詩人 石垣りん ②

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問題文

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(し「まずしいまち」いちにちはたらいてかえってくる、いえのちかくのおそうざいやのみせさきは)

詩「貧しい町」一日働いて帰ってくる、家のちかくのお惣菜屋の店先は

(きゃくもとだえて/うれのこりのてんぷらなどが/たなのうえに/まばらにのこっている。)

客もとだえて/売れ残りのてんぷらなどが/棚の上に/まばらに残っている。

(そのように/わたしのてもとにも/じぶんのじかん、がすこしばかり/のこされている。)

そのように/私の手もとにも/自分の時間、が少しばかり/残されている。

(つかれた/げんきのないじかん、ねつのさめたてんぷらのようなじかん。)

疲れた/元気のない時間、熱のさめたてんぷらのような時間。

(おそうざいやのかぞくは/きょうもみせのうれのこりで/ゆうしょくのぜんをかこむ。)

お惣菜屋の家族は/今日も店の売れ残りで/夕食の膳をかこむ。

(わたしもくたびれたじかんをたべて/じぶんのかてにする。)

私もくたびれた時間を食べて/自分の糧にする。

(それにしても/わたしのうりわたした/いちにちのうちもっともよいぶぶん、いきのいいじかん、)

それにしても/私の売り渡した/一日のうち最も良い部分、生きのいい時間、

(それらをかっていったひるのきゃくは/いまごろどうしているだろう。)

それらを買って行った昼の客は/今頃どうしているだろう。

(まちはすっかりよるである。(りょう))

町はすっかり夜である。(了)

(1941ねん(しんし)りん21さい、「じょしぶんえん」にたんぺん「に」をはっぴょうする。)

1941年(辛巳)りん21歳、「女子文苑」に短編「荷」を発表する。

(1942ねん(じんご)りん22さい、じつのいもうとがしきょする。)

1942年(壬午)りん22歳、実の妹が死去する。

(1943ねん(きび)りん23さい、じつのおとうと(ちょうなん)21さいがしゅっせいする。)

1943年(癸未)りん23歳、実の弟(長男)21歳が出征する。

(1945ねん(いつゆう)りん25さい、くうしゅうでじたくがぜんしょう。かぞくがりさんする。)

1945年(乙酉)りん25歳、空襲で自宅が全焼。家族が離散する。

(はいせんご、10つぼ(1つぼ=たたみ2まい)ほどのしゃくやに)

敗戦後、10坪(1坪=畳2枚)ほどの借家に

(かぞく6にん(そふ、ちち、4どめのはは、じつのおとうと、はらちがいのおとうと)があつまる。)

家族6人(祖父、父、4度目の母、実の弟、腹違いの弟)が集まる。

(1953ねん(きし)りん33さい、そふがしきょする。)

1953年(癸巳)りん33歳、祖父が死去する。

(1957ねん(ていゆう)りん37さい、ちちのしをむかえる。)

1957年(丁酉)りん37歳、父の死を迎える。

(1959ねん(きがい)39さい、「わたしのまえにあるなべとおかまともえるひと」をかんこう。)

1959年(己亥)39歳、「私の前にある鍋とお釜と燃える火と」を刊行。

(ほぼ10ねんご、1968ねん(ぼしん)48さいにだいにししゅう「ひょうさつなど」をかんこうする。)

ほぼ10年後、1968年(戊申)48歳に第二詩集「表札など」を刊行する。

(1970ねん(こうじゅつ)50さいのとき、ひとりぐらしをはじめる。)

1970年(庚戌)50歳の時、一人暮らしを始める。

など

(1975ねん(いつぼう)55さいでぎんこうをていねんたいしょくする。)

1975年(乙卯)55歳で銀行を定年退職する。

(1979ねん(きび)59さい、だいさんししゅう「りゃくれき」をかんこう。)

1979年(己未)59歳、第三詩集「略歴」を刊行。

(1984ねん(こうし)64さい、だいよんししゅう「やさしいことば」をかんこうすることとなる。)

1984年(庚子)64歳、第四詩集「やさしい言葉」を刊行することとなる。

(2004ねん(こうしん)12がつ26にちしんふぜんのためえいみん84さい。しょうがいどくしんだった。)

2004年(甲申)12月26日心不全のため永眠84歳。生涯独身だった。

(2005ねん(いつゆう)5がつ「げんだいしてちょう」いしがきりんのついとうのとくしゅうごうがくまれた。)

2005年(乙酉)5月「現代詩手帖」石垣りんの追悼の特集号が組まれた。

(2009ねん(きちゅう)しずおかけんに「いしがきりんぶんがくきねんしつ」がかいせつされた。)

2009年(己丑)静岡県に「石垣りん文学記念室」が開設された。

(し「しま」すがたみのなかにわたしがたっている。ぽつんと/ちいさいしま。)

詩「島」姿見の中に私が立っている。ぽつんと/ちいさい島。

(だれからもはなれて。わたしはしっている/しまのれきし。)

だれからも離れて。私は知っている/島の歴史。

(しまのすんぽう。うえすとにばすとにひっぷ。しきおりおりのよそおい。さえずるとり。)

島の寸法。ウエストにバストにヒップ。四季おりおりの装い。さえずる鳥。

(かくれたいずみ。はなのにおい。わたしは/わたしのしまにすむ。かいこんし、きずきあげ。)

かくれた泉。花のにおい。私は/私の島に住む。開墾し、築き上げ。

(けれど/このしまについて/しりつくすことはできない。えいじゅうすることもできない)

けれど/この島について/知りつくすことはできない。永住することもできない

(すがたみのなかでじっとみつめる/わたし、はるかなしま。(りょう))

姿見の中でじっと見つめる/私、はるかな島。(了)

(し「くらし」くわずにはいきてゆけない。めしを/やさいを/にくを/くうきを/ひかりを)

詩「くらし」食わずには生きてゆけない。メシを/野菜を/肉を/空気を/光を

(みずを/おやを/きょうだいを/しを/かねもこころも)

水を/親を/きょうだいを/師を/金もこころも

(くわずにはいきてこれなかった。ふくれたはらをかかえ/くちをぬぐえば)

食わずには生きてこれなかった。ふくれた腹をかかえ/口をぬぐえば

(だいどころにちらばっている/にんじんのしっぽ/とりのほね/ちちのはらわた)

台所に散らばっている/にんじんのしっぽ/鳥の骨/父のはらわた

(しじゅうのひぐれ/わたしのめにはじめてあふれるけもののなみだ。(りょう))

四十の日暮れ/私の目にはじめてあふれる獣の涙。(了)

(し「りょじょう」ふとさめたまくらもとに/あきがきていた。とおくからきた、という)

詩「旅情」ふと覚めた枕もとに/秋が来ていた。遠くから来た、という

(きょねんからか、ときく/もっとまえだ、とこたえる。おととしか、ときく)

去年からか、ときく/もっと前だ、と答える。おととしか、ときく

(いやもっととおい、という。ではきょねんわたしのところにきたあきはなになのか/ときく。)

いやもっと遠い、という。では去年私のところにきた秋は何なのか/ときく。

(あのあきはべつのあきだ、きょねんのあきはもうずっとさきのほうへいっている/という。)

あの秋は別の秋だ、去年の秋はもうずっと先の方へ行っている/という。

(さきのほうというとみらいか、ときく、いやちがう、)

先の方というと未来か、ときく、いや違う、

(みらいとはこれからくるものをさすのだろう?ときかれる。)

未来とはこれからくるものを指すのだろう?ときかれる。

(へんじにこまる。ではかこのほうへいったのか、ときく。)

返事にこまる。では過去の方へ行ったのか、ときく。

(かこへはもどれない、そのことはおまえとおなじだ、という。)

過去へは戻れない、そのことはお前と同じだ、という。

(あき/がきていた。とおくからきた、という。とおくへいこう、という。(りょう))

秋/がきていた。遠くからきた、という。遠くへ行こう、という。(了)

(つじまことしが、いしがきりんについて「ひびのいのちをことばにかえてあんでいくより)

辻まこと氏が、石垣りんについて「日々のいのちを言葉に変えて編んでいくより

(ほかに、すくいがなかった」とひょうしたことにたいし、「たしかにわたしはそのようにして)

ほかに、救いがなかった」と評したことに対し、「たしかに私はそのようにして

(いきてきた。ことばのちからをいのちのちからとしていきてきた」とじにんしている。)

生きてきた。ことばの力をいのちの力として生きてきた」と自認している。

(おもいをしにひょうげんしていくことこそがせいしんのありばしょになっていたのであろう。)

思いを詩に表現していくことこそが精神の在り場所になっていたのであろう。

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