白痴 34(終)
坂口安吾の小説。
| 順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | Chatta | 6278 | S | 6.3 | 99.1% | 264.7 | 1676 | 14 | 35 | 2026/10/30 |
| 2 | mdfk | 5985 | A+ | 6.1 | 97.3% | 271.5 | 1670 | 45 | 35 | 2026/10/04 |
| 3 | ポケモン | 4801 | B | 5.1 | 94.0% | 324.7 | 1665 | 106 | 35 | 2026/10/31 |
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問題文
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(くずれたこんくりーとのかげで、おんながひとりのおとこにおさえつけられ、)
崩れたコンクリートの蔭で、女が一人の男に押えつけられ、
(おとこはおんなをねじたおして、にくたいのこういにふけりながら、)
男は女をねじ倒して、肉体の行為に耽りながら、
(おとこはおんなのしりのにくをむしりとってたべている。)
男は女の尻の肉をむしりとって食べている。
(おんなのしりのにくはだんだんすくなくなるが、)
女の尻の肉はだんだん少くなるが、
(おんなはにくよくのことをかんがえているだけだった。)
女は肉慾のことを考えているだけだった。
(あけがたにちかづくとひえはじめて、)
明方に近づくと冷えはじめて、
(いざわはふゆのがいとうもきていたしあついじゃけつもきているのだが、)
伊沢は冬の外套もきていたし厚いジャケツもきているのだが、
(さむけがたえがたかった。)
寒気が堪えがたかった。
(したのむぎばたけのふちのしょほうにはなおもえつづけているいちめんのひのはらがあった。)
下の麦畑のふちの諸方には尚燃えつづけている一面の火の原があった。
(そこまでいってだんをとりたいとおもったが、)
そこまで行って煖をとりたいと思ったが、
(おんながめをさますとこまるので、いざわはみうごきができなかった。)
女が目を覚すと困るので、伊沢は身動きができなかった。
(おんなのめをさますのがなぜかこたえられぬおもいがしていた。)
女の目を覚すのがなぜか堪えられぬ思いがしていた。
(おんなのねむりこけているうちにおんなをおいてたちさりたいともおもったが、)
女の眠りこけているうちに女を置いて立去りたいとも思ったが、
(それすらもめんどうくさくなっていた。)
それすらも面倒くさくなっていた。
(ひとがものをすてるには、たとえばかみくずをすてるにも、)
人が物を捨てるには、たとえば紙屑を捨てるにも、
(すてるだけのはりあいとけっぺきぐらいはあるだろう。)
捨てるだけの張合いと潔癖ぐらいはあるだろう。
(このおんなをすてるはりあいもけっぺきもうしなわれているだけだ。)
この女を捨てる張合いも潔癖も失われているだけだ。
(みじんのあいじょうもなかったし、みれんもなかったが、)
微塵の愛情もなかったし、未練もなかったが、
(すてるだけのはりあいもなかった。)
捨てるだけの張合いもなかった。
(いきるための、あしたのきぼうがないからだった。)
生きるための、明日の希望がないからだった。
など
(あしたのひに、たとえばおんなのすがたをすててみても、)
明日の日に、たとえば女の姿を捨ててみても、
(どこかのばしょになにかきぼうがあるのだろうか。なにをたよりにいきるのだろう。)
どこかの場所に何か希望があるのだろうか。何をたよりに生きるのだろう。
(どこにすむいえがあるのだか、ねむるあなぼこがあるのだか、)
どこに住む家があるのだか、眠る穴ぼこがあるのだか、
(それすらもわかりはしなかった。)
それすらも分りはしなかった。
(べいぐんがじょうりくし、てんちにあらゆるはかいがおこり、)
米軍が上陸し、天地にあらゆる破壊が起り、
(そのせんそうのはかいのきょだいなあいじょうが、すべてをさばいてくれるだろう。)
その戦争の破壊の巨大な愛情が、すべてを裁いてくれるだろう。
(かんがえることもなくなっていた。)
考えることもなくなっていた。
(よるがしらんできたら、おんなをおこしてやけあとのほうにはみむきもせず、)
夜が白んできたら、女を起して焼跡の方には見向きもせず、
(ともかくねぐらをさがして、)
ともかくねぐらを探して、
(なるべくとおいていしゃじょうをめざしてあるきだすことにしようといざわはかんがえていた。)
なるべく遠い停車場をめざして歩きだすことにしようと伊沢は考えていた。
(でんしゃやきしゃはうごくだろうか。)
電車や汽車は動くだろうか。
(ていしゃじょうのしゅういのまくらぎのかきねにもたれてやすんでいるとき、)
停車場の周囲の枕木の垣根にもたれて休んでいるとき、
(けさははたしてそらがはれて、)
今朝は果して空が晴れて、
(おれとおれのとなりにならんだぶたのせなかにたいようのひかりがそそぐだろうかと)
俺と俺の隣に並んだ豚の背中に太陽の光がそそぐだろうかと
(いざわはかんがえていた。あまりけさがさむすぎるからであった。)
伊沢は考えていた。あまり今朝が寒すぎるからであった。