきかえして、ははのものといたげなかおにも)
ぼんやり見送り、それからお部屋へ引返して、母の物問いたげな顔にも
(きづかぬふりして、しずかにすわり、ぬいかけのそでをにはりさんはりすすめました。)
気づかぬふりして、静かに坐り、縫いかけの袖を二針三針すすめました。
(また、そっとたって、ろうかへでてこばしりにはしり、かってぐちにでてげたをつっかけ、)
また、そっと立って、廊下へ出て小走りに走り、勝手口に出て下駄をつっかけ、
(それからは、なりもふりもかまわずはしりました。どういうきもちであったので)
それからは、なりもふりもかまわず走りました。どういう気持であったので
(しょう。わたしはいまだにわかりません。あのにいさんにおいついて、しぬまで)
しょう。私は未だにわかりません。あの兄さんに追いついて、死ぬまで
(はなれまい、とかくごしていたのでした。せりかわさんのじけんなぞてんでもんだいで)
離れまい、と覚悟していたのでした。芹川さんの事件なぞてんで問題で
(なかったのです、ただ、にいさんに、もいちどあいたい、どんなことでもする、)
なかったのです、ただ、兄さんに、もいちど逢いたい、どんなことでもする、
(にいさんとふたりなら、どこへでもいく、わたしをこのままつれていってにげてください、)
兄さんと二人なら、どこへでも行く、私をこのまま連れていって逃げて下さい、
(わたしをめちゃめちゃにしてくださいとわたしひとりのおもいだけが、そのよるばかり、とうとつに)
私をめちゃめちゃにして下さいと私ひとりの思いだけが、その夜ばかり、唐突に
(もえあがって、わたしは、くらいこうじこうじを、いぬのようにだまってはしって、ときどき)
燃え上って、私は、暗い小路小路を、犬のように黙って走って、ときどき
(つまずいてはよろけ、まえをかきあわせてはまたむごんではしりつづけなみだがわいて)
躓《つまず》いてはよろけ、前を掻き合せてはまた無言で走りつづけ涙が湧いて
(でて、いまおもうと、なんだかじごくのそこのようなきもちでございます。)
出て、いま思うと、なんだか地獄の底のような気持でございます。
(いちがやみつけのしでんのていりゅうじょうにたどりついたときは、ほとんどこきゅうができない)
市ヶ谷見附の市電の停留場にたどりついたときは、ほとんど呼吸ができない
(くらいに、からだがくるしくめのさきがもやもやくらくて、きっとあれはきをうしなう)
くらいに、からだが苦しく眼の先がもやもや暗くて、きっとあれは気を失う
(いっぽてまえのじょうたいだったのでございましょう。ていりゅうじょにはひとかげひとつなかったの)
一歩手前の状態だったのでございましょう。停留所には人影ひとつ無かったの
(でした。たったいま、でんしゃがつうかしたあとのようすでございました。わたしはさいごの)
でした。たったいま、電車が通過した跡の様子でございました。私は最後の
(ひとつのねんがんとして、にいさあん!とできるだけのこえをしぼってよんでみました。)
一つの念願として、兄さあん!とできるだけの声を絞って呼んでみました。
(しんとしています。わたしはむねにりょうそでをあわせてかえりました。とと、みなりをととのえて)
しんとしています。私は胸に両袖を合せて帰りました。途々、身なりを整えて
(おうちへもどり、しずかにおへやのしょうじをあけたら、ははは、なにかあったのかい?と)
お家へ戻り、静かにお部屋の障子をあけたら、母は、何かあったのかい?と
(いぶかしそうにわたしのかおをみるので、ええ、せりかわさんがいなくなったんですって、)
いぶかしそうに私の顔を見るので、ええ、芹川さんがいなくなったんですって、
(たいへんねえ、とさりげなくこたえて、またぬいものをはじめました。ははは、)
たいへんねえ、とさりげなく答えて、また縫いものをはじめました。母は、
(なにかわたしにつづけてといたいふうでしたが、おもいかえしたようすで、だまって)
何か私につづけて問いたいふうでしたが、思いかえした様子で、黙って
(ぬいものをつづけました。それだけのはなしでございます。せりかわさんは、まえにも)
縫いものをつづけました。それだけの話でございます。芹川さんは、まえにも
(もうしあげましたが、そのみたのおかたとめでたくけっこんなされて、いまはちょうせんの)
申し上げましたが、その三田のおかたと目出度く結婚なされて、いまは朝鮮の