田山花袋「少女病」　５

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プレイ回数282 難易度(3.9) 336打長文

問題文

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(たいていようふくで、それもすこっちのけのすれてなくなったとびいろのふるせびろ、)

たいてい洋服で、それもスコッチの毛の摩れてなくなった鳶色の古背広、

(うえにはおったいんばねすもようかんいろにきばんで、)

上にはおったインバネスも羊羹色に黄ばんで、

(みぎのてにはいぬのあたまのすぐとれるやすすてっきをつき、)

右の手には犬の頭のすぐ取れる安ステッキをつき、

(がらにないえびちゃいろのふろしきづつみをかかえながら、)

柄にない海老茶色の風呂敷包みを抱えながら、

(ひだりのてはぽけっとにいれている。)

左の手はポケットに入れている。

(よつめがきのそとをとおりかかると、)

四つ目垣の外を通りかかると、

(「いまおでかけだ」)

「今お出かけだ」

(と、いなかのかどのうえきやのしゅふがくちのなかでいった。)

と、田舎の角の植木屋の主婦が口の中で言った。