白面の兵士 3
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問題文
(「わたしとちちおやはすぐにちょっといいあいになりました。そしてこれが、)
「私と父親はすぐにちょっと言い合いになりました。そしてこれが、
(わたしをおいかえそうというけいりゃくかもしれないとおもわなかったら、えきまであるいて)
私を追い返そうという計略かもしれないと思わなかったら、駅まで歩いて
(もどっていたにちがいありません。わたしはすぐにちちおやのしょさいにとおされ、そこで)
戻っていたに違いありません。私はすぐに父親の書斎に通され、そこで
(ちちおやとあいました。せのまがったおおきなおとこでした。くろずんだはだに、)
父親と会いました。背の曲がった大きな男でした。黒ずんだ肌に、
(もじゃもじゃのしらがまじりのあごひげをはやしていました。)
もじゃもじゃの白髪交じりの顎鬚を生やしていました。
(かれはちらかったつくえのむこうにすわっていました。あかいけっかんがういたはなは)
彼はちらかった机の向こうに座っていました。赤い血管が浮いた鼻は
(はげわしのくちばしのようにつきでて、おそろしいはいいろのめがぼさぼさの)
ハゲワシのくちばしのように突き出て、恐ろしい灰色の目がボサボサの
(まゆのしたでひかっていました。わたしはこのときごどふりーがほとんど)
眉の下で光っていました。私はこの時ゴドフリーがほとんど
(ちちおやのことをはなさなかったわけがわかるきがしました」)
父親の事を話さなかった訳が分かる気がしました」
(「「それで」かれはしわがれたこえでいいました。「なぜここにきたのか、)
「『それで』彼はしわがれた声で言いました。『なぜここに来たのか、
(ほんとうのりゆうをしりたいな」」「わたしはかれのつまにだしたてがみでかいていたことを)
本当の理由を知りたいな』」「私は彼の妻に出した手紙で書いていた事を
(はなしました」「「なるほど。きみはあふりかでごどふりーとしりあったと)
話しました」「『なるほど。君はアフリカでゴドフリーと知り合ったと
(いっていたな。もちろん、きみがじぶんでそういっているだけだが」」)
言っていたな。もちろん、君が自分でそういっているだけだが』」
(「「かれのてがみがこのぽけっとにあります」」)
「『彼の手紙がこのポケットにあります』」
(「「おてすうだがみせてもらおうか」」「かれはわたしがてわたしたにつうのてがみに)
「『お手数だが見せてもらおうか』」「彼は私が手渡した二通の手紙に
(めをとおし、そのごなげかえしました」「「ふん、それでなんだ?」かれはたずねた」)
目を通し、その後投げ返しました」「『ふん、それで何だ?』彼は尋ねた」
(「「わたしはあなたのむすこのごどふりーとはなかがよかったんです。わたしたちは、)
「『私はあなたの息子のゴドフリーとは仲がよかったんです。私たちは、
(たくさんのきずなとおもいででむすばれています。かれからとつぜんれんらくが)
たくさんの絆と思い出で結ばれています。彼から突然連絡が
(こなくなったのにふしんにもおもわず、かれがどうなったのかしりたいとも)
来なくなったのに不審にも思わず、彼がどうなったのか知りたいとも
(おもわなければふしぜんではないですか?」」)
思わなければ不自然ではないですか?』」
(「「たしか、わしはすでにむすこのしょうそくをかいたてがみをきみにおくった)
「『たしか、わしはすでに息子の消息を書いた手紙を君に送った
(きおくがあるが。むすこはせかいいっしゅうのこうかいにでかけたのだ。むすこのけんこうじょうたいは)
記憶があるが。息子は世界一周の航海に出かけたのだ。息子の健康状態は
(あふりかのせんそうからもどったあとおもわしくなかった。だからつまとわたしは、)
アフリカの戦争から戻った後おもわしくなかった。だから妻と私は、
(かんぜんなきゅうそくときぶんてんかんがひつようだとおもったのだ。おてすうだが、ほかのゆうじんで)
完全な休息と気分転換が必要だと思ったのだ。お手数だが、他の友人で
(きにしているひとがいるなら、れんらくしておいてくれないか」」)
気にしている人がいるなら、連絡しておいてくれないか』」
(「「もちろんです」わたしはこたえました。「しかし、ひじょうにもうしわけありませんが、)
「『もちろんです』私は答えました。『しかし、非常に申し訳ありませんが、
(しゅっぱつしたひ、ふねのなまえとこうろをおうかがいできませんか。きっとかれとてがみで)
出発した日、船の名前と航路をおうかがいできませんか。きっと彼と手紙で
(れんらくがとれるとおもいます」」「わたしのこのようきゅうにちちおやはこまっていらいらした)
連絡が取れると思います』」「私のこの要求に父親は困ってイライラした
(ようだった。ふといまゆをめにかぶさるまでしかめると、がまんできないようすで)
ようだった。太い眉を目にかぶさるまでしかめると、我慢できない様子で
(てーぶるのうえをゆびでたたきました。かれはついにしせんをあげました。ちぇすで)
テーブルの上を指で叩きました。彼は遂に視線を上げました。チェスで
(いたいてをさされたあいてにどうはんげきするかきめたようなひょうじょうでした」)
痛い手を指された相手にどう反撃するか決めたような表情でした」
(「「たいていのにんげんは、どっどくん」かれはいいました。「そんなにしつこい)
「『大抵の人間は、ドッド君』彼は言いました。『そんなにしつこい
(たいどをとられると、はらをたてるだろうな。それに、そこまでしゅうちゃくするのは、)
態度をとられると、腹を立てるだろうな。それに、そこまで執着するのは、
(このうえなくぶれいなこういだとおもうものだ」」「「おいかりをおしずめください。)
この上なく無礼な行為だと思うものだ』」「『お怒りをお静めください。
(わたしはこころのそこからあなたのむすこさんをあんじているのですから」」)
私は心の底からあなたの息子さんを案じているのですから』」
(「「そうだな。わしはすでにそのことについては、すべてしんしゃくしている。)
「『そうだな。わしはすでにそのことについては、すべて斟酌している。
(しかしわしはきみに、これいじょうせんさくしないようにたのむしかない。)
しかしわしは君に、これ以上詮索しないように頼むしかない。
(どんなかぞくにも、それぞれないぶのじじょうとかんがえかたがある。)
どんな家族にも、それぞれ内部の事情と考え方がある。
(それはいつでもがいぶのにんげんにあきらかにできるわけではない、)
それはいつでも外部の人間に明らかにできるわけではない、
(ーーいかにぜんいのあいてだとしてもだ。つまはごどふりーのかこのことについて)
――いかに善意の相手だとしてもだ。妻はゴドフリーの過去の事について
(はなしをききたがっている。きみならつまにそのはなしをしてやれるだろう。)
話を聞きたがっている。君なら妻にその話をしてやれるだろう。
(しかしげんざいとみらいについてはふれないようにおねがいする。そういうせんさくは)
しかし現在と未来については触れないようにお願いする。そういう詮索は
(むいみなことだし、われわれをびみょうでむずかしいたちばにたたせることになるのだ」」)
無意味なことだし、我々を微妙で難しい立場に立たせることになるのだ』」
(「これではおてあげです、ほーむずさん。とりつくしまもありませんでした。)
「これではお手上げです、ホームズさん。とりつく島もありませんでした。
(なっとくしたふりをしてあたまをさげるのがせいいっぱいでした。しかし、わたしはこころのなかで)
納得した振りをして頭を下げるのが精一杯でした。しかし、私は心の中で
(ゆうじんがどうなったかはっきりするまではけっしてあきらめないとけっしんしました。)
友人がどうなったかはっきりするまでは決してあきらめないと決心しました。
(あれは、つらいよるでした。さんにんでしょくじをしたのですが、うすぐらく、)
あれは、つらい夜でした。三人で食事をしたのですが、薄暗く、
(くすんだふるいへやでした。ははおやはむすこについてねっしんにしつもんしましたが、)
くすんだ古い部屋でした。母親は息子について熱心に質問しましたが、
(ちちおやはくちかずがすくなく、きがめいっているようにみえました。)
父親は口数が少なく、気が滅入っているように見えました。
(わたしはぜんたいのなりゆきにうんざりしてましたので、)
私は全体の成り行きにうんざりしてましたので、
(れいをしっしないじこくになるとすぐにこうじつをつくって、しんしつにいきました。)
礼を失しない時刻になるとすぐに口実を作って、寝室に行きました。
(しんしつはいっかいにあり、ほかのへやとおなじようにがらんとしたうすぐらい)
寝室は一階にあり、他の部屋と同じようにがらんとした薄暗い
(おおきなへやでした。しかし、ほーむずさん、ひとはあふりかのそうげんで)
大きな部屋でした。しかし、ホームズさん、人はアフリカの草原で
(いちねんもねとまりすれば、すむばしょにちゅうもんをつけたりしなくなるものです。)
一年も寝泊まりすれば、住む場所に注文をつけたりしなくなるものです。
(わたしはかーてんをあけてにわをながめました。よぞらは、よくはれわたっていて、)
私はカーテンを開けて庭を眺めました。夜空は、よく晴れ渡っていて、
(はんげつがあかるくかがやいていました。それから、もえさかるだんろのとなりにこしを)
半月が明るく輝いていました。それから、燃えさかる暖炉の隣に腰を
(おろしました。そばのてーぶるのうえにらんぷがありましたので、しょうせつをよんで)
下ろしました。側のテーブルの上にランプがありましたので、小説を読んで
(きをまぎらわせようとおもいました。しかしとちゅうでろうしつじのらるふが、せきたんを)
気をまぎらわせようと思いました。しかし途中で老執事のラルフが、石炭を
(たすためにはいってきました」「「きびしいかんきでへやがひえていますので、)
足すために入ってきました」「『厳しい寒気で部屋が冷えていますので、
(あさまでにもえつきてしまうかもしれないとおもってきました」」)
朝までに燃え尽きてしまうかもしれないと思って来ました』」
(「かれはへやからでるまえにちょっとしゅんじゅんするようすをみせました。)
「彼は部屋から出る前にちょっと逡巡する様子を見せました。
(わたしがふりかえると、しわだらけのかおにものいいたげなひょうじょうをうかべ、)
私が振り返えると、しわだらけの顔に物言いたげな表情を浮かべ、
(こちらをむいていました」「「もうしわけありません。たちぎきするつもりは)
こちらを向いていました」「『申し訳ありません。立ち聞きするつもりは
(なかったのですが、あなたがゆうしょくじにごどふりーわかしゅじんのことを)
なかったのですが、あなたが夕食時にゴドフリー若主人のことを
(はなしているのがきこえてしまいました。つまがごどふりーわかしゅじんの)
話しているのが聞こえてしまいました。妻がゴドフリー若主人の
(うばをしていたのはごぞんじかとおもいます。ですから、わたしはそだてのちちと)
乳母をしていたのはご存知かと思います。ですから、私は育ての父と
(いってもよいたちばです。わたしたちふうふがきょうみをひかれてもしかたがないはずです。)
言ってもよい立場です。私たち夫婦が興味をひかれても仕方がないはずです。
(わかさまのたたかいぶりがりっぱだとおっしゃっていましたね?」」)
若様の戦いぶりが立派だとおっしゃっていましたね?』」