未 本編 -14-

・スマホ向けフリック入力タイピングはこちら
※アプリのインストールが必要です。
・PC向けタイピングはこちら
タブレット+BlueToothキーボードのプレイもこちらがオススメです!
Webアプリでプレイ
投稿者投稿者蛍☆いいね0お気に入り登録
プレイ回数5難易度(4.5) 2952打 長文 長文モードのみ
師匠シリーズ
以前cicciさんが更新してくださっていましたが、更新が止まってしまってしまったので、続きを代わりにアップさせていただきます。
cicciさんのアカウント
https://typing.twi1.me/profile/userId/130158

関連タイピング

問題文

ふりがな非表示 ふりがな表示

(ちちとそふのことがしんぱいで、きがつくとじぶんもそとにでていた。)

父と祖父のことが心配で、気がつくと自分も外に出ていた。

(ばけつをひっくりかえしたようなおおつぶのあめがたえまなくじょうくうからおちてくる。)

バケツをひっくり返したような大粒の雨が絶え間なく上空から落ちてくる。

(そのあめのなかをかっぱもきずにはしった。しかいはわるく、かたてでがくをおおっても)

その雨の中を合羽も着ずに走った。視界は悪く、片手で額を覆っても

(めをあけることがこんなんだった。)

目を開けることが困難だった。

(やまのほうからおとなたちのおおごえがきこえてきた。)

山の方から大人たちの大声が聞こえてきた。

(「くずれた」「あぶない」ということばがきこえた。)

「崩れた」「危ない」という言葉が聞こえた。

(そのなかい、ちちとそふのこえもあって、ほっとむねをなでおろした。)

その中い、父と祖父の声もあって、ホッと胸を撫で下ろした。

(あんしんすると、「みつかったらしかられる」ということにきがつき、)

安心すると、「見つかったら叱られる」ということに気がつき、

(「はやくもどらないと」とひきかえそうとした。)

「早く戻らないと」と引き返そうとした。

(そのとき、ふいにさくらのきのことがあたまにうかんだ。えだがわのどてにあるさくらだ。)

その時、ふいに桜の木のことが頭に浮かんだ。枝川の土手にある桜だ。

(どてのへきめんからななめにはえていて、ぞうすいしたときにはねもとが)

土手の壁面から斜めに生えていて、増水した時には根本が

(みずにつかるんじゃないかといつもしんぱいしていた。)

水に浸かるんじゃないかといつも心配していた。

(おもわずかわのほうへあしをむけた。)

思わず川の方へ足を向けた。

(ふりしきるあめのなか、めをこらしてもさくらのきはみえなかった。)

降りしきる雨の中、目を凝らしても桜の木は見えなかった。

(このあたりのはずなのに。ながされてしまったのだろうか。)

このあたりのはずなのに。流されてしまったのだろうか。

(どてにちかづいてかわのほうへめをやると、いままでにみたこともないようなだくりゅうが)

土手に近づいて川の方へ目をやると、今までに見たこともないような濁流が

(うねりをともなってかわかみからかわしもへとながれていた。)

うねりを伴って川上から川下へと流れていた。

(おそろしくてあしがうごかなかった。あまおととかわのほんりゅうのおとでみみがいたい。)

恐ろしくて足が動かなかった。雨音と川の奔流の音で耳が痛い。

(ぜんしんをなまりのようなあまつぶにたたかれながら、たけりくるうかわのながれから)

全身を鉛のような雨粒に叩かれながら、猛り狂う川の流れから

(めをはなせないでいると、せまいしかいのはしに、ふしぎなものがうつった。)

目を離せないでいると、狭い視界の端に、不思議なものが映った。

など

(ものすごいそくどでながれていくどろみずのなかに、まっくろいどうぶつのからだがみえたのだ。)

物凄い速度で流れていく泥水の中に、真っ黒い動物の身体が見えたのだ。

(そのどうたいはとほうもなくながく、なみうっていて、だくりゅうにのりめのまえを)

その胴体は途方もなく長く、波打っていて、濁流に乗り目の前を

(とおりすぎようとしていた。)

通り過ぎようとしていた。

(へびだ。)

蛇だ。

(それも、どうだけでひとかかえもある、とてつもないだいじゃ。)

それも、胴だけで一抱えもある、とてつもない大蛇。

(そのしんたいがいかりくるうようにうねりながらおおあめとだくりゅうのなかをながれていく。)

その身体が怒り狂うようにうねりながら大雨と濁流の中を流れて行く。

(いきをのんでそのゆくえをみまもる。はるかかなたへそのすがたがきえさっても)

息を飲んでその行方を見守る。遥か彼方へその姿が消え去っても

(しばらくそのばをうごくことができなかった。)

しばらくその場を動くことができなかった。

(「なにしてる、こんなとこで」)

「なにしてる、こんなとこで」

(どなりごえとともにそふにてをつかまれた。なかばひきずられながら)

怒鳴り声とともに祖父に手を掴まれた。なかば引き摺られながら

(「とかの」にむかっているあいだ、「おじいちゃん、へびが、へびが」とわめいた。)

「とかの」に向かっている間、「おじいちゃん、蛇が、蛇が」と喚いた。

(そふはぎょっとしたかおをしたが、「へんなことをいうんじゃない」としかりつけた。)

祖父はギョッとした顔をしたが、「変なことを言うんじゃない」と叱りつけた。

(「とかの」にもどると、そふがここはあぶないのでしょうがっこうへひなんするとせんげんし、)

「とかの」に戻ると、祖父がここは危ないので小学校へ避難すると宣言し、

(ぜんいんであめのなかをにげた。)

全員で雨の中を逃げた。

(そのあいだじゅう、じぶんのあたまのなかには、のたうつだいじゃがかわをながされていくすがたが)

その間中、自分の頭の中には、のたうつ大蛇が川を流されていく姿が

(なんどもくりかえされていた・・・・・)

何度も繰り返されていた・・・・・

(かたりおえたおかみは、われにかえったようにあわてて「おかしなことをもうしました。)

語り終えた女将は、我に返ったように慌てて「おかしなことを申しました。

(こどものころにみたまぼろしでございます」とつけくわえた。)

子どものころに見た幻でございます」と付け加えた。

(ししょうはきょうみしんしんというかおで、「そのあとはどうなりました」とたずねた。)

師匠は興味津々と言う顔で、「その後はどうなりました」と尋ねた。

(「ええ。さいわい、やまがくずれたのはかわがわのほうだけでして、けっきょくりょかんのほうが)

「ええ。幸い、山が崩れたのは川側の方だけでして、結局旅館の方が

(しらべたところによると、こんごまたまんがいちどしゃくずれがあっても、)

調べたところによると、今後また万が一土砂崩れがあっても、

(やはりこの「とかの」のほうへはくずれてこないということでしたの、)

やはりこの「とかの」の方へは崩れてこないということでしたの、

(ごあんしんください」)

ご安心ください」

(ちゃんと、わすれずにふぉろーもしている。なかなかぬけめのないひとだ。)

ちゃんと、忘れずにフォローもしている。なかなか抜け目のない人だ。

(わるいうわさなどどこからひろがるかわからないのだから。)

悪い噂などどこから広がるか分からないのだから。

(「その、おおあめのひのどしゃくずれのまえにも、やっぱりうらやまにはじんじゃのあとなどは)

「その、大雨の日の土砂崩れの前にも、やっぱり裏山には神社の跡などは

(なかったんですね」)

なかったんですね」

(「ええ。なかったはずです」)

「ええ。なかったはずです」

(「わかりました。ありがとうございます」)

「わかりました。ありがとうございます」

(ししょうはあっさりとそういうと、おかみのそふのことやせんだいであるちちおやのことを)

師匠はあっさりとそう言うと、女将の祖父のことや先代である父親のことを

(あれこれをきいた。)

あれこれを訊いた。

(そふはもちろんだが、ちちおやもははおやももうなくなっていた。)

祖父はもちろんだが、父親も母親ももう亡くなっていた。

(そしていりむこであったおかみのおっと、つまりかえでのちちおやもじゅうねんほどまえに)

そして入り婿であった女将の夫、つまり楓の父親も十年ほど前に

(びょうきでこのよをさったのだそうだ。)

病気でこの世を去ったのだそうだ。

(ししょうはこのとかのけのじじょうをおおよそききおえてまんぞくしたのか、さいごに)

師匠はこの戸叶家の事情をおおよそ訊き終えて満足したのか、最後に

(「では、こんやはわたしと、このじょしゅとでよなかじゅう、)

「では、今夜はわたしと、この助手とで夜中じゅう、

(こうたいでばんをします」といった。)

交代で番をします」と言った。

問題文を全て表示 一部のみ表示 誤字・脱字等の報告

蛍☆のタイピング

オススメの新着タイピング

タイピング練習講座 ローマ字入力表 アプリケーションの使い方 よくある質問

人気ランキング

注目キーワード