未 本編 -42-

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問題文

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(「いえ。うんめいなどというなまやさしいことばでかたってよいものではないのかも)

「いえ。運命などという生易しい言葉で語ってよいものではないのかも

(しれません。たかはしながおきはただのぜんいでためいけをつくったのではありません。)

しれません。高橋永熾はただの善意で溜め池を作ったのではありません。

(とうちしゃとしてひつようせいがあったからつくったのです。)

統治者として必要性があったから造ったのです。

(そしてわかみやじんじゃによるじゅうみんのしんこうめんのとういつもふくめ、このちにおける)

そして若宮神社による住民の信仰面の統一も含め、この地における

(あたらしいしはいたいせいのかくりつにちからをそそぎました。)

新しい支配体制の確立に力を注ぎました。

(とうぜん、ふるくからあるおかみじんじゃのそんざいはじゃまなだけです。)

当然、古くからあるオカミ神社の存在は邪魔なだけです。

(ちょくせつてきなちからをもっていったのか、あるいはじこをよそおったのか、)

直接的な力をもって行ったのか、あるいは事故を装ったのか、

(まわたでくびをしめるようにそとぼりからきりくずしていったのか、それはわかりません。)

真綿で首を絞めるように外堀から切り崩していったのか、それは分かりません。

(しかし、そのおかみじんじゃがそんぞくできないていどにはぐたいてきにはいじょをおこなったことは)

しかし、そのオカミ神社が存続できない程度には具体的に排除を行ったことは

(そうぞうにかたくありません。そしててっていてきにかつてそんなじんじゃがそんざいしたことを)

想像に難くありません。そして徹底的にかつてそんな神社が存在したことを

(けしさろうとしました。)

消し去ろうとしました。

(たかはしけはにだいめでついえていますので、そのもくろみはかんせいしてはいなかったかも)

高橋家は二代目でついえていますので、その目論見は完成してはいなかったかも

(しれません。しかし、げんにいぜんほどにあまごいをするひつようがなくなった)

知れません。しかし、現に以前ほどに雨乞いをする必要がなくなった

(というじじつが、しんきゅうのじんじゃのこうたいをしぜんにおしすすめ、)

という事実が、新旧の神社の交代を自然に推し進め、

(ひとびとのきおくをうすれさせていったのです。)

人々の記憶を薄れさせていったのです。

(あるいは、もしかするとわたしがそうぞうするよりもそのこうたいは)

あるいは、もしかするとわたしが想像するよりもその交代は

(ずっとおだやかにおこなわれたのかもしれません。しかしれきしのやみのなかに)

ずっと穏やかに行われたのかも知れません。しかし歴史の闇の中に

(きえていくがわにとって、おのれのしょうめつのげんいんがたかはしけ、)

消えていく側にとって、己の消滅の原因が高橋家、

(そしてわかみやじんじゃにあったことはまちがいのないことです。)

そして若宮神社にあったことは間違いのないことです。

(そのうらみが、おんねんが、やまはだにしみこみ、たかきばしょからながれるかわとなって、)

その恨みが、怨念が、山肌に染み込み、高き場所から流れる川となって、

など

(あるいはあんきょにながれるくらいみずとなって)

あるいは暗渠に流れる闇(くら)い水となって

(いつかすべてながれさっていったのでしょうか」)

いつかすべて流れ去っていったのでしょうか」

(りん・・・・・)

りん・・・・・

(りん・・・・・)

りん・・・・・

(りん・・・・・)

りん・・・・・

(りん・・・・・)

りん・・・・・

(すずが。しめなわがゆれている。)

鈴が。注連縄が揺れている。

(くうきがさすようにつめたい。はくいきがしろくなっていくようなきがする。)

空気が刺すように冷たい。吐く息が白くなっていくような気がする。

(みんなかおをこわばらせ、きょうふにみちためをしゅういにおよがせている。)

みんな顔を強張らせ、恐怖に満ちた目を周囲に泳がせている。

(「おかみじんじゃがわかみやじんじゃによってうばわれたものはうじこだけではありません。)

「オカミ神社が若宮神社によって奪われたものは氏子だけではありません。

(あまごいぎしきにおいてじゅうようなやくわりをはたしてきたあるものもうばいました。)

雨乞い儀式において重要な役割を果たしてきたあるものも奪いました。

(あまごいのさいにおこなわれるぎしきやぎょうじにはさまざまなようたいがあります。)

雨乞いの際に行われる儀式や行事には様々な様態があります。

(たとえばぶつぞうやごしんたいにみずをかけるこうい。いずみやいけのみずをすべてとりかえるという)

例えば仏像や御神体に水をかける行為。泉や池の水をすべて取り替えるという

(「みずかえ」。わらたばなどをさんちょうでもやす「くもあぶり」。)

「水かえ」。藁束などを山頂で燃やす「雲あぶり」。

(あまごいめんとよばれるようなのうのおもてをこうむったり、とくべつなかがみをもちだしたり、)

雨乞い面と呼ばれるような能の面を被ったり、特別な鏡を持ち出したり、

(たいりょうのますをいっせいにあらうひゃくしょうあらいや、どうぶつのしがいやふんにょうなどのふじょうのものを)

大量の枡を一斉に洗う百枡洗いや、動物の死骸や糞尿などの不浄のものを

(かみのすむばしょになげこんでそのいかりをもってあめをふらせるような)

神の住む場所に投げ込んでその怒りを持って雨を降らせるような

(ぎしきもありました。)

儀式もありました。

(そのなかでぜんこくにはばひろくぶんぷするふうしゅうがこのちでもおこなわれていました。)

その中で全国に幅広く分布する風習がこの地でも行われていました。

(「つきはいずれかねはしずめるうみのそこ」というばしょうのくがあります。)

「月はいずれ鐘は沈める海の底」という芭蕉の句があります。

(これはえちぜんつるがのかねがさきにすむかねのでんせつをよんだものです。)

これは越前敦賀の鐘ヶ崎に住む鐘の伝説をよんだものです。

(ちくぜんかねがさきのかねなどもゆうめいですが、こうしたちんしょうでんせつのはいけいには、)

筑前鐘ヶ崎の鐘なども有名ですが、こうした沈鐘伝説の背景には、

(うみのそこにすむりゅうじんがかねをこのむためにかねをつんだふねがしずみ、)

海の底に住む竜神が鐘を好むために鐘を積んだ船が沈み、

(そしてひきあげることができないというせつわがあります。)

そして引き上げることができないという説話があります。

(このようにりゅうじんがこのむかねをいけやあさせにつけることでよろこばせ、)

このように竜神が好む鐘を池や浅瀬に漬けることで喜ばせ、

(あめをふらせてもらうというぎしきがこらいよりにほんちゅうでおこなわれてきました。)

雨を降らせてもらうという儀式が古来より日本中で行われてきました。

(このまつのきさとではその「かねづけ」はあるぬまちでおこなわれていたようです。)

この松ノ木郷ではその「鐘漬け」はある沼地で行われていたようです。

(かねがあったのはもちろんあまごいをになうおかみじんじゃです。そしてかねづけが)

鐘があったのはもちろん雨乞いを担うオカミ神社です。そして鐘漬けが

(おこなわれてきたぬまちはかねをつけるためのふち、つまりしょうがぶち)

行われてきた沼地は鐘を漬けるための淵、つまり鐘ヶ淵(ショウガブチ)

(あるいは、ゆとうよみをしてかねがぶちとよばれていました。)

あるいは、湯桶読みをして鐘ヶ淵(カネガブチ)と呼ばれていました。

(このかねはそうやってひでりのたびにぬまにつけられたために、)

この鐘はそうやって日照りのたびに沼に漬けられたために、

(みずにふれるかぶにいくえにもかさなるさびをしょうじました。)

水に触れる下部に幾重にも重なる錆を生じました。

(かずおさん、あなたのじっかのわかみやじんじゃにあるかねがそうです。)

和雄さん、あなたの実家の若宮神社にある鐘がそうです。

(あのかねはもともとおかみじんじゃにあったものなのです。)

あの鐘は元々オカミ神社にあったものなのです。

(めいをけずられ、うばわれたあまごいのしんじのしょうちょうはそのやくわりをおえました。)

銘を削られ、奪われた雨乞いの神事の象徴はその役割を負えました。

(ためいけがかんせいし、かねがつけられることもなくなったあと、)

溜め池が完成し、鐘がつけられることもなくなった後、

(かねがぶちもそのなまえをかえました。)

カネガブチもその名前を変えました。

(ちかいよみをする、かめがぶちと。これはおそらくたかはしながおきによる)

近い読みをする、亀ヶ淵(カメガブチ)と。これはおそらく高橋永熾による

(かいめいではないかとおもわれます。)

改名ではないかと思われます。

(いまはまをながはまとかえたはしばひでよしのれいにもあるように、せんごくぶしょうは)

今浜を長浜と変えた羽柴秀吉の例にもあるように、戦国武将は

(よくこうしたちめいかいへんをいっています。)

良くこうした地名改変を行っています。

(かめのじをどうよもうとも、しょうとはよまないのです。)

亀の字をどう読もうとも、ショウとは読まないのです。

(ちがっていたのは、じのほうなのですよ」)

違っていたのは、字の方なのですよ」

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