江戸川乱歩 D坂⑫
順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 123 | 6562 | S+ | 6.7 | 97.0% | 363.6 | 2460 | 74 | 41 | 2024/10/22 |
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問題文
(「ぼくのともだちにひとりのしんぶんきしゃがありましてね、それが、)
「僕の友達に一人の新聞記者がありましてね、それが、
(れいのじけんのかかりのこばやしけいじというのとこんいなのです。)
例の事件の係りの小林刑事というのと懇意なのです。
(で、ぼくはそのしんぶんきしゃをつうじて、けいさつのもようをくわしくしることができましたが、)
で、僕はその新聞記者を通じて、警察の模様を詳しく知ることが出来ましたが、
(けいさつではどうもそうさほうしんがたたないらしいのです。)
警察ではどうも捜査方針が立たないらしいのです。
(むろんいろいろかつどうはしているのですが、これというみこみがつかぬのです。)
無論いろいろ活動はしているのですが、これという見込みがつかぬのです。
(あの、れいのでんとうのすいっちですね。あれもだめなんです。)
あの、例の電燈のスイッチですね。あれも駄目なんです。
(あすこには、きみのしもんだけっきゃついていないことがわかったのです。)
あすこには、君の指紋だけっきゃついていないことが分ったのです。
(けいさつがこまっていることをしったものですから、ぼくはいっそう)
警察が困っていることを知ったものですから、僕は一層
(ねっしんにしらべてみるきになりました。そこで、ぼくがとうたつしたけつろんというのは、)
熱心に調べて見る気になりました。そこで、僕が到達した結論というのは、
(どんなものだとおもいます、そして、それをけいさつへうったえるまえに、)
どんなものだと思います、そして、それを警察へ訴える前に、
(きみのところへはなしにきたのはなんのためだとおもいます。)
君の所へ話しに来たのは何の為だと思います。
(それはともかく、ぼくはあのじけんのあったひから、)
それは兎も角、僕はあの事件のあった日から、
(あることをきづいていたのですよ。きみはおぼえているでしょう。)
あることを気づいていたのですよ。君は覚えているでしょう。
(ふたりのがくせいがはんにんらしいおとこのきもののいろについて、)
二人の学生が犯人らしい男の着物の色について、
(まるでちがったもうしたてをしたことをね。ひとりはくろだといい、)
まるで違った申立てをしたことをね。一人は黒だと云い、
(ひとりはしろだというのです。いくらにんげんのめがふたしかだといって、)
一人は白だと云うのです。いくら人間の目が不確かだといって、
(せいはんたいのくろとしろとをまちがえるのはへんじゃないですか。)
正反対の黒と白とを間違えるのは変じゃないですか。
(けいさつではあれをどんなふうにかいしゃくしたかしりませんが、ぼくはふたりのちんじゅつは)
警察ではあれをどんな風に解釈したか知りませんが、僕は二人の陳述は
(りょうほうともまちがいでないとおもうのですよ。きみ、わかりますか。)
両方とも間違いでないと思うのですよ。君、分りますか。
(あれはね、はんにんがしろとくろとのだんだらのきものをきていたんですよ。)
あれはね、犯人が白と黒とのだんだらの着物を着ていたんですよ。
(・・・つまり、ふといくろのぼうじまのゆかたなんかですね。)
・・・つまり、太い黒の棒縞の浴衣なんかですね。
(よくやどやのかしゆかたにあるような・・・ではなぜそれがひとりにまっしろにみえ、)
よく宿屋の貸浴衣にある様な・・・では何故それが一人に真っ白に見え、
(もうひとりにはまっくろにみえたかといいますと、かれらは)
もう一人には真っ黒に見えたかといいますと、彼等は
(しょうじのこうしのすきまからみたのですから、ちょうどそのしゅんかん、)
障子の格子の隙間から見たのですから、丁度その瞬間、
(ひとりのめがこうしのすきまときもののしろじのぶぶんといっちしてみえるいちにあり、)
一人の目が格子の隙間と着物の白地の部分と一致して見える位置にあり、
(もうひとりのめがくろじのぶぶんといっちしてみえるいちにあったんです。)
もう一人の目が黒地の部分と一致して見える位置にあったんです。
(これはめずらしいぐうぜんかもしれませんが、けっしてふかのうではないのです。)
これは珍しい偶然かも知れませんが、決して不可能ではないのです。
(そして、このばあいこうかんがえるよりほかにほうほうがないのです。)
そして、この場合こう考えるよりほかに方法がないのです。
(さて、はんにんのきもののしまがらはわかりましたが、これではたんに)
さて、犯人の着物の縞柄は分りましたが、これでは単に
(そうさはんいがしゅくしょうされたというまでで、まだかくていてきのものではありません。)
捜査範囲が縮小されたという迄で、まだ確定的のものではありません。
(だいにのろんきょは、あのでんとうのすいっちのしもんなんです。)
第二の論拠は、あの電燈のスイッチの指紋なんです。
(ぼくは、さっきはなしたしんぶんきしゃのともだちのつてで、こばやしけいじにたのんで)
僕は、さっき話した新聞記者の友達の伝手で、小林刑事に頼んで
(そのしもんを--きみのしもんですよ--よくしらべさせてもらったのです。)
その指紋を--君の指紋ですよ--よく検べさせて貰ったのです。
(そのけっかいよいよぼくのかんがえてることがまちがっていないのをたしかめました。)
その結果いよいよ僕の考えてることが間違っていないのを確かめました。
(ところで、きみ、すずりがあったら、ちょっとかしてくれませんか」)
ところで、君、硯があったら、ちょっと貸してくれませんか」
(そこで、わたしはひとつのじっけんをやってみせた。)
そこで、私は一つの実験をやって見せた。
(まずすずりをかりる、わたしはみぎのぼしにうすくすみをつけて、ふところからはんしのうえに)
先ず硯を借りる、私は右の拇指に薄く墨をつけて、懐から半紙の上に
(ひとつのしもんをおした。それから、そのしもんのかわくのをまって、)
一つの指紋を捺した。それから、その指紋の乾くのを待って、
(もういちどおなじゆびにすみをつけまえのしもんのうえから、こんどはゆびのほうこうをかえて)
もう一度同じ指に墨をつけ前の指紋の上から、今度は指の方向を換えて
(ねんいりにおさえつけた。すると、そこにはたがいにこうさくしたにじゅうのしもんが)
念入りに押えつけた。すると、そこには互いに交錯した二重の指紋が
(はっきりあらわれた。)
ハッキリ現れた。