新美南吉 手袋を買いに③/④

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(こどものきつねは、まちのあかりをめあてに、ゆきあかりののはらをよちよちやっていきました。)

子供の狐は、町の灯を目あてに、雪あかりの野原をよちよちやって行きました。

(はじめのうちはひとつきりだったあかりがふたつになりみっつになり、)

始めのうちは一つきりだった灯が二つになり三つになり、

(はてはじゅうにもふえました。きつねのこどもはそれをみて、あかりには、ほしとおなじように、)

はては十にもふえました。狐の子供はそれを見て、灯には、星と同じように、

(あかいのやきいのやあおいのがあるんだなとおもいました。)

赤いのや黄いのや青いのがあるんだなと思いました。

(やがてまちにはいりましたがとおりのいえいえはもうみんなとをしめてしまって、)

やがて町にはいりましたが通りの家々はもうみんな戸を閉めてしまって、

(たかいまどからあたたかそうなひかりが、みちのゆきのうえにおちているばかりでした。)

高い窓から暖かそうな光が、道の雪の上に落ちているばかりでした。

(けれどおもてのかんばんのうえにはたいていちいさなでんとうがともっていましたので、)

けれど表の看板の上には大てい小さな電燈がともっていましたので、

(きつねのこは、それをみながら、ぼうしやをさがしていきました。)

狐の子は、それを見ながら、帽子屋を探して行きました。

(じてんしゃのかんばんや、めがねのかんばんやそのほかいろんなかんばんが、)

自転車の看板や、眼鏡の看板やその他いろんな看板が、

(あるものは、あたらしいぺんきでかかれ、あるものは、ふるいかべのようにはげて)

あるものは、新しいペンキで画かれ、あるものは、古い壁のようにはげて

(いましたが、まちにはじめてでてきたこぎつねにはそれらのものがいったいなんであるか)

いましたが、町に始めて出て来た子狐にはそれらのものがいったい何であるか

(わからないのでした。)

分からないのでした。

(とうとうぼうしやがみつかりました。おかあさんがみちみちよくおしえてくれた、)

とうとう帽子屋が見つかりました。お母さんが道々よく教えてくれた、

(くろいおおきなしるくはっとのぼうしのかんばんが、あおいでんとうにてらされて)

黒い大きなシルクハットの帽子の看板が、青い電燈に照らされて

(かかっていました。)

かかっていました。

(こぎつねはおしえられたとおり、とんとんととをたたきました。「こんばんは」)

子狐は教えられた通り、トントンと戸を叩きました。「今晩は」

(すると、なかではなにかことことおとがしていましたがやがて、とがいっすんほど)

すると、中では何かことこと音がしていましたがやがて、戸が一寸ほど

(ごろりとあいて、ひかりのおびがみちのしろいゆきのうえにながくのびました。)

ゴロリとあいて、光の帯が道の白い雪の上に長く伸びました。

(こぎつねはそのひかりがまばゆかったので、めんくらって、まちがったほうのてを、)

子狐はその光がまばゆかったので、めんくらって、まちがった方の手を、

(ーーおかあさまがだしちゃいけないといってよくきかせたほうのてを)

ーーお母さまが出しちゃいけないと言ってよく聞かせた方の手を

など

(すきまからさしこんでしまいました。)

隙間からさしこんでしまいました。

(「このおててにちょうどいいてぶくろください」)

「このお手々にちょうどいい手袋下さい」

(するとぼうしやさんは、おやおやとおもいました。きつねのてです。きつねのてが)

すると帽子屋さんは、おやおやと思いました。狐の手です。狐の手が

(てぶくろをくれというのです。これはきっとこのはでかいにきたんだなと)

手袋をくれと言うのです。これはきっと木の葉で買いに来たんだなと

(おもいました。そこで、「さきにおかねをください」といいました。)

思いました。そこで、「先にお金を下さい」と言いました。

(こぎつねはすなおに、にぎってきたはくどうかをふたつぼうしやさんにわたしました。)

子狐はすなおに、握って来た白銅貨を二つ帽子屋さんに渡しました。

(ぼうしやさんはそれをひとさしゆびのさきにのっけて、かちあわせてみると、)

帽子屋さんはそれを人差し指のさきにのっけて、カチ合わせて見ると、

(tintinとよいおとがしましたので、これはこのはじゃない、)

TINTINとよい音がしましたので、これは木の葉じゃない、

※NGワードの為、ローマ字表記にしてあります。

(ほんとのおかねだとおもいましたので、たなからこどもようのけいとのてぶくろをとりだしてきて)

ほんとのお金だと思いましたので、棚から子供用の毛糸の手袋をとり出して来て

(こぎつねのてにもたせてやりました。こぎつねは、おれいをいってまた、もときたみちを)

子狐の手に持たせてやりました。子狐は、お礼を言ってまた、もと来た道を

(かえりはじめました。)

帰り始めました。

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