怖い話　ヤマノケ

(おれのどなりごえにおきたのかとおもってむすめにあやまろうとしたそのとき　むすめが)

俺の怒鳴り声に起きたのかと思って娘にあやまろうとしたその時、娘が

(はいれたはいれたはいれたはいれたはいれたってなんどもくりかえした)

「はいれたはいれたはいれたはいれたはいれた」って何度も繰り返した

(やばいとおもってえんじんをだめもとでかけてみるとまさかのうごいた)

やばいと思ってエンジンをダメ元でかけてみるとまさかの動いた

(これまでのじかんはなんだったのか　そんなことよりむすめはとなりでまだつぶやいている)

これまでの時間はなんだったのか、そんなことより娘は隣でまだつぶやいている

(くるまをとばした　むすめのつぶやきがはいれたはいれたからてんそうめつ)

車を飛ばした。娘のつぶやきが「はいれたはいれた」から「テン・ソウ・メツ」

(にいつのまにかかわってた　かおもむすめのかおじゃないみたいだった)

にいつの間にか変わってた。顔も娘の顔じゃないみたいだった

(いえにかえるにもむすめがこんなじょうたいじゃなとおもいめについたてらにかけこんだ)

家に帰るにも娘がこんな状態じゃなと思い目についた寺に駆け込んだ

(むすめをひきずりながらちゃいむをおした　じゅうしょくらしきひとがでてきてむすめをみるなり)

娘を引きずりながらチャイムを押した。住職らしき人が出てきて娘を見るなり

(おれにむかってなにをやったっていってきた　やまにはいってへんなやつを)

俺に向かって「何をやった！」って言ってきた。山に入って変な奴を

(みたことをいうとざんねんそうなかおをしてじゅうしょくがとまってけというので)

見たことを言うと残念そうな顔をして住職が泊まってけというので

(とめてもらうことにしたむすめはやまのけにつかれたらしく)

泊めてもらうことにした。娘は「ヤマノケ」に憑かれたらしく

(４９にちたってもこのじょうたいがつづくならいっしょうこのまましょうきにもどることはないらしい)

４９日経ってもこの状態が続くなら一生このまま正気に戻ることはないらしい

(じゅうしょくはそうならないようむすめをあずかってなんとかやまのけをおいだすどりょくはしてみる)

住職はそうならないよう娘を預かって何とかヤマノケを追い出す努力はしてみる

(といってくれた　つまにもおれとじゅうしょくからでんわしてなんとかしんじてもらった)

と言ってくれた。妻にも俺と住職から電話してなんとか信じてもらった

(じゅうしょくがいうにはあのままいえにかえっていたらつまにもやまのけがついていただろう)

住職が言うにはあのまま家に帰っていたら妻にもヤマノケが憑いていただろう

(やまのけはおんなにつくらしくかんぜんにやまのけをぬくまではつまもむすめにあえないらしい)

ヤマノケは女に憑くらしく完全にヤマノケを抜くまでは妻も娘に会えないらしい

(いっしゅうかんたったがむすめはまだじゅうしょくのとこにいる　まいにちようすをみにいってるが)

一週間たったが娘はまだ住職のとこにいる。毎日様子を見に行ってるが

(もうむすめじゃないみたいだ　にたにたわらってなんともいえないめつきで)

もう娘じゃないみたいだ。ニタニタ笑ってなんともいえない目つきで

(おれをみてくる　はやくもとのむすめにもどってほしい　あそびはんぶんでやまにはいくな)

俺を見てくる。早くもとの娘に戻って欲しい。遊び半分で山には行くな