草枕 夏目漱石 3/3

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夏目漱石の草枕

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問題文

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(なんでもたにひとつへだててむこうがみゃくのはしっているところらしい。ひだりはすぐやまのすそとみえる。) 何でも谷一つ隔てて向うが脈の走っている所らしい。左はすぐ山の裾と見える。 (ふかくこめるあめのおくからまつらしいものが、ちょくちょくかおをだす。) 深く罩《こ》める雨の奥から松らしいものが、ちょくちょく顔を出す。 (だすかとおもうと、かくれる。あめがうごくのか、きがうごくのか、なんとなくふしぎな) 出すかと思うと、隠れる。雨が動くのか、木が動くのか、何となく不思議な (こころもちだ。みちはぞんがいひろくなって、かつたいらだから、あるくにほねはおれんが、) 心持ちだ。路は存外広くなって、かつ平だから、あるくに骨は折れんが、 (あまぐのよういがないのでいそぐ。ぼうしからあまだれがぽたりぽたりとおつるころ、) 雨具の用意がないので急ぐ。帽子から雨垂れがぽたりぽたりと落つる頃、 (ごろくまさきから、すずのおとがして、くろいなかから、まごがふうと) 五六間先きから、鈴の音がして、黒い中から、馬子《まご》がふうと (あらわれた。「ここらにやすむところはないかね」「もうじゅうごちょういくとちゃやが) あらわれた。「ここらに休む所はないかね」「もう十五丁行くと茶屋が (ありますよ。だいぶぬれたね」まだじゅうごちょうかと、ふりむいているうちに、) ありますよ。だいぶ濡れたね」まだ十五丁かと、振り向いているうちに、 (まごのすがたはかげえのようにあめにつつまれて、またふうときえた。) 馬子の姿は影画のように雨につつまれて、またふうと消えた。 (ぬかのようにみえたつぶはしだいにふとくながくなって、いまはひとすじごとにかぜに) 糠《ぬか》のように見えた粒は次第に太く長くなって、今は一筋ごとに風に
(まかれるさままでがめにいる。はおりはとくにぬれつくしてはだぎにしみこんだみずが、) 捲かれる様までが目に入る。羽織はとくに濡れ尽して肌着に浸み込んだ水が、 (からだのぬくもりでなまあたたかくかんぜられる。きもちがわるいから、ぼうをかたむけて、) 身体の温度《ぬくもり》で生暖く感ぜられる。気持がわるいから、帽を傾けて、 (すたすたあるく。ぼうぼうたるうすずみいろのせかいを、いくじょうのぎんせんが) スタスタ歩行《ある》く。茫々たる薄墨色の世界を、幾条の銀箭《ぎんせん》が (ななめにはしるなかを、ひたぶるにぬれていくわれを、われならぬひとのすがたとおもえば、) 斜めに走るなかを、ひたぶるに濡れて行くわれを、われならぬ人の姿と思えば、 (しにもなる、くにもよまれる。ありていなるおのれをわすれつくして) 詩にもなる、句にも詠まれる。有体《ありてい》なる己れを忘れ尽して (じゅんきゃっかんにめをつくるとき、はじめてわれはえちゅうのじんぶつとして、しぜんのけいぶつとうつくしき) 純客観に眼をつくる時、始めてわれは画中の人物として、自然の景物と美しき (ちょうわをたもつ。ただふるあめのこころぐるしくて、ふむあしのつかれたるをきにかけるしゅんかんに、) 調和を保つ。ただ降る雨の心苦しくて、踏む足の疲れたるを気に掛ける瞬間に、 (われはすでにしちゅうのひとにもあらず、がりのひとにもあらず。いぜんとして) われはすでに詩中の人にもあらず、画裡の人にもあらず。依然として (しせいのいちじゅしにすぎぬ。うんえんひどうのおもむきもめにいらぬ。) 市井《しせい》の一豎子《じゅし》に過ぎぬ。雲煙飛動の趣も目に入らぬ。 (らっかていちょうのなさけもこころにうかばぬ。しょうしょう) 落花啼鳥《らっかていちょう》の情けも心に浮ばぬ。蕭々《しょうしょう》
など
(としてひとりしゅんざんをいくわれの、いかにうつくしきかはなおさらにかいせぬ) として独り春山《しゅんざん》を行く吾の、いかに美しきかはなおさらに解せぬ (はじめはぼうをかたむけてあるいた。のちにはただあしのこうのみをみつめてあるいた。) 初めは帽を傾けて歩行た。後にはただ足の甲のみを見詰めてあるいた。 (おわりにはかたをすぼめて、おそるおそるあるいた。あめはまんもくの) 終りには肩をすぼめて、恐る恐る歩行た。雨は満目《まんもく》の
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