時計のない村2 小川未明
順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | kei | 4773 | B | 4.9 | 95.7% | 354.9 | 1772 | 78 | 28 | 2024/12/01 |
2 | difuku | 3922 | D++ | 4.1 | 94.4% | 425.8 | 1774 | 104 | 28 | 2024/12/22 |
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問題文
(このむらに、もうひとりかねもちがありました。そのおとこは、むらのものが、)
この村に、もう一人金持ちがありました。その男は、村のものが、
(いっぽうのかねもちのいえにばかりでいりするのをねたましくおもいました。とけいが)
一方の金持ちの家にばかり出入りするのをねたましく思いました。時計が
(あるばかりに、みんなが、そのいえへゆくのがしゃくにさわったのであります。)
あるばかりに、みんなが、その家へゆくのがしゃくにさわったのであります。
(「どれ、おれも、ひとつとけいをかってこよう。そうすれば、きっとおれのところへも)
「どれ、俺も、ひとつ時計を買ってこよう。そうすれば、きっと俺のところへも
(みんながやってくるにちがいない。」と、そのおとこはおもったのです。 おとこは、まちへ)
みんながやってくるにちがいない。」と、その男は思ったのです。 男は、町へ
(でました。そして、もうひとりのかねもちがとけいをかったみせと、ちがったみせへ)
出ました。そして、もう一人の金持ちが時計を買った店と、ちがった店へ
(ゆきました。そのみせも、まちでのおおきなとけいやであったのです。おとこは、いろいろな)
ゆきました。その店も、町での大きな時計屋であったのです。男は、いろいろな
(かたちのとけいをこのみせでみました。なるたけめずらしいとおもったのを、おとこはえらびました。)
形の時計をこの店で見ました。なるたけ珍しいと思ったのを、男は選びました。
(「このとけいは、くるわないだろうか。」と、おとこは、みせのばんとうにといました。)
「この時計は、狂わないだろうか。」と、男は、店の番頭に問いました。
(「そんなことは、けっしてございません。ほけんつきでございます。」)
「そんなことは、けっしてございません。保険付きでごさいます。」
(と、ばんとうはこたえました。 「そのとけいのじかんは、あっているだろうか。」)
と、番頭は答えました。 「その時計の時間は、合っているだろうか。」
(と、おとこはたずねました。 「ひょうじゅんじにあっています。」と、ばんとうはこたえました。)
と、男はたずねました。 「標準時に合っています。」と、番頭は答えました。
(「ねじさえかけておけば、いつまでたってもまちがいはないだろうか。」)
「ねじさえかけておけば、いつまでたってもまちがいはないだろうか。」
(と、おとこは、ねんのためにといました。 「このとけいは、いくねんたっても、くるうような)
と、男は、念のために問いました。 「この時計は、幾年たっても、狂うような
(ことはございません。」と、ばんとうはこたえました。 おとこは、これをもってかえれば)
ことはございません。」と、番頭は答えました。 男は、これを持って帰れば
(むらのものたちが、みんなみにやってくるとおもって、そのとけいをかってだいじにして)
村のものたちが、みんな見にやってくると思って、その時計を買って大事にして
(むらへかえりました。 もうひとりのかねもちが、べつのとけいをまちからかってきたという)
村へ帰りました。 もう一人の金持ちが、別の時計を町から買ってきたという
(うわさがむらにたつと、はたして、みんながやってきました。 「とけいをどうぞ)
うわさが村にたつと、はたして、みんながやってきました。 「時計をどうぞ
(みせてください。」 と、むらのものたちが、くちぐちにいいました。)
見せてください。」 と、村のものたちが、口々にいいました。
(おとこは、そういってくるだろうとおもっていたところへ、みんながやって)
男は、そういってくるだろうと思っていたところへ、みんながやって
(きましたから、とくいになって、 「さああがってみなさい。なかなかきかいの)
きましたから、得意になって、 「さあ上がって見なさい。なかなか機械の
(いいとけいなんだから、このじかんばかりはあんしんしていいのだ。」)
いい時計なんだから、この時間ばかりは安心していいのだ。」
(と、おとこはいいました。 むらのものたちは、とけいのかたちがかわっていましたので、)
と、男はいいました。 村のものたちは、時計の形が変わっていましたので、
(「やあ、これはめずらしい。」 といって、そのとけいのまえにあたまをあつめて)
「やあ、これは珍しい。」 といって、その時計の前に頭を集めて
(ほめそやしました。 しかるに、ふしぎなことには、むらにふたつとけいが)
ほめそやしました。 しかるに、不思議なことには、村に二つ時計が
(ありましたが、どうしたことか、ふたつのとけいはやく30ふんばかりじかんがちがって)
ありましたが、どうしたことか、二つの時計は約三十分ばかり時間が違って
(いました。どちらがちがっているのか、だれもそれをしることが)
いました。どちらが違っているのか、だれもそれを知ることが
(できないのであります。)
できないのであります。