シャーロック・ホームズの事件簿 高名な依頼人4

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投稿者投稿者大樹野いいね4お気に入り登録
プレイ回数5085難易度(4.5) 5253打 長文
シャーロック・ホームズの事件簿より
長文なので、読書感覚でお楽しみください

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問題文

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(「まあ、わとそん、これいじょういうことはなさそうだったので、)

「まあ、ワトソン、これ以上言うことはなさそうだったので、

(ぼくはできるかぎりれいせいにいげんをもっていとまごいをした。しかし、ぼくが)

僕はできる限り冷静に威厳を持っていとまごいをした。しかし、僕が

(どあのぶにてをかけたとき、かれはぼくをよびとめた」)

ドアノブに手を掛けた時、彼は僕を呼び止めた」

(「「ところで、ほーむずさん」かれはいった。)

「『ところで、ホームズさん』彼は言った。

(「ふらんすのる・ぶらんというたんていをごぞんじですか?」」)

『フランスのル・ブランという探偵をご存知ですか?』」

(「「しっている」ぼくはいった」)

「『知っている』僕は言った」

(「「どうなったかしっていますか?」」)

「『どうなったか知っていますか?』」

(「「もんまるとるちくでぼうかんになぐられて、)

「『モンマルトル地区で暴漢に殴られて、

(いっしょうふじゆうなからだになったときいたが」」)

一生不自由な体になったと聞いたが』」

(「「そのとおりです、ほーむずさん。きみょうなぐうぜんのいっちですが、かれはほんの)

「『その通りです、ホームズさん。奇妙な偶然の一致ですが、彼はほんの

(いっしゅうかんまえにわたしのそうさをしていました。おやめなさい、ほーむずさん。)

一週間前に私の捜査をしていました。おやめなさい、ホームズさん。

(やってもいいことはありません。それをおもいしったにんげんはなんにんもいます。)

やってもいいことはありません。それを思い知った人間は何人もいます。

(さいごにもうしあげたいのは、あなたはあなたのみちをいき、わたしにはわたしのみちを)

最後に申し上げたいのは、あなたはあなたの道を行き、私には私の道を

(いかせなさいということです。ごきげんよう!」」)

行かせなさいということです。ごきげんよう!』」

(「こういうわけだ、わとそん。これでぜんぶだ」「あぶなそうなやつだな」)

「こういうわけだ、ワトソン。これで全部だ」「危なそうな奴だな」

(「じつにあぶない。ぼくはばとうはききながすが、こいつはくちでいういじょうのことを)

「実に危ない。僕は罵倒は聞き流すが、こいつは口で言う以上の事を

(やるたいぷのおとこだ」「きみがかいにゅうするひつようがあるのか?)

やるタイプの男だ」「君が介入する必要があるのか?

(かれとそのじょせいがけっこんすると、ほんとうにもんだいになるのか?」)

彼とその女性が結婚すると、本当に問題になるのか?」

(「かれがぜんさいをさつがいしたのがかくじつだということをかんがえると、じゅうだいなもんだいだと)

「彼が前妻を殺害したのが確実だという事を考えると、重大な問題だと

(いわざるをえない。それに、あのいらいにんだからな!)

言わざるをえない。それに、あの依頼人だからな!

など

(まあ、これははなすひつようもないか。こーひーをのみおえたら、)

まあ、これは話す必要もないか。コーヒーを飲み終えたら、

(ようきなしんうぇるがほうこくしにきているだろうから、ぜひいっしょにきてくれ」)

陽気なシンウェルが報告しに来ているだろうから、ぜひ一緒に来てくれ」

(たしかにかれはきていた。おおがらなたいかく、そぼうで、かいけつびょうにかかったようなあからがおの)

確かに彼は来ていた。大柄な体格、粗暴で、壊血病にかかったような赤ら顔の

(おとこで、いきいきとしたふたつのくろいめだけがないめんにあるひじょうにこうかつなこころを)

男で、生き生きとした二つの黒い目だけが内面にある非常に狡猾な心を

(あらわしていた。かれは、じごくのそこまでまっさかさまにとびこんできたようにみえた。)

表していた。彼は、地獄の底までまっ逆さまに飛び込んできたように見えた。

(かれのとなりのながいすに、かれがひろってきたたいまつがあった。それは、ほそいほのおを)

彼の隣の長いすに、彼が拾ってきたたいまつがあった。それは、細い炎を

(あげそうな、あおざめてしんけんなかおつきの、わかいじょせいのかたちをしていた。)

上げそうな、青ざめて真剣な顔つきの、若い女性の形をしていた。

(としはわかいが、つみとなげきにいためつけられて、はんせんびょうのようになったしみを)

歳は若いが、罪と嘆きに痛めつけられて、ハンセン病のようになったシミを

(みれば、かのじょのすごしたおそろしいねんげつをおもわずにはいられない。)

見れば、彼女の過ごした恐ろしい年月を思わずにはいられない。

(「こちらは、みす・きてぃ・うぃんたーです」)

「こちらは、ミス・キティ・ウィンターです」

(しんうぇる・じょんそんはふとったてをしょうかいするようにふるといった。)

シンウェル・ジョンソンは太った手を紹介するように振ると言った。

(「かのじょがしらないことは、・・・・いや、じぶんではなすでしょう。)

「彼女が知らない事は、・・・・いや、自分で話すでしょう。

(ほーむずさん、れんらくをもらっていちじかんとたたずにかのじょをみつけました」)

ホームズさん、連絡をもらって一時間と経たずに彼女を見つけました」

(「あたいはかんたんにみつかるよ」わかいじょせいがいった。)

「あたいは簡単に見つかるよ」若い女性が言った。

(「じごくのろんどんからはのがれられないからね。ふとっちょしんうぇると)

「地獄のロンドンからは逃れられないからね。ふとっちょシンウェルと

(おなじすみかさ。あたいらはどうるいさ、ふとっちょ、おまえとあたいは。しかし、ちくしょう!)

同じ住処さ。あたいらは同類さ、ふとっちょ、お前とあたいは。しかし、畜生!

(あたいらよりももっとしたのじごくにいなければならないやつがひとりいる。もしせかいに)

あたいらよりももっと下の地獄にいなければならない奴が一人いる。もし世界に

(せいぎがあるんならね!それがあんたがおっているおとこさ、ほーむずさん」)

正義があるんならね!それがあんたが追っている男さ、ホームズさん」

(ほーむずはほほえんだ。)

ホームズは微笑んだ。

(「どうやらごきょうりょくしてもらえそうだね、みす・うぃんたー」)

「どうやらご協力してもらえそうだね、ミス・ウィンター」

(「あいつをいるべきばしょにおくれるなら、わたしをすきにつかっとくれ」)

「あいつをいるべき場所に送れるなら、私を好きにつかっとくれ」

(ほうもんしゃははげしいねついでいった。かのじょのあおじろいこわばったかおと)

訪問者は激しい熱意で言った。彼女の青白いこわばった顔と

(もえあがるひとみには、おんなでもほとんどまれな、おとこではけっしててにいれることが)

燃え上がる瞳には、女でもほとんどまれな、男では決して手に入れる事が

(できないはげしいぞうおがあった。「あたいのかこにたちいらなくてもいいよ、)

できない激しい憎悪があった。「あたいの過去に立ち入らなくてもいいよ、

(ほーむずさん。それはつまらないことさ。しかしあたいをこんなふうにしたのは)

ホームズさん。それはつまらないことさ。しかしあたいをこんな風にしたのは

(あでるばーと・ぐらなーだ。あいつをひきずりおろせたら!」)

アデルバート・グラナーだ。あいつを引きずりおろせたら!」

(かのじょはくるったようにつめでこくうをつかんだ。「ああ、あいつをあなのなかに)

彼女は狂ったように爪で虚空をつかんだ。「ああ、あいつを穴の中に

(ひきずりこめさえすれば、あいつがかずしれないおんなをおとしたあなに!」)

引きずり込めさえすれば、あいつが数知れない女を落とした穴に!」

(「どんなじょうきょうか、わかっているかな?」)

「どんな状況か、分かっているかな?」

(「ふとっちょしんうぇるがはなしてくれたよ。あいつはだれかべつのばかなおんなを)

「ふとっちょシンウェルが話してくれたよ。あいつは誰か別の馬鹿な女を

(ねらっていてこんどはけっこんしたがっている。あなたはそれをとめたい。)

狙っていて今度は結婚したがっている。あなたはそれを止めたい。

(でも、おんながまともでしょうきなら、このおとことけっこんしたいといっても、)

でも、女がまともで正気なら、この男と結婚したいと言っても、

(とめるくらいのことはあんたでもじゅうぶんできるだろうに」)

止めるくらいの事はあんたでも十分できるだろうに」

(「かのじょはまともではない。こいにくるっている。)

「彼女はまともではない。恋に狂っている。

(かれからすべてきいているが、ぜんぜんきにしていない」)

彼から全て聞いているが、全然気にしていない」

(「あのさつじんのこともはなしたのかい?」「もちろんだ」)

「あの殺人の事も話したのかい?」「もちろんだ」

(「おやまあ、えらいしんけいをしてるねえ!」「ぜんぶわるくちだとしてむしだ」)

「おやまあ、えらい神経をしてるねえ!」「全部悪口だとして無視だ」

(「ばかなおんなのめのまえにしょうこをつきつけてやれないの?」)

「馬鹿な女の目の前に証拠をつきつけてやれないの?」

(「するつもりだが、そのてだすけをしてもらえるかな?」)

「するつもりだが、その手助けをしてもらえるかな?」

(「あたいじしんがしょうこじゃないの?もしわたしがそのおんなのまえにでていって、)

「あたい自身が証拠じゃないの?もし私がその女の前に出て行って、

(あいつがわたしをどんなふうに・・・」)

あいつが私をどんな風に・・・」

(「それをやってもらえるか?」)

「それをやってもらえるか?」

(「そうするか?しないはずないじゃないの!」)

「そうするか?しないはずないじゃないの!」

(「よし、やってみるかちがあるかもしれないな。)

「よし、やってみる価値があるかもしれないな。

(しかしかれはほとんどのつみをうちあけて、かのじょのゆるしをもらっている。)

しかし彼はほとんどの罪を打ち明けて、彼女の赦しをもらっている。

(だからかのじょはぎねんをむしかえしたりしないだろうとおもう」)

だから彼女は疑念を蒸し返したりしないだろうと思う」

(「あいつがそのおんなにいっていないことをさらけだしてやる」)

「あいつがその女に言っていないことをさらけ出してやる」

(みす・うぃんたーがいった。「おおさわぎになったやついがいにも、)

ミス・ウィンターが言った。「大騒ぎになったやつ以外にも、

(ひとりかふたりころしたのをちょっときいたんだ。あいつはだれかのことを)

一人か二人殺したのをちょっと聞いたんだ。あいつは誰かのことを

(おだやかにはなしていて、それからあたいをぎろりとみていったんだ。)

穏やかに話していて、それからあたいをぎろりと見て言ったんだ。

(「いっかげついないにかれはしんだ」ほらばなしじゃなかった、ぜったい。)

『一ヶ月以内に彼は死んだ』ほら話じゃなかった、絶対。

(しかしほとんどきにしなかった、・・・・・わかるだろう、そのときはあたいは)

しかしほとんど気にしなかった、・・・・・分かるだろう、その時はあたいは

(あいつにぞっこんだった。あいつがなにをやってもあたいはなっとくしていた。)

あいつにぞっこんだった。あいつが何をやってもあたいは納得していた。

(そのばかむすめとおなじようにさ!あたいをどうようさせたのはたったひとつだけ。)

その馬鹿娘と同じようにさ!あたいを動揺させたのはたった一つだけ。

(ああ、ちくしょう!もし、あいつがいじのわるいうそでいいわけしてなだめなかったら、)

ああ、畜生!もし、あいつが意地の悪い嘘で言い訳してなだめなかったら、

(そのばんのうちにあいつのところからでていったのに。あいつがもっているほんだよ、)

その晩の内にあいつのところから出て行ったのに。あいつが持っている本だよ、

(ーーかぎのついたちゃいろのかわびょうしでそとがわにあいつのきんのもんしょうがついているほんさ。)

―― 鍵のついた茶色の革表紙で外側にあいつの金の紋章がついている本さ。

(あのよるはちょっとよっていたとおもうんだ。)

あの夜はちょっと酔っていたと思うんだ。

(そうでなきゃあれをあたいにみせたりはしなかったはずさ」)

そうでなきゃあれをあたいに見せたりはしなかったはずさ」

(「あれとは、いったいなんなんだ?」)

「あれとは、いったい何なんだ?」

(「いいかい、ほーむずさん、このおとこはおんなをしゅうしゅうしているのさ。)

「いいかい、ホームズさん、この男は女を収集しているのさ。

(だからがやちょうのしゅうしゅうかみたいに、そのこれくしょんがじまんなんだ。)

だから蛾や蝶の収集家みたいに、そのコレクションが自慢なんだ。

(あいつはそれをぜんぶ、てちょうにあつめていた。すなっぷしゃしん、なまえ、しょうさい、)

あいつはそれを全部、手帳に集めていた。スナップ写真、名前、詳細、

(すべてのことをね。いまわしいてちょうだった、・・・・にんげんのかくもんじゃない。)

全てのことをね。忌まわしい手帳だった、・・・・人間の書くもんじゃない。

(あいつがひんみんくつそだちのだったとしても、あんなものはかけなかったはずだ。)

あいつが貧民窟育ちのだったとしても、あんなものは書けなかったはずだ。

(しかしあれはまちがいなくあでるばーと・ぐらなーのてちょうだった。)

しかしあれは間違いなくアデルバート・グラナーの手帳だった。

(「わがはめつさせしたましい」そのきがあれば、ひょうしにそんなふうにかけただろうよ。)

『我が破滅させし魂』その気があれば、表紙にそんな風に書けただろうよ。

(しかし、どうにもならないさ。あのほんはあんたのやくにたたないだろうし、)

しかし、どうにもならないさ。あの本はあんたの役に立たないだろうし、

(かりにやくにたったとしてもてにいれられない」)

仮に役に立ったとしても手に入れられない」

(「どこにあるんだ?」)

「どこにあるんだ?」

(「なんであたいがいまどこにあるかしってるんだよ?)

「なんであたいが今どこにあるか知ってるんだよ?

(あたいがあいつとわかれたのはいちねんいじょうまえさ。)

あたいがあいつと別れたのは一年以上前さ。

(そのときどこにおいていたかはわかってるけど。)

その時どこにおいていたかはわかってるけど。

(あいつは、たいていのことは、せいかくできちょうめんなねこみたいだから、)

あいつは、たいていの事は、正確で几帳面な猫みたいだから、

(たぶんまだおくのしょさいのふるいひきだしのせいりばこのなかにまだあるんじゃないか。)

多分まだ奥の書斎の古い引き出しの整理箱の中にまだあるんじゃないか。

(あいつのいえはしってるのかい?」)

あいつの家は知ってるのかい?」

(「しょさいにはいったことがある」ほーむずはいった。)

「書斎に入ったことがある」ホームズは言った。

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