有島武郎 或る女㉙

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(たんちょうなふなたびにあきはてて、したたかしげきにうえたおとこのむれは、このふたりのじょせいを)

単調な船旅にあき果てて、したたか刺激に飢えた男の群れは、この二人の女性を

(ちゅうしんにしてしらずしらずうずまきのようにめぐっていた。たがわふじんとようことの)

中心にして知らず知らず渦巻きのようにめぐっていた。田川夫人と葉子との

(あんとうはひょうめんにはすこしもめにたたないでたたかわれていたのだけれども、それが)

暗闘は表面には少しも目に立たないで戦われていたのだけれども、それが

(おとこたちにしぜんにしげきをあたえないではおかなかった。たいらなみずにぐうぜんおちてきた)

男たちに自然に刺激を与えないではおかなかった。平らな水に偶然落ちてきた

(びふうのひきおこすちいさなはもんほどのへんかでも、ふねのなかではひとかどのじけんだった。)

微風のひき起こす小さな波紋ほどの変化でも、船の中では一かどの事件だった。

(おとこたちはなぜともなくいっしゅのきんちょうときょうみとをかんずるようにみえた。たがわふじんは)

男たちはなぜともなく一種の緊張と興味とを感ずるように見えた。田川夫人は

(びみょうなおんなのほんのうとちょっかくとで、じりじりとようこのこころのすみずみをさぐりまわしている)

微妙な女の本能と直覚とで、じりじりと葉子の心のすみずみを探り回している

(ようだったが、ついにここぞというきゅうしょをつかんだらしくみえた。それまでじむちょう)

ようだったが、ついにここぞという急所を掴んだらしく見えた。それまで事務長

(にたいしてみくだしたようなていねいさをみせていたふじんは、みるみるたいどをかえて、)

に対して見下したような丁寧さを見せていた夫人は、見る見る態度を変えて、

(しょくたくでもふたりは、せきがとなりあっているからといういじょうなしたしげなかいわをとり)

食卓でも二人は、席が隣り合っているからという以上な親しげな会話を取り

(かわすようになった。たがわはかせまでがふじんのいをむかえて、なにかにつけてじむちょうの)

かわすようになった。田川博士までが夫人の意を迎えて、何かにつけて事務長の

(へやにしげくでいりするばかりか、じむちょうはたいていのよるはたがわふさいの)

室(へや)に繁く出入りするばかりか、事務長はたいていの夜は田川夫妻の

(へやによびむかえられた。たがわはかせはもとよりふねのしょうきゃくである。それをそらす)

部屋に呼び迎えられた。田川博士はもとより船の正客である。それをそらす

(ようなじむちょうではない。くらちはせんいのこうろくまでをてつだわせて、たがわふさいのりょじょうを)

ような事務長ではない。倉知は船医の興録までを手伝わせて、田川夫妻の旅情を

(なぐさめるようにふるまった。たがわはかせのせんしつにはよるおそくまでひがかがやいて、)

慰めるように振る舞った。田川博士の船室には夜おそくまで灯がかがやいて、

(ふじんのきょうありげにたかくわらうこえがしつがいまできこえることがめずらしくなかった。ようこは)

夫人の興ありげに高く笑う声が室外まで聞こえる事が珍しくなかった。葉子は

(たがわふじんのこんなしうちをうけても、こころのなかであざわらっているのみ)

田川夫人のこんな仕打ちを受けても、心の中で冷笑(あざわら)っているのみ

(だった。すでにじぶんがかちみになっているというじかくは、ようこにはんどうてきなかんだいな)

だった。すでに自分が勝ち味になっているという自覚は、葉子に反動的な寛大な

(こころをあたえて、ふじんがじむちょうをとりこにしようとしていることなどはてんで)

心を与えて、夫人が事務長を擄(とりこ)にしようとしている事などはてんで

(もんだいにはしまいとした。ふじんはよけいなけんとうちがいをして、いたくもないはらをさぐって)

問題にはしまいとした。夫人はよけいな見当違いをして、痛くもない腹を探って

など

(いる、じむちょうがどうしたというのだ。ははのはらをでるとそのままなんのくんれんも)

いる、事務長がどうしたというのだ。母の胎を出るとそのままなんの訓練も

(うけずにそだちあがったようなぶしつけな、どうぶつせいのまさった、どんなことをしてきた)

受けずに育ち上がったようなぶしつけな、動物性の勝った、どんな事をしてきた

(のか、どんなことをするのかわからないようなたかがじむちょうになんのきょうみがある)

のか、どんな事をするのかわからないようなたかが事務長になんの興味がある

(ものか。あんなにんげんにきをひかれるくらいなら、じぶんはとうによろこんできむらのあいに)

ものか。あんな人間に気を引かれるくらいなら、自分はとうに喜んで木村の愛に

(なずいているのだ。けんとうちがいもいいかげんにするがいい。そうはがみをしたい)

なずいているのだ。見当違いもいいかげんにするがいい。そう歯がみをしたい

(くらいなきぶんでおもった。あるゆうがたようこはいつものとおりさんぽしようとかんぱんに)

くらいな気分で思った。 ある夕方葉子はいつものとおり散歩しようと甲板に

(でてみると、はるかとおいてすりのところにおかがたったひとりしょんぼりとよりかかって、)

出て見ると、はるか遠い手欄の所に岡がたった一人しょんぼりとよりかかって、

(うみをみいっていた。ようこはいたずらものらしくそっとあしおとをぬすんで、しのびしのび)

海を見入っていた。葉子はいたずら者らしくそっと足音を盗んで、忍び忍び

(ちかづいて、いきなりおかとかたをすりあわせるようにしてたった。おかはふいにひとが)

近づいて、いきなり岡と肩をすり合わせるようにして立った。岡は不意に人が

(あらわれたのでひじょうにおどろいたふうで、かおをそむけてそのばをたちさろうと)

現われたので非常に驚いたふうで、顔をそむけてその場を立ち去ろうと

(するのを、ようこはいやおうなしにてをにぎってひきとめた。おかがにげかくれようとする)

するのを、葉子は否応なしに手を握って引き留めた。岡が逃げ隠れようとする

(のもどうり、そのかおにはなみだのあとがまざまざとのこっていた。しょうねんからせいねんになった)

のも道理、その顔には涙のあとがまざまざと残っていた。少年から青年になった

(ばかりのような、うちきらしい、こがらなおかのすがたは、なにもかもあらあらしいふねのなかでは)

ばかりのような、内気らしい、小柄な岡の姿は、何もかも荒々しい船の中では

(ことさらでりけーとなかれんなものにみえた。ようこはいたずらばかりでなく、)

ことさらデリケートな可憐なものに見えた。葉子はいたずらばかりでなく、

(このせいねんにいっしゅのあわあわしいあいをおぼえた。「なにをないてらしったの」こくびをぞんぶん)

この青年に一種の淡々しい愛を覚えた。「何を泣いてらしったの」小首を存分

(かたむけて、しょうじょがしょうじょにものをたずねるように、かたにてをおきそえながらきいてみた。)

傾けて、少女が少女に物を尋ねるように、肩に手を置きそえながら聞いてみた。

(「ぼく・・・ないていやしません」おかはりょうほうのほおをあかくいろどって、こういいながら)

「僕・・・泣いていやしません」岡は両方の頬を紅く彩って、こういいながら

(くるりとからだをそっぽうにむけかえようとした。それがどうしてもしょうじょのよう)

くるりとからだをそっぽうに向け換えようとした。それがどうしても少女のよう

(なしぐさだった。だきしめてやりたいようなそのにくたいと、にくたいにつつまれたこころ。)

なしぐさだった。抱きしめてやりたいようなその肉体と、肉体に包まれた心。

(ようこはさらにすりよった。「いいえいいえないてらっしゃいましたわ」おかは)

葉子はさらにすり寄った。「いいえいいえ泣いてらっしゃいましたわ」岡は

(とほうにくれたようにめのしたのうみをながめていたが、のがれるすべのないのを)

途方に暮れたように目の下の海をながめていたが、のがれる術のないのを

(さとって、おおっぴらにはんけちをずぼんのぽけっとからだしてめをぬぐった。)

覚って、大っぴらにハンケチをズボンのポケットから出して目をぬぐった。

(そしてすこしうらむようなめつきをして、はじめてまともにようこをみた。くちびるまでが)

そして少し恨むような目つきをして、始めてまともに葉子を見た。口びるまでが

(いちごのようにあかくなっていた。あおじろいひふにはめこまれたそのあかさを、しきさいに)

苺のように紅くなっていた。青白い皮膚に嵌め込まれたその紅さを、色彩に

(びんかんなようこはみのがすことができなかった。おかはなにかしらひじょうにこうふんしていた。)

敏感な葉子は見のがす事ができなかった。岡は何かしら非常に興奮していた。

(そのこうふんしてぶるぶるふるえるしなやかなてをようこはてすりごとじっとおさえた。)

その興奮してぶるぶる震えるしなやかな手を葉子は手欄ごとじっと押えた。

(「さ、これでおふきあそばせ」ようこのたもとからはうつくしいかおりのこもったちいさな)

「さ、これでおふき遊ばせ」葉子の袂からは美しい香りのこもった小さな

(りんねるのはんけちがとりだされた。「もってるんですから」おかはきょうしゅくしたよう)

リンネルのハンケチが取り出された。「持ってるんですから」岡は恐縮したよう

(にじぶんのはんけちをかえりみた。「なにをおなきになって・・・まあわたしったら)

に自分のハンケチを顧みた。「何をお泣きになって・・・まあわたしったら

(よけいなことまでうかがって」「なにいいんです・・・ただうみをみたらなんとなく)

よけいな事まで伺って」「何いいんです・・・ただ海を見たらなんとなく

(なみだぐんでしまったんです。からだがよわいもんですからくだらないことにまで)

涙ぐんでしまったんです。からだが弱いもんですからくだらない事にまで

(かんしょうてきになってこまります。・・・なんでもない・・・」ようこはいかにもどうじょうする)

感傷的になって困ります。・・・なんでもない・・・」葉子はいかにも同情する

(ようにがてんがってんした。おかがようことこうしていっしょにいるのをひどくうれしがって)

ように合点合点した。岡が葉子とこうして一緒にいるのをひどくうれしがって

(いるのがようこにはよくしれた。ようこはやがてじぶんのはんけちをてすりのうえにおいた)

いるのが葉子にはよく知れた。葉子はやがて自分のハンケチを手欄の上においた

(まま、「わたしのへやへもよろしかったらいらっしゃいまし。またゆっくり)

まま、「わたしの部屋へもよろしかったらいらっしゃいまし。またゆっくり

(おはなししましょうね」となつこくいってそこをさった。おかはけっしてようこのへやを)

お話ししましょうね」となつこくいってそこを去った。岡は決して葉子の部屋を

(おとずれることはしなかったけれども、このことのあってあとは、ふたりはよくしたしくはなし)

訪れる事はしなかったけれども、この事のあって後は、二人はよく親しく話し

(あった。おかはひとなじみのわるい、はなしのたねのない、ごくうぶなよなれない)

合った。岡は人なじみの悪い、話の種のない、ごく初心(うぶ)な世慣れない

(せいねんだったけれども、ようこはわずかなたくとですぐへだてをとりさってしまった。)

青年だったけれども、葉子はわずかなタクトですぐ隔てを取り去ってしまった。

(そしてうちとけてみるとかれはじょうひんな、どこまでもじゅんすいな、そしてさかしい)

そして打ち解けて見ると彼は上品な、どこまでも純粋な、そして慧(さ)かしい

(せいねんだった。わかいじょせいにはそのはにかみやなところからいままでたえてせっして)

青年だった。若い女性にはそのはにかみやな所から今まで絶えて接して

(いなかったので、ようこにはすがりつくようにしたしんできた。ようこもどうせいのこいを)

いなかったので、葉子にはすがり付くように親しんで来た。葉子も同性の恋を

(するようなきもちでおかをかわいがった。そのころからだ、じむちょうがおかにちかづく)

するような気持ちで岡をかわいがった。そのころからだ、事務長が岡に近づく

(ようになったのは。おかはようことはなしをしないときはいつでもじむちょうとさんぽなどをして)

ようになったのは。岡は葉子と話をしない時はいつでも事務長と散歩などをして

(いた。しかしじむちょうのしんゆうともおもわれるにさんのせんきゃくにたいしてはくちもきこうとは)

いた。しかし事務長の親友とも思われる二三の船客に対しては口もきこうとは

(しなかった。おかはときどきようこにじむちょうのうわさをしてきかした。そしてひょうめんは)

しなかった。岡は時々葉子に事務長のうわさをして聞かした。そして表面は

(あれほどそぼうのようにみえながら、かんがえのかわった、ねんれいやいちなどにへだてを)

あれほど粗暴のように見えながら、考えの変わった、年齢や位置などに隔てを

(おかない、しんせつなひとだといったりした。もっとこうさいしてみるといいともいった。)

おかない、親切な人だといったりした。もっと交際してみるといいともいった。

(そのたびごとにようこははげしくはんたいした。あんなにんげんをおかがはなしあいてにするのは)

そのたびごとに葉子は激しく反対した。あんな人間を岡が話し相手にするのは

(じっさいふしぎなくらいだ。あのひとのどこにおかときょうつうするようなすぐれたところがあろう)

実際不思議なくらいだ。あの人のどこに岡と共通するような優れた所があろう

(などとからかった。ようこにひきつけられたのはおかばかりではなかった。)

などとからかった。葉子に引き付けられたのは岡ばかりではなかった。

(ごさんがすんでひとびとがさるんにあつまるときなどはだんらんがたいていみっつくらいに)

午餐が済んで人々がサルンに集まる時などは団欒がたいてい三つくらいに

(わかれてできた。たがわふさいのしゅういにはいちばんたすうのひとがあつまった。がいこくじんだけ)

分かれてできた。田川夫妻の周囲にはいちばん多数の人が集まった。外国人だけ

(のだんたいからたがわのほうにくるひともあり、にほんのせいじかじつぎょうかれんはもちろんわれ)

の団体から田川のほうに来る人もあり、日本の政治家実業家連はもちろんわれ

(さきにそこにはせさんじた。そこからだんだんほそくいとのようにつながれてわかいりゅうがくせい)

先にそこに馳せ参じた。そこからだんだん細く糸のようにつながれて若い留学生

(とかがくしゃとかいうれんちゅうがじんをとり、それからまただんだんふとくつながれて、)

とか学者とかいう連中が陣を取り、それからまただんだん太くつながれて、

(ようことしょうねんしょうじょらのむれがいた。しょくどうでふいのしつもんにへきえきしたがいこうかんほなどは)

葉子と少年少女らの群れがいた。食堂で不意の質問に辟易した外交官補などは

(だいいちのれんらくのつなとなった。しゅうじんのまえではおかはえんりょするようにあまりようこにしたしむ)

第一の連絡の綱となった。衆人の前では岡は遠慮するようにあまり葉子に親しむ

(ようすはみせずにふそくふりのたいどをたもっていた。えんりょえしゃくなくそんなところでようこに)

様子は見せずに不即不離の態度を保っていた。遠慮会釈なくそんな所で葉子に

(なれしたしむのはこどもたちだった。まっしろなもすりんのきものをきてあかいおおきな)

なれ親しむのは子供たちだった。まっ白なモスリンの着物を着て赤い大きな

(りぼんをよそおったしょうじょたちや、すいへいふくでみがるによそおったしょうねんたちはようこのしゅういに)

リボンを装った少女たちや、水兵服で身軽に装った少年たちは葉子の周囲に

(はなわのようにあつまった。ようこがそういうひとたちをかたみがわりにだいたり)

花輪のように集まった。葉子がそういう人たちをかたみがわりに抱いたり

(かかえたりして、おとぎばなしなどしてきかせているようすは、ふねじゅうのみものだった。)

かかえたりして、お伽話などして聞かせている様子は、船中の見ものだった。

(どうかするとさるんのひとたちはじぶんらのあいだのわだいなどはすてておいてこのかれんな)

どうかするとサルンの人たちは自分らの間の話題などは捨てておいてこの可憐な

(こうけいをうっとりみやっているようなこともあった。ただひとつこれらのむれからは)

光景をうっとり見やっているような事もあった。ただ一つこれらの群れからは

(まったくぼつこうしょうないちだんがあった。それはじむちょうをちゅうしんにしたさんよにんのむれだった。)

全く没交渉な一団があった。それは事務長を中心にした三四人の群れだった。

(いつでもへやのいちぐうのちいさなたくをかこんで、そのたくのうえには)

いつでも部屋の一隅(いちぐう)の小さな卓を囲んで、その卓の上には

(ういすきーようのちいさなこっぷとみずとがそなえられていた。いちばんいい)

ウイスキー用の小さなコップと水とが備えられていた。いちばんいい

(においのたばこのけむりもそこからただよってきた。かれらはなにかひそひそとかたり)

香(にお)いの煙草の煙もそこから漂って来た。彼らは何かひそひそと語り

(あっては、ときどきぼうじゃくぶじんなたかいわらいごえをたてた。そうかとおもうとじっとたがわの)

合っては、時々傍若無人な高い笑い声を立てた。そうかと思うとじっと田川の

(むれのかいわにみみをかたむけていて、とおくのほうからとつぜんひにくのちゃちゃをいれることも)

群れの会話に耳を傾けていて、遠くのほうから突然皮肉の茶々を入れる事も

(あった。だれいうとなくひとびとはそのいちだんをけんじゅはとよびなした。)

あった。だれいうとなく人々はその一団を犬儒派(けんじゅは)と呼びなした。

(かれらがどんなしゅるいのひとでどんなしょくぎょうにじゅうじしているかをしるものはなかった。)

彼らがどんな種類の人でどんな職業に従事しているかを知る者はなかった。

(おかなどはほんのうてきにそのひとたちをいみきらっていた。ようこもなにかしらきのおける)

岡などは本能的にその人たちを忌みきらっていた。葉子も何かしら気のおける

(れんちゅうだとおもった。そしてひょうめんはいっこうむとんじゃくにみえながら、)

連中だと思った。そして表面はいっこう無頓着(むとんじゃく)に見えながら、

(じぶんにたいしてじゅうぶんのかんさつとちゅういとをおこたっていないのをかんじていた。)

自分に対して充分の観察と注意とを怠っていないのを感じていた。

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