黒蜥蜴17
順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 123 | 6179 | A++ | 6.3 | 97.1% | 554.7 | 3532 | 104 | 51 | 2024/10/02 |
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問題文
(もしもし、ぼくはあけち、わかったね。おおいそぎだよ。ほてるのでぐちというでぐちに)
「もしもし、僕は明智、わかったね。大急ぎだよ。ホテルの出口という出口に
(みはりをさせてくれたまえ。そして、みどりかわふじん、みどりかわふじんだよ。あのひとがいま)
見張りをさせてくれたまえ。そして、緑川夫人、緑川夫人だよ。あの人がいま
(がいしゅつするから、つかまえるんだ。じゅうだいはんにんだ。どんなことがあってもにがしちゃ)
外出するから、つかまえるんだ。重大犯人だ。どんなことがあっても逃がしちゃ
(いけない。はやく、しはいにんやみんなにそういってくれたまえ。いいかい。ああ、)
いけない。早く、支配人やみんなにそういってくれたまえ。いいかい。ああ、
(もしもし、それからね、ぼーいにね、いわせさんのへやへあいかぎをもってくるように)
もしもし、それからね、ボーイにね、岩瀬さんの部屋へ合鍵を持ってくるように
(いってくれたまえ。これもおおいそぎだよ でんわをかけおわると、あけちはじだんだを)
いってくれたまえ。これも大急ぎだよ」電話をかけ終ると、明智は地だんだを
(ふむようにして、へやのなかをいったりきたりしていたが、また、せっかちに)
ふむようにして、部屋の中を往ったり来たりしていたが、また、せっかちに
(じゅわきをとった。もしもし、さっきのこと、うまくやってくれたかい。)
受話器を取った。「もしもし、さっきのこと、うまくやってくれたかい。
(しはいにんにそういってくれたかい。うん、よしよし、それでいい。ありがとう。)
支配人にそういってくれたかい。ウン、よしよし、それでいい。ありがとう。
(じゃ、ぼーいにあいかぎをはやくっていってくれたまえ それから、かれはいわせしのほうに)
じゃ、ボーイに合鍵を早くって言ってくれたまえ」それから、彼は岩瀬氏の方に
(むきなおっていうのだ。ここのこうかんしゅはなかなかきがきいている。てばやく)
向き直っていうのだ。「ここの交換手はなかなか気が効いている。手早く
(はからってくれましたよ。でぐちというでぐちにはみはりがついたそうです。あのおんなが)
計らってくれましたよ。出口という出口には見張りがついたそうです。あの女が
(いくらはやくはしっても、ここからかいだんまではそうとうきょりがあるんだし、かいだんを)
いくら早く走っても、ここから階段までは相当距離があるんだし、階段を
(おりてでぐちまでもなかなかとおいのだから、たぶん、ええ、たぶんだいじょうぶですよ。)
降りて出口までもなかなか遠いのだから、多分、ええ、多分大丈夫ですよ。
(まさかあのゆうめいなみどりかわふじんをみしらないやといにんはいないでしょうからね だが、)
まさかあの有名な緑川夫人を見知らない雇人はいないでしょうからね」だが、
(このあけちのきびんなてはいそれじしんが、またしてもひとつのしっさくであった。)
この明智の機敏な手配それ自身が、またしても一つの失策であった。
(くろとかげ はおおいそぎでかいだんをおりると、じつにいがいにも、でぐちにはむかおうと)
「黒トカゲ」は大急ぎで階段を降りると、実に意外にも、出口には向かおうと
(しないで、じぶんのへやへはいってしまった。さんぷんかん、かっきりさんぷんかんであった。)
しないで、自分の部屋へはいってしまった。三分間、かっきり三分間であった。
(ふたたびかのじょのへやのどあがあくと、そこからひとりのいがいなせいねんしんしがでてきた。)
再び彼女の部屋のドアがあくと、そこから一人の意外な青年紳士が出てきた。
(かっこうのいいそふとぼう、はでながらのせびろふく、きどったはなめがね、こいくちひげ、)
恰好のいいソフト帽、はでな柄の背広服、気取った鼻目がね、濃い口ひげ、
(みぎてにはすねーくうっどのすてっき、ひだりてにはおーばーこーと。これがわずか)
右手にはスネークウッドのステッキ、左手にはオーバーコート。これがわずか
(さんぷんかんのへんそうとは、おそめのななばけもはだしのはやわざ、まじゅつしとじしょうする)
三分間の変装とは、お染の七化けもはだしの早業、魔術師と自称する
(くろとかげ でなくてはできないげいとうだ そういうへんそうようのふくそうは、いつも)
「黒トカゲ」でなくてはできない芸当だ(そういう変装用の服装は、いつも
(りょこうかばんのそこによういされていたのだ 。そのうえ、なんとまあぬけめのないことには)
旅行鞄の底に用意されていたのだ)。その上、なんとまあ抜け目のないことには
(とらんくのなかのほうせきるいは、ひとつもあまさず、そのせびろふくのぽけっとにおさまって)
トランクの中の宝石類は、一つもあまさず、その背広服のポケットにおさまって
(いたのである。せいねんしんしはろうかのまがりかどで、ちょっとちゅうちょした。おもてからに)
いたのである。青年紳士は廊下の曲がり門で、ちょっと躊躇した。表からに
(しようか、それともうらぐちからにしようかと。そのじぶんにはもう、あいかぎが)
しようか、それとも裏口からにしようかと。その時分にはもう、合鍵が
(まにあって、あけちたちはかいかへおりていたが、まさかおもてげんかんからにげだしも)
間に合って、明智たちは階下へ降りていたが、まさか表玄関から逃げ出しも
(しまいと、そのほうはしはいにんにまかせ、てわけしていくつかのうらぐちのみはりを)
しまいと、その方は支配人にまかせ、手分けして幾つかの裏口の見張りを
(していたのだが、くろとかげ ははやくもそれとさっしたのか、だいたんふてきにも、)
していたのだが、「黒トカゲ」は早くもそれと察したのか、大胆不敵にも、
(むねをはり、すてっきをふりながら、くつおともたかくおもてげんかんをとおってそとにでた。)
胸を張り、ステッキを振りながら、靴音も高く表玄関を通ってそとに出た。
(そこには、しはいにんははじめさんにんのぼーいが、ひどくきんちょうしてみはりばんを)
そこには、支配人ははじめ三人のボーイが、ひどく緊張して見張り番を
(つとめていたのだけれど、なにをいうにもひゃくにんにちかいとまりきゃく、そこへそれぞれ)
勤めていたのだけれど、なにをいうにも百人に近い泊り客、そこへそれぞれ
(そとからのおきゃくさまがあるのだから、ひとりひとりのかおをみおぼえているわけではないし)
そとからのお客様があるのだから、一人一人の顔を見覚えているわけではないし
(それに、めざすはみどりかわふじんと、おんなきゃくばかりをちゅういしていたものだから、にっこり)
それに、目ざすは緑川夫人と、女客ばかりを注意していたものだから、ニッコリ
(えしゃくしてとおりすぎたこのせいねんしんしを、まさかそれとはおもいもよらず、)
えしゃくして通り過ぎたこの青年紳士を、まさかそれとは思いもよらず、
(どうもおさわがせいたしまして と、ていねいにおじぎまでして、おくりだした)
「どうもお騒がせいたしまして」と、丁寧にお辞儀までして、送り出した
(のであった。せいねんしんしは、げんかんのいしだんをこつこつおりると、おひろいで、)
のであった。青年紳士は、玄関の石段をコツコツ降りると、おひろいで、
(くちぶえなどふきながら、ゆっくりともんのそとへあるいていった。ほてるのへいにそって)
口笛など吹きながら、ゆっくりと門のそとへ歩いて行った。ホテルの塀にそって
(うすぐらいぺーヴめんとを、すこしいったところで、たばこをふかしながらようすありげに)
薄暗いペーヴメントを、少し行った所で、煙草を吹かしながら様子ありげに
(たたずんでいるひとりのようふくおとこにであった。せいねんしんしはなにおもったのか、いきなり)
たたずんでいる一人の洋服男に出会った。青年紳士はなに思ったのか、いきなり
(そのおとこのかたをぽんとたたいて、かいかつにいった。やあ、きみはもしや)
その男の肩をポンと叩いて、快活にいった。「やあ、君はもしや
(あけちたんていじむしょのかたじゃありませんか。なにをぼんやりしているんです。)
明智探偵事務所のかたじゃありませんか。なにをぼんやりしているんです。
(いまほてるではぞくがつかまったといっておおさわぎですよ。はやくいってごらんなさい)
今ホテルでは賊が捕まったといって大騒ぎですよ。早く行ってごらんなさい」
(すると、あんのじょう、そのおとこはあけちのぶかであったとみえて、ひとちがいじゃ)
すると、案のじょう、その男は明智の部下であったと見えて、「人違いじゃ
(ありませんか。あけちたんていなんてしりませんよ とさすがにようじんぶかいへんじをしたが)
ありませんか。明智探偵なんて知りませんよ」とさすがに用心深い返事をしたが
(おどけにも、ことばとしぐさとはうらはらに、せいねんしんしがに、さんぽいくか)
滑稽にも、言葉と仕草とはうらはらに、青年紳士が二、三歩行くか
(いかないうちに、もうあたふたとほてるのほうへかけだしていた。)
行かないうちに、もうアタフタとホテルの方へ駈け出していた。
(くろとかげ は、くるりとまわれみぎをして、そのうしろすがたみおくったが、こみあげて)
「黒トカゲ」は、クルリと廻れ右をして、そのうしろ姿見送ったが、こみ上げて
(くるおかしさに、ついわれをわすれて、うふふふふふふふ と、ぶきみなわらいを)
くるおかしさに、ついわれを忘れて、「ウフフフフフフフ」と、不気味な笑いを
(もらすのであった。)
もらすのであった。