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師匠シリーズ
マイタイピングに師匠シリーズが沢山あったと思ったのですが、なくなってしまっていたので、作成しました。

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問題文

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(だれかよんだ?こねたでもはなすべぇか。)

だれか呼んだ?小ネタでも話すべぇか。

(だいがくいちねんのなつのはじめごろ、とうじおれのへやにはくーらーはおろか)

大学1年の夏の始めごろ、当時俺の部屋にはクーラーはおろか

(せんぷうきもなくてまいにちがじごくだった。そんなねったいやにあるひでんわがかかってきた。)

扇風機もなくて毎日が地獄だった。そんな熱帯夜にある日電話が掛かって来た。

(よなかのいちじくらいで、だれだこんなじかんに!ときれぎみででんわにでた。)

夜中の一時くらいで、誰だこんな時間に!と切れ気味で電話に出た。

(するとでんわぐちからはごぼごぼごぼ・・・というみずのようなおとがする。)

すると電話口からはゴボゴボゴボ・・・という水のような音がする。

(みずのなかでむりやりしゃべっているようなかんじだ。)

水の中で無理やりしゃべっているような感じだ。

(こんせんかなにかでこえがへんになっているのかとおもったが、)

混線かなにかで声が変になっているのかと思ったが、

(しゃべっているにしてはまがひらきすぎているようなきがする。かつじにしにくいが、)

喋っているにしては間が開きすぎているような気がする。活字にしにくいが、

(あえてかくなら、ごぼごぼ・・・ごぼ・・・しゅー・・・ごぼ・・・)

あえて書くなら、ゴボゴボ・・・ゴボ・・・シュー・・・・ゴボ・・・・

(しゅー・・・しゅー・・・ごぼ・・・ごぼり・・・いつもなら)

シュー・・・シュー・・・ゴボ・・・・ゴボリ・・・いつもなら

(ぞーっとするところだが、そのときはあつさでいらいらしていてあたまからゆげが)

ゾーっとするところだが、その時は暑さでイライラしていて頭から湯気が

(でていたので「うるせーな。だれじゃいこら」といってしまった。)

出ていたので「うるせーな。誰じゃいコラ」と言ってしまった。

(それでもでんわはつづき、ごぼごぼときほうのようなおとがていきてきにきこえた。)

それでも電話は続き、ゴボゴボと気泡のような音が定期的に聞こえた。

(おれもいじになって、「だれだだれだだれだだれだ」とくりかえしていたが)

俺も意地になって、「だれだだれだだれだだれだ」と繰り返していたが

(じゅっぷんぐらいたってもいっこうにきれるけはいがないので、)

10分ぐらい立っても一向に切れる気配がないので、

(いいかげんばからしくなってこっちからぶちきった。)

いいかげん馬鹿らしくなってこっちからぶち切った。

(それからさんかげつくらいたって、そんなことをすっかりわすれていたころに)

それから3ヶ月くらいたって、そんなことをすっかり忘れていたころに

(るすでんにあのごぼごぼごぼというおとがはいっていた。ろくおんじかんいっぱいに)

留守電にあのゴボゴボゴボという音が入っていた。録音時間いっぱいに

(ごぼ・・・ごぼ・・・しゅー・・・ごぼ・・・)

ゴボ・・・ゴボ・・・・シュー・・・・ゴボ・・・・

(きみがわるかったのでけそうかとおもったが、なんとなくゆうじんたちの)

気味が悪かったので消そうかと思ったが、なんとなく友人たちの

など

(いけんをききたくてのこしていた。)

意見を聞きたくて残していた。

(それでみっかくらいしてさーくるのせんぱいがあそびにくるというので、)

それで3日くらいしてサークルの先輩が遊びに来ると言うので、

(そのごぼごぼいがいのるすろくをぜんぶけしてまっていた。)

そのゴボゴボ以外の留守録を全部消して待っていた。

(せんぱいははいってくるなり、「すまん、このこーひーのんで」じはんきの)

先輩は入ってくるなり、「スマン、このコーヒー飲んで」自販機の

(かんこーひーをかってくるつもりが、なぜか「あったか~い」のほうを)

缶コーヒーを買ってくるつもりが、なぜか『あったか~い』の方を

(まちがえてかってしまったらしい。まだくがつでざんしょもきついころだ。)

間違えて買ってしまったらしい。まだ九月で残暑もきついころだ。

(しかしれいのるすでんをきかせると、せんぱいはほっとこーひーをにぎりしめて)

しかし例の留守電を聞かせると、先輩はホットコーヒーを握り締めて

(ふーふーいいながらのみはじめた。せんぱいはいようにれいかんがつよく、)

フーフー言いながら飲みはじめた。先輩は異様に霊感が強く、

(おれがししょうとあおぐひとなのだがそのひとががたがたふるえている。)

俺が師匠と仰ぐ人なのだがその人がガタガタ震えている。

(「もういっかいまわしましょうか?」とおれがでんわにちかづこうとすると)

「もう一回まわしましょうか?」と俺が電話に近づこうとすると

(「やめろ!」とすごまれた。「これ、みずのおとにきこえるのか?」)

「やめろ!」とすごまれた。「これ、水の音に聞こえるのか?」

(あおいかおをしてそうきかれた。「え?なにかきこえるんですか?」)

青い顔をしてそう聞かれた。「え?何か聞こえるんですか?」

(「いきりょうだ。まともきいてるとじゅみょうちぢむよ」「いまもきてる。くびが」)

「生霊だ。まとも聞いてると寿命縮むよ」「今も来てる。首が」

(おれにはこころあたりがあった。とうじおれはあるじょせいからすとーきんぐまがいのことを)

俺には心当たりがあった。当時俺はある女性からストーキングまがいのことを

(されていてあいてにしないでいるとよくすいみんやくをのんでしぬ、)

されていて相手にしないでいるとよく睡眠薬を飲んで死ぬ、

(みたいなことをいわれていた。「かおがみえるんですか?おんなじゃないですか?」)

みたいなことを言われていた。「顔が見えるんですか?女じゃないですか?」

(「そう。でもかおだけじゃない、くびも。まどからくびがのびてる」おれはぞっとした。)

「そう。でも顔だけじゃない、首も。窓から首が伸びてる」俺はぞっとした。

(いきりょうはねているあいだほんにんもしらないうちにくびがのびて、あいぞうつのるあいての)

生霊は寝ている間本人も知らない内に首がのびて、愛憎募る相手の

(もとへやってくるときいたことがあった。「な、なんとかしてください」)

元へやってくると聞いたことがあった。「な、なんとかしてください」

(おれがなきつくとせんぱいはにげだしそうなひきごしでそわそわしながら)

俺が泣きつくと先輩は逃げ出しそうな引き腰でそわそわしながら

(「とにかくあのでんわはかかってきてももうぜったいにきくな。)

「とにかくあの電話は掛かってきてももう絶対に聞くな。

(ほんにんがおきてるときにちゃんとはなしあうしかない」)

本人が起きてる時にちゃんと話しあうしかない」

(そこまでいっててんじょうあたりをみあげ、めをみはった。)

そこまで言って天井あたりを見あげ、目を見張った。

(「しかもただのねむりじゃない。これは・・・へたしたらこのまましぬぞ。)

「しかもただの眠りじゃない。これは・・・へたしたらこのまま死ぬぞ。

(みろよ、くびがちぎれそうだ」おれにはみえない。)

見ろよ、首がちぎれそうだ」俺には見えない。

(ひきとめたがせんぱいはかえってしまったので、おれはなくなく)

引きとめたが先輩は帰ってしまったので、俺は泣く泣く

(すとーきんぐおんなのいえにむかった。いこうのことはおかるとからいつだつするし、)

ストーキング女の家に向った。以降のことはオカルトから逸脱するし、

(はなしたくないのでかつあいするが、けっきょくおれはそれからまるにねんほど)

話したくないので割愛するが、結局俺はそれから丸二年ほど

(そのおんなにつきまとわれた。しょうじきごぼごぼでんわより、すいみんやくじさつみすいの)

その女につきまとわれた。正直ゴボゴボ電話より、睡眠薬自殺未遂の

(じっきょうちゅうけいされたときのでんわのほうがこわかった。)

実況中継された時の電話のほうが怖かった。

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