海野十三 蠅男②

投稿者nyokesi プレイ回数326
難易度(4.3) 3977打 長文 長文モード可 タグ長文 小説 文豪



※➀に同じくです。


順位名前スコア称号打鍵/秒正誤率時間(秒)打鍵数ミス問題日付
1 nash 7883 8.1 96.4% 485.3 3972 146 81 2020/05/24
2 Yuu 7594 7.8 96.4% 497.6 3924 145 81 2020/05/08
3 berry 6818 S++ 7.0 96.4% 552.6 3912 144 81 2020/05/30
4 nao 6507 S+ 6.8 95.8% 582.6 3962 171 81 2020/04/12
5 berry 6376 S 6.6 95.8% 586.8 3910 168 81 2020/05/08

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問題文

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(はいいろのきじんかん)

◇灰色の奇人館◇

(おーいきみ、なにかくさくはないかあ)

「オーイ君、なにか臭くはないかア」

(と、ほむらはやぐらのしたから、うえをむいてさけんだ。)

と、帆村は櫓の下から、上を向いて叫んだ。

(うえでは、たんぜんにやどやのおびをしめたわかいおとこが、やぐらしたでなにかわめきたてて)

上では、丹前に宿屋の帯を締めた若い男が、櫓下でなにか喚きたてて

(いるのにきがついた。といってかれはとうばんでみはりちゅうのしょうぼうしゅなのだから、)

いるのに気がついた。といって彼は当番で見張り中の消防手なのだから、

(おりるわけにもいかない。そこでおいでおいでをして、はしごをあがってこい)

下りるわけにも行かない。そこでおいでおいでをして、梯子を上ってこい

(といういみのあいずをした。)

という意味の合図をした。

(よおし、ではいまあがるーー)

「よオし、ではいま上るーー」

(ほむらそうろくは、そこでしりはしょりをして、つめたいてつばしごに)

帆村荘六は、そこで尻端折(しりはしょ)りをして、冷い鉄梯子に

(つかまった。そしてげたをはいたまま、えっちらおっちらうえにのぼっていった。)

つかまった。そして下駄をはいたまま、エッチラオッチラ上にのぼっていった。

(うえにのぼるにつれ、すこしかぜがでてきて、かれはかみそりでなでられるような)

上にのぼるにつれ、すこし風が出てきて、彼は剃刀で撫でられるような

(つめたさをほおにかんじた。)

冷さを頬に感じた。

(ーーなんですねん、したからえらいわめいていてだしたが)

「ーーなんですねン、下からえらい喚いていてだしたが」

(と、せいふくのがいとうのえりであごをふかくうずめたしじゅうおとこのしょうぼうしゅがきいた。)

と、制服の外套の襟で頤を深く埋めた四十男の消防手が訊いた。

(かれはほむらがげたをはいてあがってきたのに、すこしあきれているふうだった。)

彼は帆村が下駄をはいて上ってきたのに、すこし呆れている風だった。

(おお、このへんなにおいだ。ここでもよくにおいますね。このにおいは)

「おお、このへんな臭いだ。ここでもよく臭いますね。この臭いは

(いつからにおっていましたか)

いつから臭っていましたか」

(ああこのけったいなにおいですかいな。これゆうべからして)

「ああこの怪(け)ったいな臭いですかいな。これ昨夜(ゆうべ)からして

(ましたがな。さよう、じゅうじごろでしたな。おういま、えらいぷんぷんしますな)

ましたがな。さよう、十時ごろでしたな。おう今、えらいプンプンしますな」

(そうですか。ゆうべのじゅうじごろからですかとほむらはうなずいて、いまはもうはちじ)

「そうですか。昨夜の十時ごろからですか」と帆村は肯いて、今はもう八時

など

(だからちょうどじゅうじかんたったわけだなとおもった。)

だから丁度十時間経ったわけだなと思った。

(いったいどのへんからにおってくるのでしょう)

「一体どの辺から匂ってくるのでしょう」

(さあ?と、しょうぼうしゅはくびをかしげて、ほむらのかおをみまもるばかりだった。)

「さあ?」と、消防手は首をかしげて、帆村の顔を見守るばかりだった。

(かれはどうやら、ほむらのしょくぎょうをそれとさっしたらしかった。)

彼はどうやら、帆村の職業をそれと察したらしかった。

(かぜはゆうべから、どんなふうにかわりましたか)

「風は昨夜から、どんな風に変わりましたか」

(ああかぜだすか。かぜは、そうですなあ、いまもゆうべも、ちっともかわってえ)

「ああ風だすか。風は、そうですなア、今も昨夜も、ちっとも変ってえ

(しまへん。ほくせいのかぜだす)

しまへん。北西の風だす」

(しょうぼうしゅだけに、かざむきをよくしっている。)

消防手だけに、風向きをよく知っている。

(ほくせいというと、こっちになりますね。どうです、しょうぼうしゅさん。こっちの)

「北西というと、こっちになりますね。どうです、消防手さん。こっちの

(ほうこうに、なにかこうけむりのあがっているようなところはみえないでしょうか)

方向に、なにかこう煙の上っているようなところは見えないでしょうか」

(ほむらのさすほうがくに、ひとのいいしょうぼうしゅはちらりとめをやったが、)

帆村の指す方角に、人のいい消防手はチラリと目をやったが、

(さよですなあ、ちょっとみてみまひょう)

「さよですなア、ちょっと見てみまひょう」

(といって、くびにかけていたぼうえんきょうをなれたてつきでとりだすと、ながくのばして、)

といって、首にかけていた望遠鏡を慣れた手つきで取出すと、長く伸ばして、

(いっぽうのめにおしあてた。)

一方の眼におしあてた。

(いかがです。なにかみえるでしょう)

「いかがです。なにか見えるでしょう」

(さあーーちょっとまっとくなはれ)

「さあーーちょっと待っとくなはれ」

(と、かれはぼうえんきょうをしきりにのばしたりちぢめたりしていたが、そのうちに、)

と、彼は望遠鏡をしきりに伸ばしたり縮めたりしていたが、そのうちに、

(--ああ、あれかもしれへんと、とんきょうなこえをだした。)

「ーーああ、あれかもしれへん」と、頓狂な声を出した。

(ええっ、ありましたかほむらはおもわず、しょうぼうしゅのかたにてをかけた。)

「ええッ、ありましたか」帆村は思わず、消防手の肩に手をかけた。

(さんちょうほどむこうだす。きしひめちょうというところだすな。まあ、これにちがいないやろ)

「三町ほど向うだす。岸姫町というところだすな。まあ、これに違いないやろ

(おもいまっさ。ひとつのぞいてごらん)

思いまっさ。ひとつ覗いてごらん」

(ほむらは、しょうぼうしゅのたすけをかりて、ぼうえんきょうごしにそのきしひめちょうのほうを)

帆村は、消防手のたすけを借りて、望遠鏡越しにその岸姫町の方を

(じっとながめてみた。)

じっと眺めてみた。

(ーーな、みえますやろ。どえらいぶさいくなそうこかびょういんかというような)

「ーーな、見えますやろ。どえらい不細工な倉庫か病院かというような

(はいいろのたてものがみえまっしゃろ)

灰色の建物が見えまっしゃろ」

(ああ、これだな)

「ああ、これだな」

(みえましたやろ。そしたら、そのやねのうえからつきだしとるはばのひろいえんとつを)

「見えましたやろ。そしたら、その屋根の上から突き出しとる幅の広い煙突を

(ごらん。なんやしらん、せめんがいちぶはがれて、あかれんががでてるようだすな)

ごらん。なんやしらん、セメンが一部剥がれて、赤煉瓦が出てるようだすな」

(うん、みえるみえる)

「ウン、見える見える」

(みえてでしたら、そのえんとつのうえをごらん。けむりがうすくでていまっしゃろ、)

「見えてでしたら、その煙突の上をごらん。煙が薄く出ていまっしゃろ、

(ちゃいろのけむりが・・・)

茶色の煙が・・・」

(おおでているでている、ちゃいろのけむりがねえ)

「おお出ている出ている、茶色の煙がねえ」

(ほむらは、うでがしびれるほど、ぼうえんきょうをもちあげて、やぶれえんとつからでるけむりを)

帆村は、腕がしびれるほど、望遠鏡を持ちあげて、破れ煙突から出る煙を

(じっとみまもっていた。)

ジッと見守っていた。

(あのえんとつから、ゆうべのじゅうじからけさまでも、あのとおりけむりがでっぱなしなんだ)

あの煙突から、昨夜の十時から今朝までも、あのとおり煙が出っ放しなんだ

(ろうか?そしてあのえんとつのしたに、はたしてしゅうきのげんいんがあるのだろうか?)

ろうか? そしてあの煙突の下に、果して臭気の原因があるのだろうか?

(あのたてものは、なんですかねえ)

「あの建物は、なんですかねえ」

(さあくわしいことはしりまへんけど、このへんのひとは、あれをきじんかんと)

「さあ詳しいことは知りまへんけど、この辺の人は、あれを『奇人館』と

(いうてます。あのいえには、としのはっきりせんおとこがひとりすんでいる)

いうてます。あの家には、年齢(とし)のハッキリせん男が一人住んでいる

(そうやということだす)

そうやと云うことだす」

(ほう、それはあのいえのしゅじんですか)

「ほう、それはあの家の主人ですか」

(そうだっしゃろな。なんでももとはゆいしょあるどくとるかなんかやったと)

「そうだっしゃろな。なんでも元は由緒あるドクトルかなんかやったと

(いうことだす)

いうことだす」

(ほかにどうきょにんはいないのですか、おてつだいさんとか)

「外(ほか)に同居人はいないのですか、お手伝いさんとか」

(そんなものはひとりもおらへんということだす。もっともでいりのこめやさんとか)

「そんなものは一人も居らへんということだす。尤も出入りの米屋さんとか

(さかやさんとかがおますけれど、いえのなかのことは、とんとわからへんと)

酒屋さんとかがおますけれど、家の中のことは、とんと分からへんと

(いうとります)

云うとります」

(そのどくとるとかいうじんぶつとはかおをあわさないのですか)

「そのドクトルとかいう人物とは顔を合わさないのですか」

(そらもうあわすどころやあれへん。まずちゅうもんはすべてでんわでしますのや。)

「そらもう合わすどころやあれへん。まず注文はすべて電話でしますのや。

(しょうにんはしなものをもっていって、うらぐちのそとからひらくおしいれのようなところに)

商人は品物をもっていって、裏口の外から開く押入のようなところに

(おいてくるだけやいうてました。するとそこにだいきんがげんきんでおいて)

置いてくるだけや云うてました。するとそこに代金が現金で置いて

(ありますのや。それをだまってひろうてくるんやと、こないなはなしだすな。)

ありますのや。それを黙って拾うてくるんやと、こないな話だすな。

(そやさかいむこうのいえのじんにかおをあわさしまへん)

そやさかい向うの家の仁に顔を合わさしまへん」

(ずいぶんかわったいえですね。ーーとにかくこれからひとついってみましょう)

「ずいぶん変った家ですね。ーーとにかくこれから一つ行ってみましょう」

(そういっているところへ、でんわのべるがけたたましくなりだした。)

そういっているところへ、電話のベルがけたたましく鳴りだした。

(しょうぼうしゅはすばやくとうじょうのこしつにとびこんで、しきりにおおごえでこたえていた。)

消防手は素早く塔上の小室に飛びこんで、しきりに大声で答えていた。

(それはおなじくこのしゅうきにかんするもののようであった。それはしょうぼうしゅがふたたび)

それは同じくこの臭気に関するもののようであった。それは消防手が再び

(ほむらのまえにあらわれたときめいはくになった。)

帆村の前に現われたとき明白になった。

(ーーいまけいさつからでんわがかかってきましてん。このけったいなかぎが)

「ーーいま警察から電話が懸ってきましてん。この怪ったいな臭(かぎ)が

(おまえのとこからみえてえへんかいうしつもんだす。こら、なんかまちがいごとが)

お前のとこから見えてえへんか云う質問だす。こら、なんか間違いごとが

(おこったんですなあ。やあえらいことになりましたなあ)

起こったんですなア。やあえらいことになりましたなあ」

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