三人の百姓6(完) 秋田雨雀
順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | Shion | 3236 | E++ | 3.4 | 94.9% | 538.8 | 1841 | 97 | 26 | 2024/10/20 |
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問題文
(なぜといいますとたろうえもんがあさたろうをこのうえもなくあいしているのを、しょうやも)
何故といいますと太郎右衛門が朝太郎をこの上もなく愛しているのを、庄屋も
(よくしっていたからです。「じつは」とちょうざえもんはおそるおそるだいかんさまのかおをみて、)
よく知っていたからです。「実は」と長左衛門は怖る怖る代官様の顔を見て、
(「あのこはわけあってあのたろうえもんがひろいあげて、これまでそだててまいり)
「あの子は訳あってあの太郎右衛門が拾い上げて、これまで育てて参り
(ましたもので・・・・・・」といいかけたとき、だいかんさまは 「それは、わたしもしっているのだ)
ましたもので……」と言いかけた時、代官様は 「それは、私も知っているのだ
(しっているからこそおまえにそうだんをするのだ。じつはあのあさたろうというおこは、)
知っているからこそお前に相談をするのだ。実はあの朝太郎というお子は、
(とののおよつぎのよしまつさまというかたなのだ。さあ、こうもうしたら、おまえもさぞ)
殿のお世継の吉松様という方なのだ。さあ、こう申したら、お前もさぞ
(おどろくだろうが、ちょっとしたとののおあやまりから、あのおこがわるもののてにかかって)
驚くだろうが、ちょっとした殿のお誤りから、あのお子が悪者の手にかかって
(おはてなされなければならないはめにたちいたったのを、いろいろくしんのすえに、)
お果てなされなければならない破目に立到ったのを、色々苦心の末に、
(このやまおくにおすてもうして、りちぎなひゃくしょうのてにごよういくいたさせたのだ。そのしょうこは)
この山奥にお捨て申して、律儀な百姓の手に御養育いたさせたのだ。その証拠は
(おこをひろいあげたものがしょじしているはずだ。とにかくいっこくもはやくよしまつどのに)
お子を拾い上げた者が所持しているはずだ。とにかく一刻も早く吉松殿に
(おめどおりいたしたい」 とたいへんまじめなことばでいいました。)
お目通りいたしたい」 と大変真面目な言調で言いました。
(しょうやのちょうざえもんもはじめてじじょうがわかったので、さっそくたろうえもんのところへいって)
庄屋の長左衛門も初めて事情が解ったので、早速太郎右衛門のところへ行って
(かみだなにいれておいたかきものをださせ、たろうえもんとあさたろうをどうどうして、だいかんさまの)
神棚に入れて置いた書物を出させ、太郎右衛門と朝太郎を同道して、代官様の
(まえにあらわれました。するとだいかんさまとけらいたちはちゃんとへやのそとまでおでむかえして)
前に表われました。すると代官様と家来たちはちゃんと室の外までお出迎えして
(あさたろうをとこのまのまえにすわらせて、ていねいにおじぎをしました。たろうえもんは、)
朝太郎を床の間の前に坐らせて、丁寧にお辞儀をしました。太郎右衛門は、
(しょうやからだいたいのはなしはきいてきたようなもののこのありさまをみて、びっくりして)
庄屋から大体の話はきいて来たようなもののこの有様を見て、吃驚して
(しまいました。あさたろうはなにもわからないので、みんなのかおをきょときょとと)
しまいました。朝太郎は何も解らないので、皆なの顔をきょときょとと
(みまわしているばかりでした。 そのひのゆうがた、ひのかげるころをみはからって)
見廻わしているばかりでした。 その日の夕方、日の陰る頃を見計って
(あさたろうのよしまつどのは、ぼたんにまるのじょうもんのついた、りっぱなかごにのせられて、)
朝太郎の吉松殿は、牡丹に丸の定紋のついた、立派な駕籠に乗せられて、
(じょうかのほうへつれていかれました。そして、そのかわりにばくだいなかねが)
城下の方へつれて行かれました。そして、その代りに莫大な金が
(たろうえもんふうふにのこされました。 「なんておめでたいはなしだ。おまえのとこの)
太郎右衛門夫婦に残されました。 「何んてお目出たい話だ。お前のとこの
(あさたろうがとのさまになるんじゃないか」 としょうやのちょうざえもんが、かごの)
朝太郎が殿様になるんじゃないか」 と庄屋の長左衛門が、駕籠の
(みえなくなったとき、たろうえもんにいいますと、たろうえもんはめになみだをいっぱいためて、)
見えなくなった時、太郎右衛門に言いますと、太郎右衛門は眼に涙を一杯溜て、
(「なにがめでたかべい・・・・・・しょうやさま、ごしょうだわで、とのさまがいやになったらいつでも)
「何が目出たかべい……庄屋様、後生だわで、殿様がいやになったらいつでも
(えんりょなくいえさもどってくるようにいってやってくれべい!」 )
遠慮なく家さ戻って来るように言ってやってくれべい!」
(といってなみだをとめどなくながしました。)
と言って涙を留度なく流しました。