風の行方 -11-
師匠シリーズ
以前cicciさんが更新してくださっていましたが、更新が止まってしまってしまったので、続きを代わりにアップさせていただきます。
cicciさんのアカウント
https://typing.twi1.me/profile/userId/130158
cicciさんのアカウント
https://typing.twi1.me/profile/userId/130158
関連タイピング
-
5分間の速度部門の模擬試験です。打つ速度で級が決まります
プレイ回数94万 長文300秒 -
プレイ回数713 歌詞1350打
-
【打鍵/秒6.0〜】速い
プレイ回数1.8万 長文1814打 -
Mrs.GREEN APPLEの青と夏です!
プレイ回数16万 歌詞1030打 -
めっちゃいい曲....
プレイ回数3.3万 歌詞かな200打 -
繰り返し部分と記号は入力しないです。
プレイ回数599 歌詞かな1108打 -
M!LKのイイじゃん (フル)
プレイ回数4652 歌詞120秒 -
テトリスサビ!!!!!!!!!!!!!!!!!!
プレイ回数14万 歌詞かな167打
問題文
ふりがな非表示
ふりがな表示
(「どうしますか」)
「どうしますか」
(あせりをおさえてぼくがそうといかけると、ししょうはむずかしいかおをした。)
焦りを抑えて僕がそう問いかけると、師匠は難しい顔をした。
(もう、れいさいこうしんじょにもちこまれたちいさないらいどころのはなしではなかった。)
もう、零細興信所に持ち込まれた小さな依頼どころの話ではなかった。
(ありえないとおもいつつも、おこりうるさいあくのじたいをあえてそうていしたとき、)
ありえないと思いつつも、起こりうる最悪の事態をあえて想定した時、
(このまちにおとずれるかもしれないさいあくのみらいは、せいさんなものだった。)
この街に訪れるかも知れない最悪の未来は、凄惨なものだった。
(そうぞうしてしまって、じぶんのかおをてのひらでおおう。)
想像してしまって、自分の顔を手のひらで覆う。
(かぜのいきつくばしょでおおきなくちをあけて、)
風の行き着く場所で大きな口をあけて、
(そのすべてをのみこもうとしているかいぶつ。そのかいぶつがみずからのくちに)
そのすべてを飲み込もうとしている怪物。その怪物が自らの口に
(とびこんできたむすうのひとびとのかみのけをあつめて、なにかをしようとしている。)
飛び込んできた無数の人々の髪の毛を集めて、なにかをしようとしている。
(がーんっ・・・・・)
ガーンッ・・・・・
(きんぞくせいのはんまーのおとがあたまのなかにはしった。)
金属製のハンマーの音が頭の中に走った。
(おもわずかおをあげ、げんちょうであったことをたしかめる。)
思わず顔を上げ、幻聴であったことを確かめる。
(うそだろ。そんなことがげんじつにおこるのか。うそだろう。)
うそだろ。そんなことが現実に起こるのか。うそだろう。
(たすけをもとめるようにししょうのほうをみたが、いつになくあおじろいかおをしていた。)
助けを求めるように師匠の方を見たが、いつになく蒼白い顔をしていた。
(「がすか」)
「ガスか」
(「え」)
「え」
(「ちゃくしょくしたがす。それをながせばかぜのみちがみえる」)
「着色したガス。それを流せば風の道が見える」
(それだ。そのおもいつきにこうふんして、ししょうのてをとった。)
それだ。その思いつきに興奮して、師匠の手を取った。
(「それですよ。いけます、それ」)
「それですよ。いけます、それ」
(しかしししょうはうかないかおだった。)
しかし師匠は浮かない顔だった。
など
(たしかにちゃくしょくがすなどどこでてにはいれたらいいのかとっさにはわからない。)
確かに着色ガスなどどこで手に入れたらいいのかとっさには分からない。
(しかししりあいにかたっぱしからきくとか、あるいはまちなかの)
しかし知り合いに片っ端から訊くとか、あるいは街なかの
(みりたりーしょっぷにでもいけばあっさりとうっているかもしれない。)
ミリタリーショップにでも行けばあっさりと売っているかも知れない。
(もしくはだがしやでうっていたようなけむりたまでもいい。)
もしくは駄菓子屋で売っていたような煙玉でもいい。
(すくなくともここでびるをみあげているよりはましだ。)
少なくともここでビルを見上げているよりはマシだ。
(しかしししょうはくびをふる。そしてじぶんのうでどけいをさししめす。)
しかし師匠は首を振る。そして自分の腕時計を指し示す。
(「じかんがない」)
「時間がない」
(「なぜです」)
「なぜです」
(「もうひがくれる。なにかあるとしたらよるだ。)
「もう日が暮れる。なにかあるとしたら夜だ。
(たしかにきのうからかぜはふいていたけど、あきらかにきょうになってからつよくなった。)
確かに昨日から風は吹いていたけど、明らかに今日になってから強くなった。
(こんや、それがおこるかもしれない。ここまでにかかったじかんをかんがえてみろ。)
今夜、それが起こるかも知れない。ここまでに掛かった時間を考えてみろ。
(わたしたちはすたーとがどこからかもしらないんだ。)
わたしたちはスタートがどこからかも知らないんだ。
(このさき、どこまでこのかぜのみちがつづくのかも」)
この先、どこまでこの風の道が続くのかも」
(ぼくはくちごもった。)
僕は口ごもった。
(しかしはらのそこからわいてくるしょうそうが、かんがえもなくくちをひらかせる。)
しかし腹の底から湧いてくる焦燥が、考えも無く口を開かせる。
(「だったらどうするんですか」)
「だったらどうするんですか」
(われながらこどもがだだをこねるようなくちぶりに、)
我ながら子どもがだだをこねるような口ぶりに、
(ししょうは「なんとかするさ」とこうかくをあげた。)
師匠は「なんとかするさ」と口角を上げた。
(どれほどおいつめられても、このひとはそのたびにじょうしきをこえたかいとうをみちびきだす。)
どれほど追い詰められても、この人はそのたびに常識を超えた回答を導き出す。
(せいとう、ただしいこたえではない、ただふくざつにからまりあったじしょうを)
正答、正しい答えではない、ただ複雑に絡まりあった事象を
(いちとうでたちきるような、かいとうをだ。)
一刀で断ち切るような、解答をだ。
(そんなとき、かのじょのしゅういにはおびただしいしとなまのけはいが、まがまがしく、)
そんなとき、彼女の周囲には夥しい死と生の気配が、禍々しく、
(ふるえるようにたちこめ、ぼくはそれにえもいわれないこうこつをおぼえる。)
震えるように立ち込め、僕はそれにえもいわれない恍惚を覚える。
(「いくぞ」)
「行くぞ」
(どこへ、ではなく、はい、とぼくはいった。)
どこへ、ではなく、はい、と僕は言った。
(びるのおくじょうはかぜがつよかった。)
ビルの屋上は風が強かった。
(いつもそうなのか、それともきょうというひだからなのか、)
いつもそうなのか、それとも今日という日だからなのか、
(それはわからなかった。じかんはよるのじゅうにじをすこしまわったころ。)
それは分からなかった。時間は夜の十二時を少し回ったころ。
(てんぼうだいとしてかいほうされているわけではない。ただこっそりしのびこんだのだ。)
展望台として開放されているわけではない。ただこっそり忍び込んだのだ。
(たかいばしょからみおろすやけいは、なかなかにそうかんだった。)
高い場所から見下ろす夜景は、なかなかに壮観だった。
(しゅうへんでいちばんたかいびるだから、そのしゅういのちいさなびるのむれがげっこうに)
周辺で一番高いビルだから、その周囲の小さなビルの群れが月光に
(てらされているすがたがよくみえた。)
照らされている姿がよく見えた。
(そしてそのしたのぽつぽつとよるのうみにうかぶこぶねのようなあかりも。)
そしてその下のぽつぽつと夜の海に浮かぶ小船のような明かりも。
(ししょうはてんらくぼうしのふぇんすをのりこえて、きりたったがけのようなおくじょうのふちに)
師匠は転落防止のフェンスを乗り越えて、切り立った崖のような屋上の縁に
(こしをかけ、あしをへきめんにたらしてぶらぶらとゆらしていた。)
腰をかけ、足を壁面に垂らしてぶらぶらと揺らしていた。
(かたほうのてですぐそばのふぇんすをつかんではいるが、きょうふうのなか、じつにあぶなっかしい。)
片方の手ですぐそばのフェンスを掴んで入るが、強風の中、実に危なっかしい。
(ぼくはまねができずに、ふぇんすのこちらがわでししょうのそばにすわり、)
僕は真似ができずに、フェンスのこちら側で師匠のそばに座り、
(そのよこがおをそっとうかがっていた。)
その横顔をそっと窺っていた。
(「・・・・・・・・・・」)
「・・・・・・・・・・」
(もちこんだけいたいがたのらじおからにゅーすがながれている。)
持ち込んだ携帯型のラジオからニュースが流れている。