風立ちぬ 堀辰雄 ⑥

投稿者ヒマヒマ マヒマヒプレイ回数000
難易度(4.4) 2983打 長文タグ堀辰雄 小説 長文
ジブリの「風立ちぬ」作成に当たり、参考とされた小説です。
順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 nao 7418 7.6 96.5% 386.6 2975 107 59 2020/11/26
2 subaru 7220 7.5 96.2% 395.7 2972 115 59 2020/11/26
3 HAKU 7156 7.4 96.7% 402.7 2983 101 59 2020/11/28
4 おっ 6605 S+ 6.9 95.2% 428.1 2975 147 59 2020/12/01
5 でこ 6168 A++ 6.3 96.7% 469.5 2997 101 59 2020/12/27

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問題文

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(しがつげじゅんのあるうすぐもったあさ、ていしゃばまでちちにみおくられて、)

四月下旬の或る薄曇った朝、停車場まで父に見送られて、

(わたしたちはあたかもみつげつのたびへでもでかけるように、ちちのまえはさもたのしそうに、)

私達はあたかも蜜月の旅へでも出かけるように、父の前はさも愉しそうに、

(さんがくちほうへむかうきしゃのにとうしつにのりこんだ。)

山岳地方へ向う汽車の二等室に乗り込んだ。

(きしゃはしずかにぷらっとほーむをはなれだした。)

汽車はしずかにプラットフォームを離れ出した。

(そのあとに、つとめてなにげなさそうにしながら、)

その跡に、つとめて何気なさそうにしながら、

(ただせなかだけすこしまえかがみにして、)

ただ背中だけ少し前かがみにして、

(きゅうにとしとったようなようすをしてたっているちちだけをひとりのこして。)

急に年とったような様子をして立っている父だけを一人残して。

(すっかりぷらっとふぉーむをはなれると、わたしたちはまどをしめて、)

すっかりプラットフォームを離れると、私達は窓を締めて、

(きゅうにさびしくなったようなかおつきをして、)

急に淋しくなったような顔つきをして、

(あいているにとうしつのひとすみにこしをおろした。)

空いている二等室の一隅に腰を下ろした。

(そうやっておたがいのこころとこころをあたためあおうとでもするように、)

そうやってお互の心と心を温め合おうとでもするように、

(ひざとひざとをぴったりとくっつけながらーー)

膝と膝とをぴったりとくっつけながらーー

((かぜたちぬ)わたしたちののったきしゃが、なんどとなくやまをよじのぼったり、)

(風立ちぬ)  私達の乗った汽車が、何度となく山をよじのぼったり、

(ふかいけいこくにそってはしったり、またそれからきゅうにうちひらけた)

深い渓谷に沿って走ったり、又それから急に打ちひらけた

(ぶどうばたけのおおいだいちをながいことかかってよこぎったりしたのち、)

葡萄畑の多い台地を長いことかかって横切ったりしたのち、

(やっとさんがくちたいへとはてしのないような、)

やっと山岳地帯へと果てしのないような、

(しつようなとうはんをつづけだしたころには、そらはいっそうひくくなり、)

執拗な登攀をつづけ出した頃には、空は一層低くなり、

(いままではただいちめんにとざしているようにみえたまっくろなくもが、)

いままではただ一面にとざしているように見えた真っ黒な雲が、

(いつのまにかはなればなれになってうごきだし、)

いつの間にか離れ離れになって動き出し、

(それらがわたしたちのめのうえにまでおしかぶさるようであった。)

それらが私達の目の上にまで圧しかぶさるようであった。

など

(くうきもなんだかそこびえがしだした。)

空気もなんだか底冷えがしだした。

(うわぎのえりをたてたわたしは、かたかけにすっかりからだをうめるようにして)

上衣の襟を立てた私は、肩掛にすっかり体を埋めるようにして

(めをつぶっているせつこの、つかれたというよりも、)

目をつぶっている節子の、疲れたと云うよりも、

(すこしこうふんしているらしいかおをふあんそうにみまもっていた。)

すこし興奮しているらしい顔を不安そうに見守っていた。

(かのじょはときどきぼんやりとめをひらいてわたしのほうをみた。)

彼女はときどきぼんやりと目をひらいて私の方を見た。

(はじめのうちはふたりはそのたびごとにめとめでほほえみあったが、)

はじめのうちは二人はその度毎に目と目で微笑あったが、

(しまいにはただふあんそうにたがいをみあったきり、)

しまいにはただ不安そうに互を見合ったきり、

(すぐふたりともめをそらせた。)

すぐ二人とも目をそらせた。

(そうしてかのじょはまためをとじた。)

そうして彼女はまた目を閉じた。

(「なんだかひえてきたね。ゆきでもふるのかな」)

「なんだか冷えてきたね。雪でも降るのかな」

(「こんなしがつになってもゆきなんかふるの?」)

「こんな四月になっても雪なんか降るの?」

(「うん、このあたりはふらないともかぎらないのだ」)

「うん、この辺は降らないともかぎらないのだ」

(まださんじごろだというのにもうすっかりうすぐらくなったまどのそとへめをそそいだ。)

まだ三時頃だというのにもうすっかり薄暗くなった窓の外へ目を注いだ。

(ところどころにまっくろなもみをまじえながら、)

ところどころに真っ黒な樅をまじえながら、

(はのないからまつがむすうにならびだしているのに、)

葉のない落葉松が無数に並び出しているのに、

(すでにわたしたちはやつがたけのすそをとおっていることにきがついたが、)

すでに私達は八ヶ岳の裾を通っていることに気がついたが、

(まのあたりにみえるはずのやまらしいものはかげもかたちもみえなかった。)

まのあたりに見える筈の山らしいものは影も形も見えなかった。

(きしゃは、いかにもさんろくらしい、)

汽車は、いかにも山麓らしい、

(ものおきごやとたいしてかわらないちいさなえきにていしゃした。)

物置小屋と大してかわらない小さな駅に停車した。

(えきには、こうげんりょうようじょのしるしのついたはっぴをきた、)

駅には、高原療養所の印のついた法被を着た、

(としとった、こづかいがひとり、わたしたちをむかえにきていた。)

年とった、小使が一人、私達を迎えに来ていた。

(えきのまえにまたせてあった、ふるい、ちいさなじどうしゃのところまで、)

駅の前に待たせてあった、古い、小さな自動車のところまで、

(わたしはせつこをうででささえるようにしていった。)

私は節子を腕で支えるようにして行った。

(わたしのうでのなかで、かのじょがすこしよろめくようになったのをかんじたが、)

私の腕の中で、彼女がすこしよろめくようになったのを感じたが、

(わたしはそれにはきづかないようなふりをした。)

私はそれには気づかないようなふりをした。

(「つかれたろうね?」「そんなでもないわ」)

「疲れたろうね?」「そんなでもないわ」

(わたしたちといっしょにおりたすうにんのとちのものらしいひとびとが、)

私達と一緒に下りた数人の土地の者らしい人々が、

(そういうわたしたちのまわりでなにやらささやきあっていたようだったが、)

そういう私達のまわりで何やら囁き合あっていたようだったが、

(わたしたちがじどうしゃにのりこんでいるうちに、いつのまにかそのひとびとは)

私達が自動車に乗り込んでいるうちに、いつのまにかその人々は

(ほかのむらびとたちにまじってみわけにくくなりながら、)

他の村人たちに混って見分けにくくなりながら、

(むらのなかにきえていた。)

村のなかに消えていた。

(わたしたちのじどうしゃが、みすぼらしいこいえのいちれつにつづいているむらをとおりぬけたあと、)

私達の自動車が、みすぼらしい小家の一列に続いている村を通り抜けた後、

(それがみえないやつがたけのおねまでそのままはてしなくひろがっているかとおもえる)

それが見えない八ヶ岳の尾根までそのまま果てしなく拡がっているかと思える

(でこぼこのおおいけいしゃちへさしかかったとおもうと、)

凸凹の多い傾斜地へさしかかったと思うと、

(はいごにぞうきばやしをせおいながら、あかいやねをした、いくつものそくよくのある、)

背後に雑木林を背負いながら、赤い屋根をした、いくつもの側翼のある、

(おおきなたてものが、いくてにみえだした。)

大きな建物が、行く手に見え出した。

(「あれだな」と、わたしはしゃだいのかたむきをからだにかんじだしながら、つぶやいた。)

「あれだな」と、私は車台の傾きを身体に感じ出しながら、つぶやいた。

(せつこはちょっとかおをあげ、いくぶんしんぱいそうなめつきで、)

節子はちょっと顔を上げ、いくぶん心配そうな目つきで、

(それをぼんやりとみただけだった。)

それをぼんやりと見ただけだった。

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