山本周五郎 赤ひげ診療譚 狂女の話 5
映画でも有名な、山本周五郎の傑作短編です。
長崎から江戸へ帰ってきた青年医師保本登は、小石川養生所で働くことになるが…。
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問題文
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(おすぎがかおをあからめたのはつがわのためではない。)
お杉が顔を赤らめたのは津川のためではない。
(つがわはおすぎとしたしいようなくちぶりをみせたが、)
津川はお杉と親しいような口ぶりをみせたが、
(おすぎのほうではなんともおもってはいなかったのだ。)
お杉のほうではなんとも思ってはいなかったのだ。
(はじめてみなみぐちのそとであったとき、おすぎがほほをそめ、)
初めて南口の外で会ったとき、お杉が頬を染め、
(はじらいのまなざしでえしゃくしたのは、)
恥らいのまなざしで会釈したのは、
(のぼるがみつめていることにきづいたからである。)
登がみつめていることに気づいたからである。
(ーーおすぎとしたしくなったあとで、のぼるはそれらのことをおすぎのくちからきいた。)
ーーお杉と親しくなったあとで、登はそれらのことをお杉の口から聞いた。
(のぼるはおすぎとしたしくなり、やがて、ひとにかくれてあうようにさえなったが、)
登はお杉と親しくなり、やがて、人に隠れて逢うようにさえなったが、
(あとでかんがえるとじゅんすいなきもちではなかった。)
あとで考えると純粋な気持ではなかった。
(じぶんにふりかかったいろいろなじじょうで、ひどくしらけた、)
自分にふりかかったいろいろな事情で、ひどくしらけた、
(やけなようなきもちになっていて、ふへいをうったえるあいてがほしかったのと、)
やけなような気持になっていて、不平を訴える相手が欲しかったのと、
(ゆみというむすめのびょうじょうにきょうみをもったため、)
ゆみという娘の病状に興味をもったため、
(というほうがあたっているかもしれない。)
というほうが当っているかもしれない。
(それにはおすぎはもっともいいあいてだった。)
それにはお杉はもっともいい相手だった。
(のぼるはようじょうしょなどへいれられたふまんをかたり、)
登は養生所などへ入れられた不満を語り、
(ちぐさのことまでもはなすようになった。)
ちぐさのことまでも話すようになった。
(かのじょにはそんなうちあけばなしをさせるような、)
彼女にはそんなうちあけ話をさせるような、
(しんみなあたたかさとやすらかさがかんじられたのである。)
しんみな温かさとやすらかさが感じられたのである。
(「わたしはけっしてかれらのおもうままにはならない」とかれはおすぎにいった、)
「私は決してかれらの思うままにはならない」と彼はお杉に云った、
(「これはこうかつにしくまれたことなんだ、わたしはかれらにてをやかせてやる、)
「これは狡猾に仕組まれたことなんだ、私はかれらに手を焼かせてやる、
など
(がまんをきらせたかれらが、)
がまんをきらせたかれらが、
(どうかでていってくれとたのむようにさせてやるつもりだ」)
どうか出ていってくれと頼むようにさせてやるつもりだ」
(「そうでしょうか」とおすぎはふとくしんらしくくびをかしげた、)
「そうでしょうか」とお杉は不得心らしく首をかしげた、
(「あたしそのおじょうさまのことと、ここへおはいりになったこととは)
「あたしそのお嬢さまのことと、ここへおはいりになったこととは
(かかわりがないようにおもいますけれど」)
かかわりがないように思いますけれど」
(おすぎがじぶんのいけんをのべるなどということははじめてなので、)
お杉が自分の意見を述べるなどということは初めてなので、
(のぼるはいぶかしげにかのじょをみた。「ーーどうして」とかれはききかえした。)
登は訝しげに彼女を見た。「ーーどうして」と彼は訊き返した。
(「おじょうさまがそういうことになったのなら、)
「お嬢さまがそういうことになったのなら、
(あまのさまはそのおつぐないをなさるはずですわ、つぐないをなさらないにしても、)
天野さまはそのお償いをなさる筈ですわ、償いをなさらないにしても、
(おめみえいにするというやくそくだけは、)
御目見医にするという約束だけは、
(たしょうむりでもまもらなければならなかったとおもいます」それはにがつげじゅんのよる、)
多少むりでも守らなければならなかったと思います」それは二月下旬の夜、
(のぼるがおすぎとはじめてゆっくりはなしたときのことなのだ。)
登がお杉とはじめてゆっくり話したときのことなのだ。
(ゆみたちのじゅうきょからじゅっけんほどはなれた、たけやぶのまえにこしかけがある。)
ゆみたちの住居から十間ほど離れた、竹藪の前に腰掛がある。
(こしかけはにゅうしょかんじゃのために、ひあたりのいいばしょにななつあるが、)
腰掛は入所患者のために、陽当りのいい場所に七つあるが、
(そのたけやぶのまえにあるこしかけはゆみのためにもうけたもので、)
その竹藪の前にある腰掛はゆみのために設けたもので、
(やねをかけたあずまやづくりになっており、よるなどはひとのちかづくこともなかった。)
屋根を掛けた亭づくりになっており、夜などは人の近づくこともなかった。