秋長文全文
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問題文
(うちのははがつくってくれたやきいもは、)
うちの母が作ってくれた焼芋は、
(ちいさなあるまいとのなべのなかにこいしをつめてやくいしやきいもでした。)
小さなアルマイトの鍋の中に小石を詰めて焼く石焼芋でした。
(こんがりかわがこげるのでこうばしいにおいはげんかんまでとどきました。)
こんがり皮がこげるので香ばしい匂いは玄関まで届きました。
(ちいさななべではおおきなさつまいもははいらなくて、)
小さな鍋では大きなさつま芋は入らなくて、
(かわをむくとはんぶんくらいみがなくなってしまうようなやきいもでしたが)
皮を剥くと半分くらい身がなくなってしまうような焼芋でしたが
(あきのたのしいおやつでした。)
秋の楽しいおやつでした。
(にほんのあきのふうぶつのひとつにむしのねがあります。)
日本の秋の風物のひとつに虫の音があります。
(にわさきでこうえんで、みちばたのくさむらでまいばんむしたちがうつくしいねいろをひびかせています。)
庭先で公園で、道端の草むらで毎晩虫たちが美しい音色を響かせています。
(まんようしゅうなどのかしゅうにもむしのねをたのしむすがたはかかれており、)
万葉集などの歌集にも虫の音を楽しむ姿は書かれており、
(えどじだいになるとむしうりというしょうばいまでうまれて、)
江戸時代になると虫売りという商売まで生まれて、
(しょうわのはじめごろまでつづいていました。)
昭和のはじめ頃まで続いていました。
(とおいむかしからにほんじんはくらしのいろどりとしてむしのねにひかれていたのですね。)
遠い昔から日本人は暮らしの彩りとして虫の音に惹かれていたのですね。
(こどものころ、あきのゆうぐれにはあきちにたくさんのあかとんぼがとんでいました。)
子供の頃、秋の夕暮れには空き地にたくさんの赤とんぼが飛んでいました。
(きんじょのこどもたちはそのあかとんぼをおいかけて、)
近所の子供たちはその赤とんぼを追いかけて、
(やきゅうぼうをふりまわしながらかけまわりました。)
野球帽を振り回しながら駆け回りました。
(あかとんぼのなかにはこどものあたまのうえにとまったり、ゆびさきにとまったり、)
赤とんぼの中には子供の頭の上にとまったり、指先にとまったり、
(まるでこどもたちとあそぶことをたのしんでいるようなこうきしんのつよいとんぼもいました。)
まるで子供達と遊ぶことを楽しんでいるような好奇心の強いとんぼもいました。