夢の記録③

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((ぽちというなのねことひとつのこいのゆくえ))

(ポチという名のネコとひとつの恋の行方)

(おんなともだちすうにんといざかやでのんでいると、ぐうぜん、もとどうりょうのsとばったりあった。)

女友達数人と居酒屋で飲んでいると、偶然、元同僚のSとばったり会った。

(sもゆうじんすうにんとのんでいるのだという。)

Sも友人数人と飲んでいるのだという。

(なつかしくなり、いきとうごうしてわたしのともだちとsのつれとでごうりゅうして)

懐かしくなり、意気投合してわたしの友達とSの連れとで合流して

(いっしょにのむことになった。)

一緒に飲むことになった。

(まだいっしょにはたらいていたときは、おたがいみかければはなしかけたし、)

まだ一緒に働いていたときは、お互い見かければ話しかけたし、

(かえりがいっしょになればくるまでとちゅうまでおくっていってもらうこともあった。)

帰りが一緒になれば車で途中まで送っていってもらうこともあった。

(けれど「こい」というかんじょうはもとより、いせいとしていしきしたことなどなかった。)

けれど「恋」という感情はもとより、異性として意識したことなどなかった。

(ふたりにきょうつうしていることは、どうぶつずきということだった。)

二人に共通していることは、動物好きということだった。

(sはふれんちぶるをじっかでにひきかっていたし、わたしはねこをかっていた。)

Sはフレンチブルを実家で二匹飼っていたし、わたしは猫を飼っていた。

(けれど、しごとをはなれれば、そとであうようなことはなかったし、)

けれど、仕事を離れれば、外で会うようなことはなかったし、

(れんらくさきすらしらない。まあなかはよかったが、そのていどのかんけいだった。)

連絡先すら知らない。まあ仲は良かったが、その程度の関係だった。

(のみながらむかしのなつかしいはなしやおたがいのきんきょうなどをはなすうちに、いつのまにか、)

飲みながら昔の懐かしい話やお互いの近況などを話すうちに、いつの間にか、

(いままでかんじたことのないかんじょうがめばえはじめていることにきがついた。)

今まで感じたことのない感情が芽生えはじめていることに気がついた。

(sがせきをはなれたすきに、ゆうじんにそのことをいってみた。)

Sが席を離れたすきに、友人にそのことを言ってみた。

(でもゆうじんは「なんかそういうの、なんとなくふたりはしっくりこない」という。)

でも友人は「なんかそういうの、なんとなく二人はしっくりこない」と言う。

(そうなのかな、とすこしさびしいきもちになった。)

そうなのかな、と少し寂しい気持ちになった。

(sといれかわりにおてあらいにせきをたった。おてあらいはふたつあったが)

Sと入れ替わりにお手洗いに席を立った。お手洗いは二つあったが

(かたほうにはこしょうちゅうのはりがみがしてあった。もうかたほうへは、いままさに)

片方には故障中の張り紙がしてあった。もう片方へは、今まさに

(すっぱだかのだんせいのうしろすがたがはいっていくところだった。)

素っ裸の男性の後ろ姿が入っていくところだった。

など

(ぎょっとしてまわりをみると、ちかくのてーぶるにもうひとり、じょうはんしんはだかのだんせいが)

ぎょっとして周りを見ると、近くのテーブルにもう一人、上半身裸の男性が

(すわってのんでいた。よっぱらいだろうか。)

座って飲んでいた。酔っ払いだろうか。

(しかたなくせきにもどった。)

仕方なく席に戻った。

(べつのひ。ぽちがいなくなった。)

別の日。ポチがいなくなった。

(ぽちといっても、ねこだ。)

ポチといっても、猫だ。

(すこしめつきのわるいしろくろぶちで、あかいくびわをしている。)

少し目つきの悪い白黒ブチで、赤い首輪をしている。

(ぽちにはだっそうぐせがあり、まえにもいちど、そとにでてしまったことがあった。)

ポチには脱走癖があり、前にも一度、外に出てしまったことがあった。

(はんぶんなきながら、ぽちのいきそうなばしょをさがしてまわった。)

半分泣きながら、ポチの行きそうな場所を探してまわった。

(おおきなこうえんがあり、ぽちのなをよびながらさがしていると、またぐうぜん)

大きな公園があり、ポチの名を呼びながら探していると、また偶然

(sとあった。じじょうをはなすと、いっしょにさがしてくれるという。)

Sと会った。事情を話すと、一緒に探してくれると言う。

(こうえんのべんちにひとくみのかぞくがねこをだいているのをみつけた。)

公園のベンチに一組の家族が猫を抱いているのを見つけた。

(ちかくにいってみると、そのねこはきじとらとしろのぶちねこだった。ぽちじゃない。)

近くに行ってみると、その猫はキジトラと白のブチ猫だった。ポチじゃない。

(このままぽちがみつからなかったら・・・そうかんがえると、)

このままポチが見つからなかったら・・・そう考えると、

(なみだがとまらなくなった。わたしのあまりのようすに、どうぶつずきのsも)

涙が止まらなくなった。わたしのあまりの様子に、動物好きのSも

(もらいなきするほどだった。)

もらい泣きするほどだった。

(そのとき、しかいのすみにぽちらしきすがたをみつけた。)

そのとき、視界の隅にポチらしき姿を見つけた。

(あかいくびわといい、もようといい、たしかにぽちだ。まちがいない。)

赤い首輪といい、模様といい、たしかにポチだ。間違いない。

(ぽちはどうろをよこぎって、わたしたちのほうとはぎゃくのほうこうへとはしっていく。)

ポチは道路を横切って、わたしたちのほうとは逆の方向へと走っていく。

(と、くるまのきゅうぶれーきのおとがした。)

と、車の急ブレーキの音がした。

(わたしとsははっとして、いそいでいってみると、ぽちがいた。)

わたしとSははっとして、急いで行ってみると、ポチがいた。

(ひかれはしなかったものの、ひどくこうふんしていて、)

轢かれはしなかったものの、ひどく興奮していて、

(sがてをだしてもさわれそうになかった。)

Sが手を出しても触れそうになかった。

(これいじょうぱにっくになってまたどこかへいってしまってはたいへんだ。)

これ以上パニックになってまたどこかへ行ってしまっては大変だ。

(とにかくおちつかせようと、ぽちのなをよびながらなだめた。)

とにかく落ち着かせようと、ポチの名を呼びながらなだめた。

(そっとてをだすと、まえあしにふれることができた。)

そっと手を出すと、前足に触れることができた。

(ようやく、ぽちをだきあげて、ぽちのもふもふのからだにかおをうずめた。)

ようやく、ポチを抱き上げて、ポチのもふもふの体に顔を埋めた。

(いえへつれかえってしばらくするとやっとおちついたのか、)

家へ連れ帰ってしばらくするとやっと落ち着いたのか、

(わたしのあしもとにすりよってきた。)

わたしの足元に擦り寄って来た。

(「ぽちはにげないようにりーどをつけておかないといけないね」)

「ポチは逃げないようにリードをつけておかないといけないね」

(めがさめたとき、いるはずのないねこのこえをたしかにきいたきがした。)

目が覚めたとき、いるはずのない猫の声をたしかに聞いた気がした。

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