怪盗時十面相23

・スマホ向けフリック入力タイピングはこちら
※アプリのインストールが必要です。
・PC向けタイピングはこちら
タブレット+BlueToothキーボードのプレイもこちらがオススメです!
Webアプリでプレイ
投稿者投稿者kikiいいね0お気に入り登録
プレイ回数5難易度(4.5) 2585打 長文 長文モード推奨

関連タイピング

問題文

ふりがな非表示 ふりがな表示

(おわるかおわらぬかに、かれのことばどおりに、じつにおそろしい)

終わるか終わらぬかに、彼のことばどおりに、じつにおそろしい

(きせきがおこったのです。)

奇跡がおこったのです。

(もくぞうのかんのんさまのみぎてが、ぐーっとまえにのびてきたではありませんか。)

木造の観音さまの右手が、グーッと前にのびてきたではありませんか。

(しかも、そのゆびには、おさまりのはすのくきではなくていっちょうのぴすとるが、)

しかも、その指には、おさまりのハスの茎ではなくて一丁のピストルが、

(ぴったりとぞくのむねにねらいをさだめて、にぎられていたではありませんか。)

ピッタリと賊の胸にねらいをさだめて、にぎられていたではありませんか。

(ぶつぞうがひとりでうごくはずがありません。)

仏像がひとりで動くはずがありません。

(では、このかんのんさまには、じんぞうにんげんのようなきかいじかけが)

では、この観音さまには、人造人間のような機械じかけが

(ほどこされていたのでしょうか。しかしかまくらじだいのちょうぞうに、)

ほどこされていたのでしょうか。しかし鎌倉時代の彫像に、

(そんなしかけがあるわけはないのです。すると、いったいこのきせきは)

そんなしかけがあるわけはないのです。すると、いったいこの奇跡は

(どうしておこったのでしょう。)

どうしておこったのでしょう。

(だが、ぴすとるをつきつけられたにじゅうめんそうは、そんなことを)

だが、ピストルをつきつけられた二十面相は、そんなことを

(かんがえているひまもありませんでした。かれは「あっ。」とさけんで、)

考えているひまもありませんでした。彼は「アッ。」とさけんで、

(たじたじとあとじさりをしながら、てむかいしないといわぬばかりに、)

たじたじとあとじさりをしながら、手むかいしないといわぬばかりに、

(おもわずりょうてをかたのところまであげてしまいました。)

思わず両手を肩のところまであげてしまいました。

(おとしあな)

おとしあな

(さすがのかいとうも、これにはきもをつぶしました。あいてがにんげんならば)

さすがの怪盗も、これには胆をつぶしました。相手が人間ならば

(いくらぴすとるをむけられてもおどろくようなぞくではありませんが、)

いくらピストルを向けられてもおどろくような賊ではありませんが、

(ふるいふるいかまくらじだいのかんのんさまが、いきなりうごきだしたのですから、)

古い古い鎌倉時代の観音さまが、いきなり動きだしたのですから、

(びっくりしないではいられません。)

びっくりしないではいられません。

(びっくりしたというよりも、ぞーっとこころのそこからおそろしさが)

びっくりしたというよりも、ゾーッと心の底からおそろしさが

など

(こみあげてきたのです。こわいゆめをみているような、あるいはおばけに)

こみあげてきたのです。こわい夢をみているような、あるいはお化けに

(でもでくわしたような、なんともえたいのしれぬきょうふです。)

でも出くわしたような、なんともえたいのしれぬ恐怖です。

(だいたんふてきのにじゅうめんそうが、かわいそうに、まっさおになって、)

大胆不敵の二十面相が、かわいそうに、まっさおになって、

(たじたじとあとじさりをして、ごめんなさいというように、)

たじたじとあとじさりをして、ごめんなさいというように、

(ろうそくをゆかにおいて、りょうてをたかくあげてしまいました。)

ろうそくを床において、両手を高くあげてしまいました。

(すると、またしても、じつにおそろしいことがおこったのです。)

すると、またしても、じつにおそろしいことがおこったのです。

(かんのんさまが、れんげのだいざからおりて、ゆかのうえに、ぬっとたちあがった)

観音さまが、れんげの台座からおりて、床の上に、ヌッと立ちあがった

(ではありませんか。そして、じっとぴすとるのねらいをさだめながら、)

ではありませんか。そして、じっとピストルのねらいをさだめながら、

(いっぽ、にほ、さんぽ、ぞくのほうへちかづいてくるのです。)

一歩、二歩、三歩、賊のほうへ近づいてくるのです。

(「き、きさま、いったい、な、なにものだっ。」)

「き、きさま、いったい、な、何者だっ。」

(にじゅうめんそうは、おいつめられたけもののような、うめきごえをたてました。)

二十面相は、追いつめられたけもののような、うめき声をたてました。

(「わしか、わしははしばけのだいやもんどをとりかえしにきたのだ。)

「わしか、わしは羽柴家のダイヤモンドをとりかえしに来たのだ。

(たったいま、あれをわたせば、いちめいをたすけてやる。」)

たった今、あれをわたせば、一命を助けてやる。」

(おどろいたことには、ぶつぞうがものをいったのです。おもおもしいこえで)

おどろいたことには、仏像がものをいったのです。おもおもしい声で

(めいれいしたのです。)

命令したのです。

(「ははあ、きさま、はしばけのまわしものだな。ぶつぞうにへんそうして、おれの)

「ハハア、きさま、羽柴家のまわしものだな。仏像に変装して、おれの

(かくれがをつきとめにきたんだな。」)

かくれがをつきとめに来たんだな。」

(あいてがにんげんらしいことがわかると、ぞくはすこしげんきづいてきました。)

相手が人間らしいことがわかると、賊は少し元気づいてきました。

(でも、えたいのしれぬきょうふが、まったくなくなったわけではありません。)

でも、えたいのしれぬ恐怖が、まったくなくなったわけではありません。

(というのは、にんげんがへんそうしたのにしては、ぶつぞうがあまりちいさすぎたからです。)

というのは、人間が変装したのにしては、仏像があまり小さすぎたからです。

(たちあがったところをみると、じゅうに、さんのこどものせたけしかありません。)

立ちあがったところを見ると、十二、三の子どもの背たけしかありません。

(そのいっすんぼうしみたいなやつが、おちつきはらって、ろうじんのような)

その一寸法師みたいなやつが、落ちつきはらって、老人のような

(おもおもしいこえでものをいっているのですから、じつになんとも)

おもおもしい声でものをいっているのですから、じつになんとも

(けいようのできないきみわるさです。)

形容のできないきみ悪さです。

(「で、だいやもんどをわたさぬといったら?」)

「で、ダイヤモンドをわたさぬといったら?」

(ぞくはおそるおそる、あいてのきをひいてみるように、たずねました。)

賊はおそるおそる、相手の気をひいてみるように、たずねました。

(「おまえのいのちがなくなるばかりさ。このぴすとるはね、いつもおまえが)

「おまえの命がなくなるばかりさ。このピストルはね、いつもおまえが

(つかうような、おもちゃじゃないんだぜ。」)

使うような、おもちゃじゃないんだぜ。」

(かんのんさまは、このごいんきょぜんとしたしらがのろうじんが、そのじつにじゅうめんそうの)

観音さまは、このご隠居然とした白髪の老人が、そのじつ二十面相の

(へんそうすがたであることを、ちゃんとしりぬいているようすでした。)

変装姿であることを、ちゃんと知りぬいているようすでした。

問題文を全て表示 一部のみ表示 誤字・脱字等の報告

kikiのタイピング

オススメの新着タイピング

タイピング練習講座 ローマ字入力表 アプリケーションの使い方 よくある質問

人気ランキング

注目キーワード