卒業25

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プレイ回数168難易度(4.4) 3284打 長文
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問題文

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(としひこくんのそうぎには、ぶかつのなかま、くらすめいと、ちゅうがくのなかまがあつまった。)

俊彦君の葬儀には、部活の仲間、クラスメイト、中学の仲間が集まった。

(おさむさんがむかえにきてくれたけれど、わたしは)

修さんが迎えに来てくれたけれど、私は

(べやからでず、としひこくんがさいごにかいたにっきをよんでいた。)

部屋から出ず、俊彦君が最後に書いた日記を読んでいた。

(めぐみ・・・。)

―恵・・・。

(むねがくるしい、いきがくるしい・・・。)

胸が苦しい、息が苦しい・・・・。

(おれはもうだめなのか?)

俺はもうダメなのか?

(まだやりたいこといっぱいあるのに・・・。)

まだやりたい事いっぱいあるのに・・・・。

(めぐみとやくそくしていたすいぞくかんにもいきたい、)

恵と約束していた水族館にも行きたい、

(はなびもふたりでみたい・・・。)

花火も二人で見たい・・・・。

(りょこうだってふたりでいきたい・・・。)

旅行だって二人で行きたい・・・。

(だいがくだっておなじがっこうにいきたい。)

大学だって同じ学校に行きたい・。

(そしていつかめぐみといっしょにかぞくになって)

そしていつか恵と一緒に家族になって

(めぐみによくにたかわいいこどもと3にんで)

恵によく似た可愛い子供と3人で

(ならんであるきたい・・・。)

並んで歩きたい・・・・。

(めぐみががわにいないのがさびしい・・・。)

恵が側にいないのが淋しい・・・。

(てをつないであるきたい・・・。)

手をつないで歩きたい・・・・。

(まだめぐみにきすしてない・・・。)

まだ恵にキスしてない・・・・。

(おまえにもらったせーたーとまふらーとぼうし)

お前にもらったセーターとマフラーと帽子

(いつだってそばにおいてるんだ。)

いつだってそばに置いてるんだ。

(めぐみだとおもってしっかりいだいてねてる。)

恵だと思ってしっかり抱いて寝てる。

など

(しにたくない・・・。)

死にたくない・・・・。

(ほんとうはこわいんだ。)

本当は怖いんだ。

(よめをとじてねむったら、そのままあさがこないんじゃないかって)

夜眼を閉じて眠ったら、そのまま朝が来ないんじゃないかって

(まいにちまいにちこわくてねむれない・・・・・。)

毎日毎日怖くて眠れない・・・・・。

(めぐみ、このさきなにかこまったことがあったら)

恵、この先何か困ったことがあったら

(おさむさんにそうだんするんだ)

修さんに相談するんだ

(おさむさんはおれのにいさんみたいなひとだから)

修さんは俺の兄さんみたいな人だから

(あんしんしてそうだんするといい、そして)

安心して相談するといい、そして

(おれよりやさしいひととしあわせになれ!!)

俺より優しい人と幸せになれ!!

(めぐみはわらったかおがいちばんかわいい。)

恵は笑った顔が一番可愛い。

(だからわらっていてくれ。)

だから笑っていてくれ。

(いますぐあいたい・・・。)

今すぐ会いたい・・・・。

(くやしいよ・・・。)

悔しいよ・・・・。

(めぐみ・・、だいすきだ・・・。)

恵・・、大好きだ・・・。―

(なみだがとまらなかった、どんなおもいでこのにっきをかいたのか)

涙が止まらなかった、どんな思いでこの日記を書いたのか

(としひこくんのおもいがあふれて、くやしくてくやしくてしかたがなかっただろう。)

俊彦君の想いが溢れて、悔しくて悔しくて仕方がなかっただろう。

(17ねんのじんせいみじかすぎる・・・・・。)

17年の人生短すぎる・・・・・。

(ないてなみだがもうでないくらいないた・・・・・。)

泣いて涙がもう出ないくらい泣いた・・・・・。

(がっこうへゆくみちもひとり、ぶかつどうへもひとり)

学校へ行く道も一人、部活動へも一人

(おさむさんのみせのばいともやすんでいる。)

修さんの店のバイトも休んでいる。

(としひこくんの49にちのほうよう、)

俊彦君の四十九日の法要、

(おはかにとしひこくんのいこつをおさめるひ。)

お墓に俊彦君の遺骨を納める日。

(としひこくんのおかあさんとおさむさんとあかねさんがおてらへいった。)

俊彦君のお母さんと修さんと茜さんがお寺へ行った。

(わたしはがっこうがあったのでいかなかった。)

私は学校があったので行かなかった。

(ゆうがた、おさむさんがいえにやってきた。)

夕方、修さんが家にやってきた。

(としひこくんのおかあさんからとしひこくんにあげたぷれぜんとを)

俊彦君のお母さんから俊彦君にあげたプレゼントを

(あずかってきた。)

預かってきた。

(わたしにもっていてほしいといっていたそうだ。)

私に持っていて欲しいと言っていたそうだ。

(しょうじきわたしもみるのはからい、としひこくんのかおがうかんでくるから・・・。)

正直私も見るのは辛い、俊彦君の顔が浮かんでくるから・・・・。

(そのなかにふうとうがあった。)

その中に封筒があった。

(ちゅうにはてがみがはいっていた。)

中には手紙が入っていた。

(めぐみ。)

―恵み。

(ごほうびりょこうたのしかったな。)

ご褒美旅行楽しかったな。

(こんどはふたりでいこう。)

今度は二人で行こう。

(このあいだいったとき、おまえがそつぎょうするとしに)

この間行った時、お前が卒業する年に

(よやくをしたんだ。)

予約をしたんだ。

(ふたりでまたこよう。)

二人でまた来よう。

(いっしょにきょうとのまちじゅうをてをつないであるこうな。)

一緒に京都の街中を手をつないで歩こうな。―

(まだげんきなころにかいたもの。)

まだ元気なころに書いたもの。

(としひこくんこんなことしてたなんて・・・。)

俊彦君こんな事してたなんて・・・・。

(まったくもうとしひこくんたら・・・・・。)

全くもう俊彦君たら・・・・・。

(とおもったときはっ!!とした。)

と思った時はっ!!とした。

(としひこくんはもういないのに・・・・・。)

俊彦君はもういないのに・・・・・。

(わたしはまえにすすんでいない。)

私は前に進んでいない。

(うけいれたはずなのに)

受け入れたはずなのに

(つぎのにおさむさんがやってきて、)

次のに修さんがやってきて、

(「そろそろばいとにこない?」)

「そろそろバイトに来ない?」

(「しゅうまつからいきます。」)

「週末から行きます。」

(「じゃ、まってるからね。」)

「じゃ、待ってるからね。」

(ばいとにふっきしたわたしは、からだをたくさんうごかしていた。)

バイトに復帰した私は、体をたくさん動かしていた。

(しごとをしていることで、かんがえなくてすむ。)

仕事をしていることで、考えなくて済む。

(「めぐみちゃん、おわったらゆうはんつきあってくれるかい?」)

「恵ちゃん、終わったら夕飯付き合ってくれるかい?」

(おさむさんはうみぞいのかふぇにつれてきてくれた。)

修さんは海沿いのカフェに連れてきてくれた。

(「あのうみをみていいですか?」)

「あの海を見ていいですか?」

(おさむさんはあたたかいのみものをかってきてくれた)

修さんは温かい飲み物を買ってきてくれた

(「どう?すこしはだいじょうぶになったかい?」)

「どう?少しは大丈夫になったかい?」

(「しんぱいかけてすみません。」)

「心配かけてすみません。」

(わたしはとしひこくんのにっきとてがみをみせた。)

私は俊彦君の日記と手紙を見せた。

(おさむさんはだまってそれをよんでいた。)

修さんは黙ってそれを読んでいた。

(「あいつ・・・、めぐみちゃんのことばっかりしんぱいして。」)

「あいつ・・・、恵ちゃんの事ばっかり心配して。」

(「おねがいがあるんですけど。」)

「お願いがあるんですけど。」

(「なにだい?」)

「何だい?」

(「わたしがそつぎょうしていくよていのきょうとりょこう、)

「私が卒業していく予定の京都旅行、

(おさむさんがいっしょにいってくれませんか?」)

修さんが一緒に行ってくれませんか?」

(「えっ?!」)

「えっ?!」

(「そのほうが、としひこくんよろこぶとおもうし、)

「その方が、俊彦君喜ぶと思うし、

(ほかのひととじゃいかるからきっと・・・。」)

他の人とじゃ怒るからきっと・・・・。」

(「だね、だいじょうぶ。つきあってあげるよ。」)

「だね、大丈夫。付き合ってあげるよ。」

(「ありがとうございます。」)

「ありがとうございます。」

(「むりはしないようにね、すこしずつじぶんのなかで)

「無理はしないようにね、少しずつ自分の中で

(きもちのせいりをつければいいんだから。」)

気持ちの整理をつければいいんだから。」

(「つよくなりたいです、としひこくんがしんぱいするから)

「強くなりたいです、俊彦君が心配するから

(わらってもうだいじょうぶってほうこくできるようになりたい。」)

笑ってもう大丈夫って報告できるようになりたい。」

(「そういうひがきっとくるよ。」)

「そういう日がきっと来るよ。」

(なみだがでてしかたなかった、おさむさんはぶらんけっとをわたしにかけて)

涙が出て仕方なかった、修さんはブランケットを私にかけて

(わたしのからだがひえないようにあたためてくれていた。)

私の体が冷えないように暖めてくれていた。

(おさむさんのうでのなかはあたたかくて、わたしはこどもみたいにないていた。)

修さんの腕の中は暖かくて、私は子供みたいに泣いていた。

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