捧げられたイメェジ

(そらをみあげれば。そこには。)

空を見上げれば。そこには。

(よどんだそらに、ほしがひろがる。)

澱んだ空に、星が広がる。

(ああ、わたしがわらっている。)

ああ、私が嗤っている。

(わたしがわたしをわらっている。)

私が私を嗤っている。

(ねじれまがったわたしが。)

捻じれ曲がった私が。

(たしなむめいていのはずが、)

嗜む酩酊のはずが、

(いつしか、それなしでは。いきさえ、)

いつしか、“それ”なしでは。息さえ、

(できなくなってしまう。)

出来なくなってしまう。

(うちすてる、しこうを。)

打ち捨てる、思考を。

(はびこるすべてのゆううつを、)

蔓延る全ての憂鬱を、

(くはりと、はきだすようにして、)

くはりと、吐き出すようにして、

(かろうじていきている。)

辛うじて生きている。

(けだるさに、とけゆく。)

気だるさに、溶けゆく。

(ねぇ、めりー。)

ねぇ、貴方。

(おもうに、このげんじつは。)

思うに、この現実は。

(もろくはかないものなのかしらね？)

脆く果敢ないものなのかしらね？

(むしのように、あやつられ、まじわる。)

虫のように、操られ、交わる。

(むじかくなほんのうのまま、おこなわれて、ひろがる。)

無自覚な本能のまま、行われて、広がる。

(くさっていく。)

腐っていく。

(こころのすきまを、うめようと。)

心の隙間を、埋めようと。

(ただ、ただ、くりかえす。)

ただ、ただ、繰り返す。

(けれども、なにもうまらずに。)

-けれども、何も埋まらずに。

(わたしは。)

私は。

(なにを。)

何を。

(だれと。)

誰と。

(なにを。)

何を。

(だれもがぎまんをぬりかため。)

誰もが欺瞞を塗り固め。

(かおという、かおじゅうにはりつけ。)

顔という、顔中に貼り付け。

(じぶんを、あざむきながら。)

自分を、欺きながら。

(あゆみよる、ひそかに。)

歩み寄る、密かに。

(あるいはそのかんじょうさえ。)

或いはその感情さえ。

(ひとときの、いたずらのさせる、)

ひと時の、悪戯の為せる、

(とうひのうんだまぼろし。)

逃避の産んだ幻。

(げんじつを、ゆがめて。)

現実を、歪めて。

(ねぇ、めりー。)

ねぇ、私。

(おもうに、このかんけいこそ。)

思うに、この関係こそ。

(ひどくきたないものなのかしらね？)

酷く汚いものなのかしらね？

(むしのように、きせいされ、いさかう。)

虫のように、寄生され、諍う。

(よるいろのえみをしたなにかが、わたしを、みつめる。)

夜色の笑みをした何かが、私を、見つめる。

(よごれていく。)

穢れていく。

(ゆえつをたたえる、そのめは。)

愉悦を湛える、その眼は。

(ただ、ただ、ゆうべんに。)

ただ、ただ、雄弁に。

(まだまだ、おわらせはしない。)

-未だ未だ、終わらせはしない。

(あなたは。)

貴方は。

(なにを。)

何を。

(だれと。)

誰と。

(なにを。)

何を。

(かけていく、うばわれたいすのかずひとつ。)

欠けていく、奪われた椅子の数一つ。

(わたしには、とりもどすすべがみつからない。)

私には、取り戻す術が見つからない。

(ゆえに。)

故に。

(かけていく。こわすべきいすのかずひとつ。)

欠けていく。壊すべき椅子の数一つ。

(わたしには、それいがいのすべがみつからない。)

私には、それ以外の術が見つからない。

(むしのように、)

虫のように、

(しはいされ、)

支配され、

(くちゆく。)

朽ち逝く。

(やまいのはてのよるのくろを、)

病の果ての夜の黒を、

(そのうちに、はらんで。)

その内に、孕んで。

(きえていく。)

消えていく。

(すべてがねじれて、こわれる。)

全てが捻じれて、壊れる。

(ただ、ただ、ようしゃなく。)

ただ、ただ、容赦なく。

(じむのぺでぃが、きばをむく。)

-幻想が、牙を剥く。

(わたしは。)

私は。

(なにを。)

何を。

(だれと。)

誰と。

(なにを。)

何を。