三人の百姓2 秋田雨雀
順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | ねね | 4488 | C+ | 4.5 | 98.4% | 452.0 | 2062 | 33 | 30 | 2024/11/04 |
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問題文
(「おもしろいものがおっこってるよ」 とたすけは、わらいながらいうと、たろうえもんも)
「面白いものが落ってるよ」 と多助は、笑いながら言うと、太郎右衛門も
(おおきなくちをひらいてわらいました。 「いさくのひろうんだもの、ろくなもので)
大きな口を開いて笑いました。 「伊作の拾うんだもの、碌なもので
(なかべいになあ!」 とたろうえもんはつけたして、たすけといっしょにすこしいそいでさかを)
なかべいになあ!」 と太郎右衛門は附け足して、多助と一緒に少し急いで坂を
(おりていきました。 さかのしたのほうでは、いさくはさも、もどかしそうに、ふたりの)
下りて行きました。 坂の下の方では、伊作はさも、もどかしそうに、二人の
(おりてくるのをまっていました。 「だまされたとおもって、いそぐべし!」)
下りて来るのを待っていました。 「騙されたと思って、急ぐべし!」
(とたすけは、すみだわらをがさがささせて、はしっていきました。たろうえもんは、)
と多助は、炭俵をがさがささせて、走って行きました。太郎右衛門は、
(ねがはしっこくないおとこでしたから、たすけにおくれて、ひとりでさかをおりていきました)
根がはしっこくない男でしたから、多助に遅れて、一人で坂を下りて行きました
(たろうえもんがいさくのいたところへついたときには、いさくとたすけはだいじそうにして、)
太郎右衛門が伊作のいたところへ着いた時には、伊作と多助は大事そうにして、
(なにかもちあげてみたりさわってみたりしていました 「なにあ、おっこちてるんだてよ?」)
何か持ち上げて見たり触って見たりしていました 「何あ、落てるんだてよ?」
(とたろうえもんはまぬけなかおをして、ふたりのたっているあいだへかおをつっこんでやりました)
と太郎右衛門は間抜な顔をして、二人の立っている間へ顔を突込んでやりました
(「みろ、こうしたものあ、おっこってるんだてば」 といさくは、すこしからだをのけて、)
「見ろ、こうしたものあ、落ってるんだてば」 と伊作は、少し身体を退けて、
(たろうえもんにもみせました。 「ははあ!これあ、きたいなはなしでねいか!」)
太郎右衛門にも見せました。 「ははあ! これあ、奇体な話でねいか!」
(とたろうえもんはさけびました。いま3にんのまえにうまれてからみつきばかりたったひとりの)
と太郎右衛門は叫びました。今三人の前に生れてから三月ばかり経った一人の
(あかごが、うつくしいきれにつつまれてすてられているのでした。いさくのはなしでは、いさくの)
赤児が、美しい布に包まれて捨てられているのでした。伊作の話では、伊作の
(さいしょにみつけたときは、あかごはよくねむっていたということでした。 「いったいどこの)
最初に見付けた時は、赤児はよく眠っていたということでした。 「一体何処の
(こどもだべいな?いいかおつきっこをしてるのにな!」 たすけはあかごのかおをみて、)
子供だべいな?いい顔つきっこをしてるのにな!」 多助は赤児の顔を見て、
(「それさ、いいきものをきて、ただもののこどもじゃあんめいよ。そんだとも、)
「それさ、いい着物を着て、ただ者の子供じゃあんめいよ。そんだとも、
(うっかりてをつけられねいぞ。かかりあいになってろうやさでも、ぶっこまれたら)
うっかり手をつけられねいぞ。かかり合いになって牢屋さでも、ぶっこまれたら
(たいへんだ。さわらぬかみにたたりなしっていうわで」 とつけたしていいました。)
大変だ。触らぬ神に祟なしって言うわで」 と附足して言いました。
(「そうだどもふびんでねいか、けものにでもみつかったらくわれてしまうでねいか?」)
「そうだども不憫でねいか、獣にでも見つかったら食われてしまうでねいか?」
(と、きのよわいたろうえもんはいいました。 「こどももふびんにはふびんだども、)
と、気の弱い太郎右衛門は言いました。 「子供も不憫には不憫だども、
(もったいねいきものっこをきてるでねいか?」 とふだんからすこしよくのふかいいさくは、)
勿体ねい着物っこを着てるでねいか?」 と平生から少し慾の深い伊作は、
(あかごをつつんでいるうつくしいきれをといてみました。すると、あかごのはらのところに、)
赤児を包んでいる美しい布を解いて見ました。すると、赤児の腹のところに、
(さんかくにくけたどうまきがまきつけてありました。いさくはあかごのなくのもみみにはいらない)
三角にくけた胴巻が巻きつけてありました。伊作は赤児の泣くのも耳に入らない
(というように、そのさいふをとりあげて、かたほうのはしをもってふりまわしてみると)
と言うように、その財布を取り上げて、片方の端を持って振り廻して見ると
(そのなかからこばんがどっさりでてきました。それをみて、たすけもたろうえもんも)
その中から小判がどっさり出て来ました。それを見て、多助も太郎右衛門も
(びっくりしてしまいました。 「なんてたまげたはなしだ!」とたすけはあおいかおをして)
吃驚してしまいました。 「何んて魂消た話しだ!」と多助は青い顔をして
(たろうえもんをみると、たろうえもんはいままでこんなたいきんをみたことがないので、)
太郎右衛門を見ると、太郎右衛門は今までこんな大金を見たことがないので、
(きもをつぶしてしまって、がたがたふるえていました。 いさくのはつぎでとにかく)
胆をつぶしてしまって、がたがたふるえていました。 伊作の発議でとにかく
(3にんはそのあかごをひろうことにきめました。)
三人はその赤児を拾うことにきめました。