師事
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問題文
(ぼくがどいなかからぼうちゅうきぼとしのだいがくににゅうがくしたとき。)
僕がド田舎から某中規模都市の大学に入学した時。
(とりあえずはいったさーくるにとんでもないひとがいた。)
とりあえず入ったサークルにとんでもない人がいた。
(だいがくじゅけんきにすとれすからかやたらかなしばりにあってて)
大学受験期にストレスからかやたら金縛りにあってて
(いろいろこわいめにあったことから、)
色々怖い目にあったことから、
(おかるとへのきょうみがたかまっていたじきで、そんなはなしをしているとあるせんぱいが)
オカルトへの興味が高まっていた時期で、そんな話をしているとある先輩が
(「きみぃ。いいよ」とのってきてくれた。)
「キミィ。いいよ」と乗ってきてくれた。
(そのせんぱいはいんせいでぶっきょうびじゅつをせんこうしているひとだった。)
その先輩は院生で仏教美術を専攻している人だった。
(すっかりいきとうごうしてしまい、けんがくにいったそのひのよる)
すっかり意気投合してしまい、見学にいったその日の夜
(どらいぶにつれていってもらった。)
ドライブに連れて行ってもらった。
(やしょくをたべにいこうといって、えらいとおくのふぁみれすまでつれていかれた。)
夜食を食べに行こうと言って、えらい遠くのファミレスまで連れていかれた。
(そこはこうがいのがすとで、「なんでここなんですか?」ってひょうじょうをしてたら)
そこは郊外のガストで、「なんでここなんですか?」って表情をしてたら
(せんぱいいわく「ここな、でるよ。おれのおきにいり」)
先輩曰く「ここな、出るよ。俺のお気に入り」
(ふぁみれすじたいはじめてのいなかもののぼくは、)
ファミレス自体始めての田舎者の僕は、
(それでさえきんちょうしてるのにでるってあんた。)
それでさえ緊張してるのに出るってアンタ。
(「おれがあいずしたらうつむけよ。あしだけならみえるはず」)
「俺が合図したら俯けよ。足だけなら見えるはず」
(そんなことをいわれてめしがうまいはずがない。)
そんなことを言われて飯が美味いはずがない。
(もさもさくってると、きゅうにみみなりが・・・・・・)
もさもさ食ってると、急に耳鳴りが・・・・・
(ひやあせがではじめて、てがとまるとせんぱいが「おい。うつむけよ」)
冷や汗が出始めて、手が止ると先輩が「オイ。俯けよ」
(あわてててーぶるにめをおとした。)
慌ててテーブルに目を落した。
(ぼくがうなずくと)
僕が頷くと
(しばらくじっとしてると、ていうかうごけないでいるとしせんのみぎはし、)
しばらくじっとしてると、ていうか動けないでいると視線の右端、
(てーぶるのすぐわきをしろいあしがすーっととおりすぎた。)
テーブルのすぐ脇を白い足がすーっと通りすぎた。
(いきなりかたをたたかれてわれにかえった。「みたか?」)
いきなり肩を叩かれて我に返った。「見たか?」
(りんぐのこうかいまえだったが、のちにみるとたかやまがまちでおんなの)
リングの公開前だったが、のちに見ると高山が街で女の
(あしをみるしーんがこれにそっくりだった。)
足を見るシーンがこれにそっくりだった。
(「いまのがてんいんのあしがひとりぶんおおいっていうこのがすとのかいだんのでどころ。)
「今のが店員の足が一人分多いっていうこのガストの怪談の出所。
(おれはまるまるみえるんだけどな。かおはみないほうがしあわせだ」)
俺はまるまる見えるんだけどな。顔は見ない方が幸せだ」
(なんなんだ、このひと。)
なんなんだ、この人。
(「はやくたべろ。おれきらわれてるから」)
「早く食べろ。俺嫌われてるから」
(おれもわりにゆうれいはみるほうなんだが、)
俺もわりに幽霊は見る方なんだが、
(こいつはとんでもないひとだとこのときじかくした。)
こいつはとんでもない人だとこの時自覚した。
(そのあとくうこうへむかうやまみちのなぞのきりだとか、)
そのあと空港へ向う山道の謎の霧だとか、
(せんぱいおきにいりのやまてらめぐりなどにつれまわされて、)
先輩お気に入りの山寺巡りなどに連れまわされて、
(いらいおれはそのせんぱいをししょうとあおぐことになった。)
以来俺はその先輩を師匠と仰ぐことになった。
(それはししょうのなぞのしっそうまでつづく。)
それは師匠の謎の失踪まで続く。