ああ玉杯に花うけて 第二部 2

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難易度(4.5) 4642打 長文タグ小説 長文 文学
佐藤紅緑の「ああ玉杯に花うけて」です。
長文です。現在では不適切とされている表現を含みます。
順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 HAKU 7154 7.3 97.6% 632.9 4639 111 90 2020/11/02
2 subaru 6659 S+ 7.0 94.3% 650.8 4611 277 90 2020/10/31
3 じゃじゃ 6318 S 6.5 96.9% 703.3 4586 142 90 2020/11/12
4 おっ 6315 S 6.7 94.3% 689.1 4628 276 90 2020/11/02
5 ニック 4808 B 4.9 97.9% 941.7 4624 96 90 2020/10/31

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問題文

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(むこうではいまてづかがとくいになってかつどうべんしのくちまねをしていた。)

向こうではいま手塚が得意になって活動弁士の口まねをしていた。

(「あるじはだれ、むらさきのふくめんにじゅうさんきくつわをならべて・・・・・・たららららた、)

「主はだれ、むらさきの覆面二十三騎くつわをならべて……タララララタ、

(たららららた、ぷかぷかぷからららららら」)

タララララタ、プカプカプカララララララ」

(「うまいぞうまいぞ」といちどうがかっさいした。「もうひとつもうひとつ」)

「うまいぞうまいぞ」と一同が喝采した。「もう一つもう一つ」

(てづかはとくいになってうぐいすのなきごえ、やぎ、ぺりかん、ねこ、)

手塚は得意になってうぐいすのなき声、やぎ、ペリカン、ねこ、

(ねこがやねからおちてみずたまりにぴしゃりとおちたおとなどをつづけざまにやった)

ねこが屋根から落ちて水たまりにぴしゃりとおちた音などをつづけざまにやった

(かれはものまねがじょうずでなにごとについてもきようであった。)

かれはものまねがじょうずでなにごとについても器用であった。

(それからかれははいからなはやりうたをうたった。)

それからかれはハイカラなはやりうたをうたった。

(「ぼくらにゃわからない」とちびこうはいった、)

「ぼくらにゃわからない」とチビ公はいった、

(じっさいみるものきくものごとにかれはきゅうゆうたちより)

実際見るもの聞くものごとにかれは旧友達より

(はるかにおくれたことにきがついた、)

はるかにおくれたことに気がついた、

(あさはがっこうへゆく、ひつようなしょせきやざっしはおかねをおしまずかってもらう、)

朝は学校へゆく、必要な書籍や雑誌はお金をおしまず買ってもらう、

(がっこうからかえるとかつどうしゃしんをみにいっていろいろなことをおぼえてくるのだ、)

学校から帰ると活動写真を見にいっていろいろなことをおぼえてくるのだ、

(てんびんぼうをかついでいえをいで、つかれていえへかえり)

てんびん棒をかついで家をいで、つかれて家へ帰り

(そのままねてしまうじぶんなどとはあまりにみぶんのさがある。)

そのまま寝てしまう自分等とはあまりに身分の差がある。

(おぜんがはこばれた、ちびこうはちいさくなってへやのすみにすわった、)

お膳が運ばれた、チビ公は小さくなって室の隅にすわった、

(かれはきょうこのせきへこなければよかったとおもった。)

かれは今日この席へこなければよかったと思った。

(いろいろなくうそうはしつぼうやふんがいにともなってあたまのなかにおうらいした。)

いろいろな空想は失望や憤慨にともなって頭の中に往来した。

(ひとびとはさかんにおぜんをあらした、ちびこうはだまっておぜんをみると)

人々はさかんにお膳をあらした、チビ公はだまってお膳を見ると

(たいのやきざかなにきんとん、かまぼこ、まぐろのさしみはあかくかがやき、)

たいの焼きざかなにきんとん、かまぼこ、まぐろの刺身は赤く輝き、

など

(すいものはあたたかにゆげをたてている。)

吸い物は暖かに湯気をたてている。

(かれはおじさんをおもいだした、おじさんはいつもくちぐせにこういった。)

かれは伯父さんを思いだした、伯父さんはいつも口ぐせにこういった。

(「まぐろのさしみでいっぱいやらかしたいもんだなあ」)

「まぐろの刺身で一杯やらかしたいもんだなあ」

(これをおじさんへもっていったらどんなによろこぶだろう、かれはこうおもいかえした)

これを伯父さんへ持っていったらどんなに喜ぶだろう、かれはこう思いかえした

(そうしてたいはおばさんとははがすきだから)

そうしてたいは伯母さんと母が好きだから

(かまぼこだけはいえへかえってからぼくがたべよう。)

かまぼこだけは家へかえってからぼくが食べよう。

(しょくじがおわってからまたもやよきょうがはじまった、)

食事がおわってからまたもや余興がはじまった、

(ちびこうはいとまをつげてひとあしはやくこういちのいえをでた、)

チビ公はいとまをつげてひと足早く光一の家をでた、

(かれはてぬぐいにつつんださかなのおりばこをごしょうだいじにかたてにぶらさげ、)

かれはてぬぐいに包んださかなの折箱を後生大事に片手にぶらさげ、

(ひるのごとくあかるいつきのまちをひとりたんぼみちへさしかかった。)

昼のごとく明るい月の町をひとりたんぼ道へさしかかった。

(みちのかなたにみえるおおきなたてものはいちねんまえにかよいなれたしょうがっこうである。)

道のかなたに見える大きな建物は一年前に通いなれた小学校である。

(げっかのしょうがっこうはいま、やすらかにねむっている。)

月下の小学校はいま、安らかに眠っている。

(はしごけいのやねのむねからななめにひろがるかわらのなみ、)

はしご形の屋根のむねからななめにひろがるかわらの波、

(おもいだしたようにぎらぎらはんしゃするまどのがらす、こんもりとしげったこうていのたいじゅ)

思いだしたようにぎらぎら反射する窓のガラス、こんもりとしげった校庭の大樹

(そこでじぶんはろくねんのあいだへいわにそだった、)

そこで自分は六年のあいだ平和に育った、

(そこにはあらいかぜもふかずつめたいあめもふらず、)

そこにはあらい風もふかず冷たい雨も降らず、

(やさしいせんせいのじあいのめにみまもられて、)

やさしい先生の慈愛の目に見まもられて、

(はるのくさにあそぶこばとのごとくうたいつはしりつおどりつわらった、)

春の草に遊ぶ小ばとのごとくうたいつ走りつおどりつわらった、

(そこにはかいきゅうのへんぱもなく、ひんぷのさいもなく、)

そこには階級の偏頗もなく、貧富の差異もなく、

(べんきょうするものはいちばんになりなまけるものはらくだいした、)

勉強するものは一番になりなまけるものは落第した、

(だがろくねんのおわり!)

だが六年のおわり!

(おおそれはよろこぶべきそつぎょうしきか、はたまたかなしむべきそつぎょうしきか、)

おおそれは喜ぶべき卒業式か、はたまた悲しむべき卒業式か、

(こくべつのうたをうたうとともにおなじすの)

告別の歌をうたうとともに同じ巣の

(はとやすずめはにしとひがし、うえとしたへかくぜんとわかれた。)

はとやすずめは西と東、上と下へ画然とわかれた。

(おやのあるもの、かねのあるものはなおがくふのかいだんをよじのぼって)

親のある者、金のある者はなお学府の階段をよじ登って

(こうとうへすすみしはんへすすみしょうぎょうがっこうへすすむ、)

高等へ進み師範へ進み商業学校へ進む、

(しからざるものはこのひをかぎりにがくもんとえいきゅうにわかれてしまった。)

しからざるものはこの日をかぎりに学問と永久にわかれてしまった。

(ちびこうはげっこうをあびながらたちどまってかんがいにふけった。)

チビ公は月光をあびながら立ちどまって感慨にふけった。

(「やいちび」とつぜんこえがきこえてろじのかきねからせいばんがあらわれた。)

「やいチビ」突然声が聞こえて路地の垣根から生蕃があらわれた。

(「おりづめをよこせ」「いやだよ」とちびこうはおりばこをふところにおしこんだ。)

「折詰をよこせ」「いやだよ」とチビ公は折り箱をふところに押しこんだ。

(「いやだ?こらとよまつはおとなしくおれにみつぎを)

「いやだ? こら豊松はおとなしくおれにみつぎを

(ささげたのにおまえはいやだというのか」)

ささげたのにおまえはいやだというのか」

(「いやだ、これはおじさんにあげるんだから」)

「いやだ、これは伯父さんにあげるんだから」

(「やい、こらっ、きさまはおれのげんこつがこわくないかよ」)

「やい、こらッ、きさまはおれのげんこつがこわくないかよ」

(せいばんはとよこうからりゃくだつしたたいのおをつかんで)

生蕃は豊公から掠奪したたいの尾をつかんで

(どうのところをむしゃむしゃたべながらいった。)

胴のところをむしゃむしゃ食べながらいった。

(「さかいくん、ぼくはまいあさきみにとうふをくわれてもなんともいわなかった、)

「阪井君、ぼくは毎朝きみに豆腐を食われてもなんともいわなかった、

(これだけはかんにんしてくれたまえ、きみは)

これだけは堪忍してくれたまえ、きみは

(とよこうのをたべたならそれでいいじゃないか」)

豊公のを食べたならそれでいいじゃないか」

(「きさまはとよこうをぎせいにしてじぶんのぎむをのがれようというのか」)

「きさまは豊公をぎせいにして自分の義務をのがれようというのか」

(「ぎむだって?ぼくはなにもきみにさかなをやるぎむはないよ」)

「義務だって? ぼくはなにもきみにさかなをやる義務はないよ」

(「やいこぞう、こらっ、さんねんのらいおんをたいじしたせいばんをしらないか、よしっ」)

「やい小僧、こらッ、三年のライオンを退治した生蕃を知らないか、よしッ」

(せいばんのてがはやくもちびこうのふところにはいった。)

生蕃の手が早くもチビ公のふところにはいった。

(「いやだいやだぼくはしんでもいやだ」)

「いやだいやだぼくは死んでもいやだ」

(ちびこうはりょううでをくんでふところをまもった。)

チビ公は両腕を組んでふところを守った。

(「えい、めんどうだ」せいばんはずるずるとおりばこをひきだした、)

「えい、面倒だ」生蕃はずるずると折り箱をひきだした、

(ちびこうはひっしになってあらそうた。)

チビ公は必死になって争うた。

(ひとつはおじをよろこばせようといういっしんにのぼせつめている、)

一は伯父を喜ばせようという一心にのぼせつめている、

(ひとつはわがはらをみたそうというよくぼうにきぐるわしくなっている。)

一はわが腹をみたそうという欲望に気狂わしくなっている。

(だいひょうとちびこう、むろんてきしうべくもない、)

大兵とチビ公、無論敵し得べくもない、

(せいばんはちびこうのよこつらをぴしゃりとなぐった、)

生蕃はチビ公の横面をぴしゃりとなぐった、

(なぐられながらちびこうはてぬぐいのはしをにぎってはなさない。)

なぐられながらチビ公はてぬぐいの端をにぎってはなさない。

(「えいっ」こえとともにけあげたあしさき!)

「えいッ」声とともにけあげた足先!

(ちびこうはばったりたおれた。)

チビ公はばったりたおれた。

(ふたたびおきあがったときはるかにせいばんのびわうたがきこえた。)

ふたたび起きあがったときはるかに生蕃の琵琶歌が聞こえた。

(「それたつじんはたいかんす・・・・・・えいこはゆめかまぼろしか・・・・・・」)

「それ達人は大観す……栄枯は夢か幻か……」

(ちびこうのめからあついなみだがとめどなくながれた、)

チビ公の目から熱い涙がとめどなく流れた、

(かねのためにさいなまれたかれは、わんりょくのためにさいなまれる、)

金のためにさいなまれたかれは、腕力のためにさいなまれる、

(このよのありとあらゆるはくがいはただわれにのみあつまってくるのだとおもった。)

この世のありとあらゆる迫害はただわれにのみ集まってくるのだと思った。

(はかまのどろをはらってとぼとぼとあるきだしたが、)

はかまのどろをはらってとぼとぼと歩きだしたが、

(いろいろなひふんがむねにもえてどこをどうあるいたかわからなかった、)

いろいろな悲憤が胸に燃えてどこをどう歩いたかわからなかった、

(かれはひょろながいぽぷらのしたにたったときはじめてわがやへきたことをしった、)

かれはひょろ長いポプラの下に立ったときはじめてわが家へきたことを知った、

(いえのなかではくらいでんとうのしたでおじがまめをひいているおとがきこえる。)

家の中では暗い電灯の下で伯父が豆をひいている音が聞こえる。

(「ぎいぎいざらざら」うすをもるるまめのおとが)

「ぎいぎいざらざら」うすをもるる豆の音が

(ちょうどあられのようにいかめしいなかに、うすのすれるおとはいかにもかんじゃくである)

ちょうどあられのようにいかめしい中に、うすのすれる音はいかにも閑寂である

(みせのおくにはははがいっしょうけんめいにきものをぬうている。)

店の奥には母が一生懸命に着物を縫うている。

(やせたかおにおくれげがたれてきれめのながいめではりをおいながら)

やせた顔におくれ毛がたれて切れ目の長い目で針を追いながら

(ふとてをやめたのはわがこのあしおとをききつけたためであろう。)

ふと手をやめたのはわが子の足音を聞きつけたためであろう。

(「おりづめがない」)

「折詰がない」

(こうおもったときちびこうはこらえられなくなってなきだした。)

こう思ったときチビ公はこらえられなくなってなきだした。

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