白面の兵士 8
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問題文
(「どうやってしったのだ?」)
「どうやって知ったのだ?」
(かれはいすにどさりとすわりこんであえぐようにいった。)
彼は椅子にどさりと座り込んであえぐように言った。
(「ものごとをしるのがわたしのしごとです。これがほんぎょうですので」)
「物事を知るのが私の仕事です。これが本業ですので」
(かれはやせたてでぼさぼさのあごひげをひっぱりながら、すわってじっと)
彼は痩せた手でぼさぼさの顎鬚を引っ張りながら、座ってじっと
(かんがえこんだ。それからかれは、もうこれまでだというようにくびをふった。)
考え込んだ。それから彼は、もうこれまでだというように首を振った。
(「よし、もしごどふりーにあいたいのなら、あうがいい。)
「よし、もしゴドフリーに会いたいのなら、会うがいい。
(わしがそうしたのではない、おまえがそうさせたのだ。)
わしがそうしたのではない、お前がそうさせたのだ。
(らるふ、ごどふりーとけんとくんにごふんごにわたしたちがいくといいなさい」)
ラルフ、ゴドフリーとケント君に五分後に私たちが行くと言いなさい」
(そのごふんご、わたしたちはにわのみちをすすみ、そのつきあたりにあるなぞのいえの)
その五分後、私たちは庭の道を進み、その突き当たりにある謎の家の
(まえまできた。こがらなあごひげをはやしたおとこが、きょうがくのひょうじょうでとぐちにたっていた。)
前まで来た。小柄な顎鬚を生やした男が、驚愕の表情で戸口に立っていた。
(「やけにきゅうではないですか、えむすわーすたいさ」かれはいった。)
「やけに急ではないですか、エムスワース大佐」彼は言った。
(「けいかくがぜんぶだいなしになりますよ」)
「計画が全部台無しになりますよ」
(「どうしようもないのだ、けんとくん。むりやりこうなった。)
「どうしようもないのだ、ケント君。無理やりこうなった。
(ごどふりーとはあえるか?」「ええ、なかでまっています」)
ゴドフリーとは会えるか?」「ええ、中で待っています」
(かれはふりかえってわたしたちをおおきなかんそなないそうのいまにあんないした。)
彼は振り返って私達を大きな簡素な内装の居間に案内した。
(だんろのほうにせなかをむけたおとこがたっていた。かれをみるなり、いらいにんは)
暖炉の方に背中を向けた男が立っていた。彼を見るなり、依頼人は
(てをのばしてさっとまえにはしりよった。「ああ、ごどふりー、)
手を伸ばしてさっと前に走り寄った。「ああ、ゴドフリー、
(あえてうれしいよ!」しかしあいてはさがれというようにてをふった。)
会えて嬉しいよ!」しかし相手は下がれというように手を振った。
(「ぼくにさわるな、じみー。はなれていてくれ。そうだ、みておどろくのもとうぜんだ、)
「僕に触るな、ジミー。離れていてくれ。そうだ、見て驚くのも当然だ、
(かっこいいbちゅうたいのえむすわーすごちょうにはまったくみえないだろう?」)
かっこいいB中隊のエムスワース伍長には全く見えないだろう?」
(かれのがいかんはたしかにものすごかった。かれがかつてはほんとうにおとこまえだったことは)
彼の外観は確かにものすごかった。彼がかつては本当に男前だったことは
(よくわかる。あふりかのたいようでひにやけためはなだちはみごとだった。しかし)
よく分かる。アフリカの太陽で日に焼けた目鼻立ちは見事だった。しかし
(かれのくろいはだいちめんにてんてんと、ひょうはくしたようなきみょうなしろいはんてんがうかんでいた。)
彼の黒い肌一面に点々と、漂白したような奇妙な白い斑点が浮かんでいた。
(「ぼくがひととあおうとしなかったのはこれがげんいんだ」かれはいった。)
「僕が人と会おうとしなかったのはこれが原因だ」彼は言った。
(「きみとあうことはかまわない、じみー、しかしともだちをつれてきて)
「君と会う事は構わない、ジミー、しかし友達を連れてきて
(ほしくはなかった。なにかしかるべきりゆうがあるとはおもうが、)
欲しくはなかった。なにかしかるべき理由があるとは思うが、
(これでぼくをひじょうにまずいたちばになっている」)
これで僕を非常にまずい立場になっている」
(「きみになにももんだいがないのかしりたかったんだ、ごどふりー。)
「君に何も問題がないのか知りたかったんだ、ゴドフリー。
(ぼくはまどをのぞきこんでいるのをみかけた。すべてをはっきりさせるまで)
僕は窓を覗き込んでいるのを見かけた。全てをはっきりさせるまで
(そのままにしておくことはできなかった」)
そのままにしておくことはできなかった」
(「らるふじいからきみがきているときいて、どうしてもひとめみたくなったんだ。)
「ラルフ爺から君が来ていると聞いて、どうしても一目見たくなったんだ。
(まどがあくおとをきいたとき、きみにはみられたくなかったから、)
窓が開く音を聞いた時、君には見られたくなかったから、
(ぼくはかくれがににげるしかなかった」)
僕は隠れ家に逃げるしかなかった」
(「しかし、いったいぜんたいどういうことなんだ?」)
「しかし、一体全体どういうことなんだ?」
(「まあ、そんなにじかんのかかるはなしじゃない」かれはたばこにひをつけていった。)
「まあ、そんなに時間のかかる話じゃない」彼は煙草に火をつけて言った。
(「きみは、ぷれとりあこうがいのひがしせんろ、ばふるすぷるーとで)
「君は、プレトリア郊外の東線路、バフルスプルートで
(ごぜんちゅうにあったせんとうをおぼえているだろう?ぼくがうたれたことはきいたか?」)
午前中にあった戦闘を覚えているだろう?僕が撃たれたことは聞いたか?」
(「ああ、それはきいた。しかししょうさいはぜんぜんわからなかった」)
「ああ、それは聞いた。しかし詳細は全然分からなかった」
(「われわれさんにんはほかのへいしとはぐれた。きみもおぼえているように)
「我々三人は他の兵士とはぐれた。君も覚えているように
(あそこのちけいはふくざつだ。さんにんとは、しんぷそん、ーーなかまは)
あそこの地形は複雑だ。三人とは、シンプソン、――仲間は
(はげのしんぷそんとよんでいたなーーそしてあんだーそん、それからぼくだ。)
禿げのシンプソンと呼んでいたな――そしてアンダーソン、それから僕だ。
(われわれはぼーあへいをそうとうしていたが、てきはみをひそめてわれわれさんにんをこうげきした。)
我々はボーア兵を掃討していたが、敵は身を潜めて我々三人を攻撃した。
(ほかのふたりはしんだ。ぼくはぞううちだんをかたにうけた。しかしぼくはうまにしがみつき、)
他の二人は死んだ。僕はゾウ撃弾を肩に受けた。しかし僕は馬にしがみつき、
(うまはすうまいるかけていった。そのごぼくはきをうしなってくらからころげおちた」)
馬は数マイル駆けて行った。その後僕は気を失って鞍から転げ落ちた」
(「ぼくがいしきをとりもどすと、よるがふけていた。ひろうこんぱいしてきぶんがわるかったが)
「僕が意識を取り戻すと、夜が更けていた。疲労困憊して気分が悪かったが
(ぼくはみをおこした。おどろいたことにぼくのすぐちかくにいっけんのいえがあった。)
僕は身を起こした。驚いたことに僕のすぐ近くに一軒の家があった。
(ひろいべらんだとたくさんのまどがあるとてもおおきないえだった。おそろしいほどさむかった。)
広いベランダと沢山の窓があるとても大きな家だった。恐ろしいほど寒かった。
(よるがくるとしびれるようなさむさがきたのをおぼえているだろう。きりっとした)
夜が来ると痺れるような寒さが来たのを覚えているだろう。きりっとした
(ここちよいかんきとはまったくちがう、おそろしくたえがたいさむさだ。)
心地よい寒気とはまったく違う、恐ろしく耐え難い寒さだ。
(ほねにしみいるようなさむさだったので、そのいえでてあしをのばして)
骨に染み入るような寒さだったので、その家で手足を伸ばして
(よこになることだけがたったひとつのきぼうだった。ぼくはよろよろとたちあがり、)
横になることだけがたった一つの希望だった。僕はよろよろと立ち上がり、
(なにをしているのかほとんどいしきもないまま、みをひきずっていった。)
何をしているのかほとんど意識もないまま、身を引きずって行った。
(ぼんやりときおくにあるのは、ぼくはゆっくりとかいだんをあがり、あけっぱなしの)
ぼんやりと記憶にあるのは、僕はゆっくりと階段を上がり、あけっぱなしの
(とびらをはいり、いくつもべっどがあるおおきなへやにはいり、あんどのためいきをもらして)
扉を入り、いくつもベッドがある大きな部屋に入り、安堵のため息を漏らして
(そのひとつにみをなげだしたことだ。しんぐはみだれていたが、そんなことは)
その一つに身を投げ出したことだ。寝具は乱れていたが、そんなことは
(もんだいではなかった。ぼくはしんぐをふるえるからだにかけ、いっしゅんでふかいねむりにおちた。」)
問題ではなかった。僕は寝具を震える体にかけ、一瞬で深い眠りに落ちた。」
(「めがさめるとあさになっていた。そしてぼくは、めがさめてもとのせかいに)
「目が覚めると朝になっていた。そして僕は、目が覚めて元の世界に
(もどるかわりに、とんでもないあくむのせかいにやってきたとおもった。)
戻る代わりに、とんでもない悪夢の世界にやってきたと思った。
(あふりかのたいようがおおきなかーてんのかかっていないまどからふりそそぎ、)
アフリカの太陽が大きなカーテンの掛かっていない窓から降り注ぎ、
(おおきなかぐのないしっくいのきょうどうしんしつはすみずみまで、いたいほどくっきりと)
大きな家具のない漆喰の共同寝室は隅々まで、痛いほどくっきりと
(うかびあがっていた。ぼくのめのまえには、おおきなきゅうこんのようなあたまをした)
浮かび上がっていた。僕の目の前には、大きな球根のような頭をした
(ひじょうにせのひくいおとこがたっていた。かれはぼくにはちゃいろいすぽんじのようにみえる)
非常に背の低い男が立っていた。彼は僕には茶色いスポンジのようにみえる
(おそろしいにほんのてをふりながらおらんだごでこうふんしてまくしたてていた。)
恐ろしい二本の手を振りながらオランダ語で興奮してまくしたてていた。
(かれのうしろに、このじょうきょうをひじょうにおもしろがっているようなひとのむれができていた。)
彼の後ろに、この状況を非常に面白がっているような人の群れができていた。
(しかしぼくはかれらをみてぜんしんにさむけがはしった。かれらのなかにふつうのすがたのにんげんは)
しかし僕は彼らを見て全身に寒気が走った。彼らの中に普通の姿の人間は
(いなかった。ぜんいんがきみょうにまがったりふくれあがったりへんけいしたりしていた。)
いなかった。全員が奇妙に曲がったり膨れ上がったり変形したりしていた。
(このみなれぬにんげんがわらっているのをきくとぞっとした」)
この見慣れぬ人間が笑っているのを聞くとぞっとした」