私はかうして死んだ!五 3(完) 平林初之輔
勝手に死亡届を出され、生きているのに戸籍上死んだ事になった男の話。
一から五までで一つの話しです。
一から五までで一つの話しです。
| 順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | cherry | 7493 | 光 | 7.8 | 96.1% | 337.1 | 2631 | 105 | 37 | 2026/04/07 |
| 2 | やまちゃん | 4909 | B | 5.0 | 98.0% | 517.8 | 2593 | 51 | 37 | 2026/04/10 |
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問題文
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(「そしてびょうにんがいよいよだめでくちもきけないということがわかってからいしゃを)
「そして病人がいよいよ駄目で口もきけないということがわかってから医者を
(よびにいったのだな?」
「そうです。でもぼくがびょうきをわるくさしたのでは)
よびに行ったのだな?」
「そうです。でも僕が病気を悪くさしたのでは
(ないのですよ」
「だが、きみはびょうにんにうぃすきーかなにかのませや)
ないのですよ」
「だが、君は病人にウィスキーか何かのませや
(しなかったか?」
「そんなことまでわかりましたか」)
しなかったか?」
「そんなことまでわかりましたか」
(とかれはひたいにあぶらあせをにじませながらいった。
「じつは、あのびょうにんが、とてもかいふくの)
と彼は額に脂汗をにじませながら言った。
「実は、あの病人が、とても回復の
(みこみはないから、このよのおもいでにすきなさけをいっぱいだけのましてくれとせがむ)
見込みはないから、この世の思い出に好きな酒を一杯だけ飲ましてくれとせがむ
(もんですから、ぶらんでーをいっぱいのましてやったのです。ところがやつ)
もんですから、ブランデーを一杯のましてやったのです。ところが彼奴(やつ)
(はひどくよろこんでおれいをいっていたかとおもうと、きゅうにこんすいじょうたいにおちいって)
はひどく喜んでお礼を言っていたかと思うと、急に昏睡状態に陥って
(しまったのです」
「では、そのしんだおとこは、まだいきていることになって)
しまったのです」
「では、その死んだ男は、まだ生きていることになって
(いるんだな?」
「そうです、せんきょがすんだら、まちがいをとどけでてていせいして)
いるんだな?」
「そうです、選挙がすんだら、間違いを届け出て訂正して
(もらおうとおもっていたのです」
「では、そのおとこのこせきはわかっているのか?」)
貰おうと思っていたのです」
「では、その男の戸籍はわかっているのか?」
(「ぼくがそのおとこをいえへつれてきたとき、たいへんよろこんで、しがいのしまつだけしてくれ)
「僕がその男を家へつれてきたとき、大変よろこんで、死骸の始末だけしてくれ
(といって、ぼくにみもとをすっかりはなしてくれました」
「そんなことをとどけでたら)
と言って、僕に身元をすっかり話してくれました」
「そんなことを届け出たら
(きみはたいへんなつみになるぞ」とわたしは、すこしかんがえるところがあったのでおどしてやった)
君は大変な罪になるぞ」と私は、少し考えるところがあったのでおどしてやった
(かれはまたなっぱのようにあおくなった。こういうあらくれおとこがあおくなるのは、みて)
彼はまた菜っ葉のように蒼くなった。こういう荒くれ男が青くなるのは、見て
(いるものにはじつにゆかいなものだ。
「だが」とわたしはすっかりしょうりしゃのゆうえつかんを)
いる者には実に愉快なものだ。
「だが」と私はすっかり勝利者の優越感を
(あじわいながらいった。
「きみがすなおにはくじょうしたから、ぼくはこんなもんだいを)
味わいながら言った。
「君がすなおに白状したから、僕はこんな問題を
(けいさつざたにしようとはおもわん。といってしんだおとこをいきたことにして、いきて)
警察沙汰にしようとは思わん。と言って死んだ男を生きたことにして、生きて
(いるぼくをしんでしまったことにしておくわけにもゆかんから、これはぼくから)
いる僕を死んでしまったことにしておくわけにもゆかんから、これは僕から
(とどけてていせいしてやる。きみは、ぜんとゆういのせいねんだ、もうにどとこんなわるいことを)
届けて訂正してやる。君は、前途有為の青年だ、もう二度とこんな悪いことを
など
(しちゃいかんぞ。きみのいっしょうをいまぼうにふらせてはきのどくだから、そのしんだおとこの)
しちゃいかんぞ。君の一生を今棒に振らせては気の毒だから、その死んだ男の
(こせきをぼくにわたしたまえ、ぼくのほうからそっとてつづきをすまして、きみのなはださずに)
戸籍を僕に渡したまえ、僕の方からそっと手続きをすまして、君の名は出さずに
(おいてやる」
かれは、わたしのかんだいなしょちにひじょうにかんしゃして、ほんばこのひきだしから)
おいてやる」
彼は、私の寛大な処置に非常に感謝して、本箱の抽斗から
(しへんをとりだしてわたしのほうへもってきた。
このことがあってからもういちねんに)
紙片をとり出して私の方へもってきた。
このことがあってからもう一年に
(なる。むろんわたしはいまだに、そのことはとどけていないのだ。たまむらは、わたしのほうで)
なる。むろん私はいまだに、そのことは届けていないのだ。玉村は、私の方で
(すっかりてつづきをすましたものとおもいこんでいるから、かれのほうでとどけでるきづかい)
すっかり手続きをすましたものと思いこんでいるから、彼の方で届け出る気遣い
(はない。
こうしてわたしはしんでしまったのだ。そしていまでもしんだことに)
はない。
こうして私は死んでしまったのだ。そして今でも死んだことに
(なっているのだ。わたしにははかばもあれば、しぼうとどけもでており、いしのしんだんをへて)
なっているのだ。私には墓場もあれば、死亡届も出ており、医師の診断を経て
(したいはおちあいのかそうばでやかれて、いこつはせんぞのはかにうめられているのだ。)
死体は落合の火葬場で焼かれて、遺骨は先祖の墓にうめられているのだ。
(すべてがすこしもてつづきじょうのいはんもなく、ておちもなく、わたしのしをしょうめい)
すべてが少しも手続き上の違反もなく、手落ちもなく、私の死を証明
(しているのだ。
わたしはいまではわたしじしんのひにくないちになれてしまって、)
しているのだ。
私は今では私自身の皮肉な位置になれてしまって、
(きみわるくもなんともおもっていない。だがもしわたしが、たいざいをおかしてしけいにでも)
気味わるくも何とも思っていない。だがもし私が、大罪をおかして死刑にでも
(なるとしたら、さいばんかんはいったいだれにしけいのせんこくをくだすだろう。しんでしまった)
なるとしたら、裁判官はいったい誰に死刑の宣告を下すだろう。死んでしまった
(わたしにもういちどしけいをせんこくするだろうか?もしわたしがなにかのつみでたいほされると)
私にもう一度死刑を宣告するだろうか? もし私が何かの罪で逮捕されると
(したらはんじはだれにむかってれいじょうをはっするだろうか?ほねになってうめられている)
したら判事は誰に向かって令状を発するだろうか? 骨になって埋められている
(わたしをどうすることができるだろう?わたしにこいびとができてけっこんするとしたら、)
私をどうすることができるだろう? 私に恋人ができて結婚するとしたら、
(かそうばのはいになったわたしをはなむことしてほうようするだろうか?)
火葬場の灰になった私を花婿として抱擁するだろうか?