フランツ・カフカ 変身⑤

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1 yama 5654 A 5.7 97.9% 721.9 4168 86 69 2024/02/09

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問題文

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(「ざむざくん」と、しはいにんはこんどはこえをたかめてさけんだ。「いったい、)

「ザムザ君」と、支配人は今度は声を高めて叫んだ。「いったい、

(どうしたんだね?きみはじぶんのへやにばりけーどをきずいてとじこもり、)

どうしたんだね? 君は自分の部屋にバリケードを築いて閉じこもり、

(ただ、いえすとかのーとだけしかへんじをしない。ごりょうしんにいらぬたいへんな)

ただ、イエスとかノーとだけしか返事をしない。ご両親にいらぬ大変な

(ごしんぱいをかけ、ーーこれはただついでにいうんだがーーきみのしょうばいじょうのぎむを)

ご心配をかけ、ーーこれはただついでにいうんだがーー君の商売上の義務を

(まったくあきれはてたやりかたでおこたっている。きみのごりょうしんとしゃちょうとに)

まったくあきれはてたやりかたでおこたっている。君のご両親と社長とに

(かわってはなしているんだが、どうかまじめになってすぐはっきりしたせつめいを)

かわって話しているんだが、どうかまじめになってすぐはっきりした説明を

(してもらいたい。わたしはおどろいているよ、まったく。きみというひとはれいせいな)

してもらいたい。私は驚いているよ、まったく。君という人は冷静な

(ふんべつあるにんげんだとおもっていたが、きゅうにきみょうなきまぐれをみせつけてやろうと)

分別ある人間だと思っていたが、急に奇妙な気まぐれを見せつけてやろうと

(おもいはじめたようだね。しゃちょうはけさ、きみのけっきんのりゆうはあれだろうと)

思い始めたようだね。社長はけさ、君の欠勤の理由はあれだろうと

(ほのめかしてきかせてくれはしたがーーつまりさいきんきみにまかせた)

ほのめかして聞かせてくれはしたがーーつまり最近君にまかせた

(かいしゅうきんのことだーー、わたしはこのせつめいがあたっているはずはない、とほんとうに)

回収金のことだーー、私はこの説明が当っているはずはない、とほんとうに

(ほとんどちかいをたてんばかりにしてとりなしておいた。ところが、こうやって)

ほとんど誓いを立てんばかりにして取りなしておいた。ところが、こうやって

(きみのりかいしがたいがんこさをみせつけられては、ほんのすこしでもきみのみかたを)

君の理解しがたい頑固さを見せつけられては、ほんの少しでも君の味方を

(するきにはまったくなれないよ。それに、きみのちいはけっしてそれほど)

する気にはまったくなれないよ。それに、君の地位はけっしてそれほど

(あんていしたものじゃない。ほんとうはきみにこうしたことをふたりきりで)

安定したものじゃない。ほんとうは君にこうしたことを二人きりで

(いうつもりだったが、きみがこうやってむえきにわたしにてまどらせるんだから、)

いうつもりだったが、君がこうやって無益に私に手間取らせるんだから、

(ごりょうしんにもきかれていけないとはおもわれなくなった。つまりきみのさいきんのせいせきは)

ご両親にも聞かれていけないとは思われなくなった。つまり君の最近の成績は

(ひどくふまんぞくなものだった。いまはかくべつしょうばいがうまくいくきせつではない、)

ひどく不満足なものだった。今はかくべつ商売がうまくいく季節ではない、

(ということはわれわれもみとめる。しかし、ぜんぜんしょうばいができんなんていうきせつは)

ということはわれわれもみとめる。しかし、全然商売ができんなんていう季節は

(あるものではないよ。ざむざくん、そんなものはあるはずがないよ」)

あるものではないよ。ザムザ君、そんなものはあるはずがないよ」

など

(「でも、しはいにんさん」と、ぐれごーるはわれをわすれてさけび、)

「でも、支配人さん」と、グレゴールはわれを忘れて叫び、

(こうふんのあまりほかのすべてはわすれてしまった。「すぐ、いますぐあけますよ。)

興奮のあまりほかのすべては忘れてしまった。「すぐ、今すぐ開けますよ。

(ちょっとからだのぐあいがわるいんです。めまいがしたんです。それで)

ちょっと身体の工合が悪いんです。目まいがしたんです。それで

(おきることができませんでした。いまもまだべっどにねているんです。)

起きることができませんでした。今もまだベッドに寝ているんです。

(でも、もうすっかりさっぱりしました。いま、べっどからおりるところです。)

でも、もうすっかりさっぱりしました。今、ベッドから降りるところです。

(ちょっとごしんぼうください!まだおもったほどちょうしがよくありません。)

ちょっとご辛抱下さい! まだ思ったほど調子がよくありません。

(でも、もうなおりました。びょうきというものはなんてきゅうににんげんを)

でも、もうなおりました。病気というものはなんて急に人間を

(おそってくるものでしょう!ゆうべはまだまったくちょうしがよかったんです。)

襲ってくるものでしょう! ゆうべはまだまったく調子がよかったんです。

(りょうしんがよくしっています。でも、もっとせいかくにいうと、ゆうべすでに)

両親がよく知っています。でも、もっと正確にいうと、ゆうべすでに

(ちょっとしたよかんがあったんです。ひとがみれば、きっとわたしのそんなようすに)

ちょっとした予感があったんです。人が見れば、きっと私のそんな様子に

(きがついたはずです。なぜみせにしらせておかなかったんでしょう!)

気がついたはずです。なぜ店に知らせておかなかったんでしょう!

(でも、びょうきなんていえでねなくたってなおるだろう、といつでもおもっている)

でも、病気なんて家で寝なくたってなおるだろう、といつでも思っている

(ものですから。しはいにんさん!りょうしんをいたわってやってください!)

ものですから。支配人さん! 両親をいたわってやって下さい!

(あなたがいま、わたしにおっしゃっているひなんは、みんないわれがありません。)

あなたが今、私におっしゃっている非難は、みんないわれがありません。

(これまでにそんなことはひとことだっていわれたことはありません。)

これまでにそんなことは一言だっていわれたことはありません。

(あなたはおそらく、わたしがおおくりしたさいきんのちゅうもんしょるいをまだよんでは)

あなたはおそらく、私がお送りした最近の注文書類をまだ読んでは

(おられないのでしょう。ともあれ、これからはちじのきしゃでしょうようのたびに)

おられないのでしょう。ともあれ、これから八時の汽車で商用の旅に

(でかけます。いち、にじかんやすんだので、げんきになりました。どうか)

出かけます。一、二時間休んだので、元気になりました。どうか

(おひきとりください、しはいにんさん。わたしはすぐじぶんでみせへいきます。)

お引き取り下さい、支配人さん。私はすぐ自分で店へいきます。

(そして、すみませんがどうかしゃちょうにこのことをもうしあげてください」)

そして、すみませんがどうか社長にこのことを申し上げて下さい」

(そして、ぐれごーるはこうしたことをいそいでしゃべりまくり、じぶんが)

そして、グレゴールはこうしたことを急いでしゃべりまくり、自分が

(なにをいっているのかほとんどわからなかったが、きっとべっどですでに)

何をいっているのかほとんどわからなかったが、きっとベッドですでに

(ならいおぼえたれんしゅうのおかげだろうか、たやすくたんすへちかづいて、)

習いおぼえた練習のおかげだろうか、たやすくたんすへ近づいて、

(それにすがっておきあがろうとした。ほんとうにどあをあけ、)

それにすがって起き上がろうとした。ほんとうにドアを開け、

(ほんとうにすがたをみせて、しはいにんとはなそうとおもったのだった。)

ほんとうに姿を見せて、支配人と話そうと思ったのだった。

(いまこんなにじぶんにあいたがっているひとたちが、じぶんをみてなんというか、)

今こんなに自分に会いたがっている人たちが、自分を見てなんというか、

(かれはそれをしりたくてたまらなかった。もしかれらがびっくりしたならば、)

彼はそれを知りたくてたまらなかった。もし彼らがびっくりしたならば、

(もうぐれごーるにはせきにんがないわけで、おちついていることができる。)

もうグレゴールには責任がないわけで、落ち着いていることができる。

(ところで、もしみんながへいきでいるならば、かれとしても)

ところで、もしみんなが平気でいるならば、彼としても

(こうふんするりゆうはないし、いそげばはちじにはほんとうにえきへいけるはずだ。)

興奮する理由はないし、急げば八時にはほんとうに駅へいけるはずだ。

(さいしょ、かれはに、さんかいすべすべしたたんすからすべりおちたが、ついに)

最初、彼は二、三回すべすべしたたんすから滑り落ちたが、ついに

(さいごのひととびをやってたちあがった。かはんしんのいたみはもえるようにいたんだが、)

最後の一跳びをやって立ち上がった。か半身の痛みは燃えるように痛んだが、

(もうぜんぜんきにもかけなかった。こんどは、ちかくにあったいすのもたれに)

もう全然気にもかけなかった。今度は、近くにあった椅子のもたれに

(からだをたおし、ちいさなあしをつかってそのへりにしがみついた。それによって)

身体を倒し、小さな脚を使ってそのへりにしがみついた。それによって

(じぶんをおさえることができたので、しゃべることもやめた。というのは、)

自分を抑えることができたので、しゃべることもやめた。というのは、

(いまではしはいにんのいうことにみみをかたむけることができるようになっていた。)

今では支配人のいうことに耳を傾けることができるようになっていた。

(「むすこさんのいわれることがひとことでもわかりましたか」と、しはいにんは)

「息子さんのいわれることが一言でもわかりましたか」と、支配人は

(りょうしんにたずねた。「われわれをばかにしているんじゃないでしょうね?」)

両親にたずねた。「われわれをばかにしているんじゃないでしょうね?」

(「とんでもないことです」と、ははおやはもうなきながらさけんだ。「あのこは)

「とんでもないことです」と、母親はもう泣きながら叫んだ。「あの子は

(きっとたいびょうなんです。それなのにわたしたちはあのこをくるしめたりして。)

きっと大病なんです。それなのにわたしたちはあの子を苦しめたりして。

(ぐれーて!ぐれーて!」と、ははおやはおおごえでいった。)

グレーテ! グレーテ!」と、母親は大声でいった。

(「なあに?」と、いもうとがべつながわからさけんだ。りょうほうはぐれごーるのへやごしに)

「なあに?」と、妹が別な側から叫んだ。両方はグレゴールの部屋越しに

(ことばをかわしていたのだ。)

言葉を交わしていたのだ。

(「すぐおいしゃさまのところへいっておくれ。ぐれごーるがびょうきなんだよ。)

「すぐお医者様のところへいっておくれ。グレゴールが病気なんだよ。

(ぐれごーるがいましゃべったのをきいたかい?」)

グレゴールが今しゃべったのを聞いたかい?」

(「ありゃあ、まるでけもののこえだった」と、しはいにんがいったが、そのことばは)

「ありゃあ、まるでけものの声だった」と、支配人がいったが、その言葉は

(ははおやのさけびごえにくらべるとめだってひくかった。)

母親の叫び声に比べると目立って低かった。

(「あんな!あんな!」と、ちちおやはげんかんのまごしにだいどころへむかってさけび、)

「アンナ! アンナ!」と、父親は玄関の間越しに台所へ向かって叫び、

(てをたたいた。「すぐかぎやをよんできてくれ!」)

手をたたいた。「すぐ鍵屋を呼んできてくれ!」

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