「こころ」1-43 夏目漱石
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問題文
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(しゃくやくもとつぼあまりいちめんにうえつけられていたが、まだきせつがこないので)
芍薬も十坪あまり一面に植え付けられていたが、まだ季節が来ないので
(はなをつけているのはいっぽんもなかった。)
花を着けているのは一本もなかった。
(このしゃくやくばたけのそばにあるふるびたえんだいのようなもののうえにせんせいはだいのじになりねた。)
この芍薬畠の傍にある古びた縁台のようなものの上に先生は大の字になり寝た。
(わたくしはそのあまったはじのほうにこしをおろしてたばこをふかした。)
私はその余った端の方に腰をおろして煙草を吹かした。
(せんせいはあおいすきとおるようなそらをみていた。)
先生は蒼い透き徹るような空を見ていた。
(わたくしはわたくしをつつむわかばのいろにこころをうばわれていた。)
私は私を包む若葉の色に心を奪われていた。
(そのわかばのいろをよくよくながめると、いちいちちがっていた。)
その若葉の色をよくよく眺めると、一々違っていた。
(おなじかえでのきでもおなじいろをえだにつけているものはひとつもなかった。)
同じ楓の樹でも同じ色を枝に着けているものは一つもなかった。
(ほそいすぎなえのいただきになげかぶせてあったせんせいのぼうしがかぜにふかれておちた。)
細い杉苗の頂に投げ被せてあった先生の帽子が風に吹かれて落ちた。
(わたくしはすぐそのぼうしをとりあげた。)
私はすぐその帽子を取り上げた。
(ところどころについているあかつちをつめではじきながらせんせいをよんだ。)
所々に着いている赤土を爪で弾きながら先生を呼んだ。
(「せんせいぼうしおちました」)
「先生帽子落ちました」
(「ありがとう」)
「ありがとう」
(からだをはんぶんおこしてそれをうけとったせんせいは、おきるともねるともかたづかない)
身体を半分起してそれを受け取った先生は、起きるとも寝るとも片付かない
(そのしせいのままで、へんなことをわたくしにきいた。)
その姿勢のままで、変な事を私に聞いた。
(「とつぜんだが、きみのうちにはざいさんがよっぽどあるんですか」)
「突然だが、君の家には財産がよっぽどあるんですか」
(「あるというほどありゃしません」)
「あるというほどありゃしません」
(「まあどのくらいあるのかね。しつれいのようだが」)
「まあどのくらいあるのかね。失礼のようだが」
(「どのくらいって、やまとでんぢがすこしあるぎりで、かねなんか)
「どのくらいって、山と田地が少しあるぎりで、金なんか
(まるでないんでしょう」)
まるでないんでしょう」
など
(せんせいがわたくしのいえのけいざいについて、といらしいといをかけたのは)
先生が私の家の経済について、問いらしい問いを掛けたのは
(これがはじめてであった。)
これが始めてであった。
(わたくしのほうはまだせんせいのくらしむきにかんして、なにもきいたことがなかった。)
私の方はまだ先生の暮し向きに関して、何も聞いた事がなかった。
(せんせいとしりあいになったはじめ、わたくしはせんせいがどうしてあそんでいられるかを)
先生と知り合いになった始め、私は先生がどうして遊んでいられるかを
(うたぐった。そのあともこのうたがいはたえずわたくしのむねをさらなかった。)
疑った。その後もこの疑いは絶えず私の胸を去らなかった。
(しかしわたくしはそんなあらわなもんだいをせんせいのまえにもちだすのを)
しかし私はそんな露骨な問題を先生の前に持ち出すのを
(ぶしつけとばかりおもっていつでもひかえていた。)
ぶしつけとばかり思っていつでも控えていた。
(わかばのいろでつかれためをやすませていたわたくしのこころは、ぐうぜんまたそのうたがいにふれた。)
若葉の色で疲れた眼を休ませていた私の心は、偶然またその疑いに触れた。
(「せんせいはどうなんです。どのくらいのざいさんをもっていらっしゃるんですか」)
「先生はどうなんです。どのくらいの財産をもっていらっしゃるんですか」
(「わたしはざいさんかとみえますか」)
「私は財産家と見えますか」