ツクツク法師3(完)  夢野久作

投稿者chiroプレイ回数622
難易度(5.0) 1755打 長文 長文モード可タグ長文 小説 タイピング文庫 夢野久作
ツクツクボウシの名前の由来。集団心理は怖い。
順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 えむ 6922 S++ 7.4 93.7% 234.9 1743 117 28 2021/09/16
2 どい 6072 A++ 6.3 96.4% 278.3 1754 64 28 2021/09/02
3 みぽ 5738 A 5.9 97.0% 304.1 1800 55 28 2021/08/20
4 omamo 4348 C+ 4.4 96.8% 387.7 1742 56 28 2021/10/15

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問題文

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(ぼうさんをかしのきへしばりつけると、どろぼうたちはみんなでよこのほうからそのかしのねへ)

坊さんを樫の木へ縛りつけると、泥棒たちはみんなで横の方からその樫の根へ

(おおきなあなをほりはじめましたが、なるほど、だんだんあながふかくなるとしたのほうから)

大きな穴を掘り始めましたが、成る程、だんだん穴が深くなると下の方から

(おおきなかめがでてきました。 「おいおおきなかめがあるぞ。このなかにそのぼうずは)

大きな甕が出て来ました。 「オイ大きな甕があるぞ。この中にその坊主は

(おかねをかくしているのにちがいない」 「さようです、さようです」)

お金を隠しているのに違いない」 「さようです、さようです」

(とぼうさんはなきがおをしながらいいました。 「それをはんぶんだけあげますから)

と坊さんは泣き顔をしながら言いました。 「それを半分だけ上げますから

(はやくわたしをゆるしてください」 「うん、こんなにたくさんあればはんぶんでいい」)

早く私を許して下さい」 「ウン、こんなに沢山あれば半分でいい」

(といいながら、ぼうさんのなわをといてやりました。 「さあみていろ。このかめを)

と言いながら、坊さんの縄を解いてやりました。 「さあ見ていろ。この甕を

(たたきわるから」 といううちに2、3にんがくわのあたまでかめのよこばらを)

タタキ割るから」  といううちに二、三人が鍬のあたまで甕の横腹を

(むちゃくちゃにたたきわりました。 みるとなかにはかしのねがいっぱいになっていて、)

無茶苦茶にタタキ割りました。  見ると中には樫の根が一パイになっていて、

(おかねはいちもんもありませんでした。 これをみたぼうさんはなきだしました。)

お金は一文もありませんでした。  これを見た坊さんは泣き出しました。

(「ああ、わたしがわるうございました。そのかしのきをうえるときに、おまえにやるから)

「ああ、私がわるう御座いました。その樫の木を植える時に、お前にやるから

(しっかりばんをしろといったのをかしのきがほんとうにして、すっかりねをいれておかねを)

しっかり番をしろと言ったのを樫の木が本当にして、すっかり根を入れてお金を

(すいあげてしまったのです。ですからかぜがふくとあんなにおかねのおとがしたのです)

吸い上げてしまったのです。ですから風が吹くとあんなにお金の音がしたのです

(ああなさけない。わたしはもうほんとうにいちもんなしになった。ゆるしてください、)

ああ情けない。私はもう本当に一文なしになった。許して下さい、

(ゆるしてください」 となきながらあやまりました。)

許して下さい」  と泣きながらあやまりました。

(けれどもぼうさんにいくどもだまされたひとびとは、このぼうさんのことばをほんとうに)

けれども坊さんに幾度もだまされた人々は、この坊さんの言葉を本当に

(しませんでした。 「このくそぼうずのうそぼうず、まだおれたちをだまそうとする」)

しませんでした。 「この糞坊主のウソ坊主、まだおれたちを欺そうとする」

(「にくいやつだ」 「ころせ、ころせ」)

「憎い奴だ」 「殺せ、殺せ」

(といううちによってたかってたたきころして、われたかめのなかへおしこんで、)

と言ううちに寄ってたかってたたき殺して、割れた甕の中へ押し込んで、

(つちをかぶせてしまいました。 ところがまたふしぎなことには、そのばんから)

土をかぶせてしまいました。  ところが又不思議なことには、その晩から

など

(いくらかぜがふいてもそのかしのきのはのあいだにはちっともおかねのおとがきこえなく)

いくら風が吹いてもその樫の木の葉の間にはちっともお金の音がきこえなく

(なりました。 そのかわりにそのつちのしたからちいさなせみがなんびきもなんびきもはいだして)

なりました。  その代りにその土の下から小さな蝉が何疋も何疋も這い出して

(きて、そのかしのきにつかまって、よるがあけてからひのくれるまで)

来て、その樫の木に掴まって、夜が明けてから日の暮れるまで

(「おしい、つくつく おしい、おしい)

「惜しい、ツクツク  惜しい、惜しい

(つくつく、おしい つくつく、おしい」)

ツクツク、オシイ  ツクツク、オシイ」

(とかなしそうにないていました。 むらのひとびとはこのせみをつくつくほうしとなを)

と悲しそうに鳴いていました。  村の人々はこの蝉をツクツク法師と名を

(つけました。あのぼうさんはおかねがおしさにあんなむしにうまれかわって、)

つけました。あの坊さんはお金が惜しさにあんな虫に生まれかわって、

(あのかしのきにつかまって「おしい、おしい」とないているのだといいつたえました)

あの樫の木につかまって「惜しい、惜しい」と泣いているのだと言い伝えました

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