「こころ」1-14 夏目漱石

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(上)先生と私
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5 レイコ 4779 B 4.8 97.9% 400.5 1954 40 36 2024/03/24

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問題文

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(わたくしのしるかぎりせんせいとおくさんとは、なかのいいふうふのいっついであった。)

私の知る限り先生と奥さんとは、仲の好い夫婦の一対であった。

(かていのいちいんとしてくらしたことのないわたくしのことだから、)

家庭の一員として暮らした事のない私のことだから、

(ふかいしょうそくはむろんわからなかったけれども、ざしきでわたくしとたいざしているとき、)

深い消息は無論解らなかったけれども、座敷で私と対坐している時、

(せんせいはなにかのついでに、げじょをよばないで、おくさんをよぶことがあった。)

先生は何かのついでに、下女を呼ばないで、奥さんを呼ぶ事があった。

((おくさんのなはしずといった)。)

(奥さんの名は静といった)。

(せんせいは「おいしず」といつでもふすまのほうをふりむいた。)

先生は「おい静」といつでも襖の方を振り向いた。

(そのよびかたがわたくしにはやさしくきこえた。)

その呼びかたが私には優しく聞こえた。

(へんじをしてでてくるおくさんのようすもはなはだすなおであった。)

返事をして出て来る奥さんの様子も甚だ素直であった。

(ときたまごちそうになって、おくさんがせきへあらわれるばあいなどには、)

ときたまご馳走になって、奥さんが席へ現れる場合などには、

(このかんけいがいっそうあきらかにふたりのあいだにえがきだされるようであった。)

この関係が一層明らかに二人の間に描き出されるようであった。

(せんせいはときどきおくさんをつれて、おんがくかいだのしばいだのにいった。)

先生は時々奥さんを伴れて、音楽会だの芝居だのに行った。

(それからふうふづれでいっしゅうかんいないのりょこうをしたことも、)

それから夫婦づれで一週間以内の旅行をした事も、

(わたくしのきおくによると、に、さんどいじょうあった。)

私の記憶によると、二、三度以上あった。

(わたくしははこねからもらったえはがきをまだもっている。)

私は箱根から貰った絵端書をまだ持っている。

(にっこうへいったときはもみじのはをいちまいふうじこめたゆうびんももらった。)

日光へ行った時は紅葉の葉を一枚封じ込めた郵便も貰った。

(とうじのわたくしのめにうつったせんせいとおくさんのあいだがらはまずこんなものであった。)

当時の私の眼に映った先生と奥さんの間柄はまずこんなものであった。

(そのうちにたったひとつのれいがいがあった。)

そのうちにたった一つの例外があった。

(あるひわたくしがいつものとおり、せんせいのげんかんからあんないをたのもうとすると、)

ある日私がいつもの通り、先生の玄関から案内を頼もうとすると、

(ざしきのほうでだれかのはなしごえがした。)

座敷の方でだれかの話し声がした。

(よくきくと、それがじんじょうのだんわでなくって、どうもいさかいらしかった。)

よく聞くと、それが尋常の談話でなくって、どうも言逆いらしかった。

など

(せんせいのたくはげんかんのつぎがすぐざしきになっているので、)

先生の宅は玄関の次がすぐ座敷になっているので、

(こうしのまえにたっていたわたくしのみみにそのいさかいのちょうしだけはほぼわかった。)

格子の前に立っていた私の耳にその言逆いの調子だけはほぼ分かった。

(そうしてそのうちのひとりがせんせいだということも、)

そうしてそのうちの一人が先生だという事も、

(ときどきたかまってくるおとこのほうのこえでわかった。)

時々高まって来る男の方の声で解った。

(あいてはせんせいよりもひくいおんなので、だれだかはっきりしなかったが、)

相手は先生よりも低い音なので、誰だか判然しなかったが、

(どうもおくさんらしくかんぜられた。ないているようでもあった。)

どうも奥さんらしく感ぜられた。泣いているようでもあった。

(わたくしはどうしたものだろうとおもってげんかんさきでまよったが、)

私はどうしたものだろうと思って玄関先で迷ったが、

(すぐけっしんをしてそのままげしゅくへかえった。)

すぐ決心をしてそのまま下宿へ帰った。

(みょうにふあんなこころもちがわたくしをおそってきた。)

妙に不安な心持が私を襲って来た。

(わたくしはしょもつをよんでものみこむのうりょくをうしなってしまった。)

私は書物を読んでも呑み込む能力を失ってしまった。

(やくいちじかんばかりするとせんせいがまどのしたへきてわたくしのなをよんだ。)

約一時間ばかりすると先生が窓の下へ来て私の名を呼んだ。

(わたくしはおどろいてまどをあけた。)

私は驚いて窓を開けた。

(せんせいはさんぽしようといって、したからわたくしをさそった。)

先生は散歩しようといって、下から私を誘った。

(さっきおびのあいだへくるんだままのとけいをだしてみると、もうはちじすぎであった。)

先刻帯の間へ包んだままの時計を出して見ると、もう八時過ぎであった。

(わたくしはかえったなりまだはかまをつけていた。)

私は帰ったなりまだ袴を着けていた。

(わたくしはそれなりすぐおもてへでた。)

私はそれなりすぐ表へ出た。

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