血 後篇-2-

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師匠シリーズ
マイタイピングに師匠シリーズが沢山あったと思ったのですが、なくなってまっていたので、作成しました。
順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 Shion 3300 D 3.3 97.4% 1189.7 4032 105 68 2024/10/04

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問題文

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(「きっとへんしんがんぼうがつよかったのよ。)

「きっと変身願望が強かったのよ。

(えいゆうのこどもだって、すきなものになりたいわ」)

英雄の子供だって、好きなものになりたいわ」

(「だからおまえも、きゅうけつきどらきゅらのまねごとでへんしんできるつもりか」)

「だからお前も、吸血鬼ドラキュラの真似事で変身できるつもりか」

(きょうすけさんはそういうと、いきなりまさききょうこのてからがらすびんをうばいとった。)

京介さんはそう言うと、いきなり間崎京子の手からガラス瓶を奪い取った。

(そしてふたをとると、ためらいもなくなかみをくちにながしこんだ。)

そして蓋を取ると、ためらいもなく中身を口に流し込んだ。

(あっけにとられるまさききょうこに、むせながらびんをなげかえす。)

あっけにとられる間崎京子に、むせながら瓶を投げ返す。

(「たかがちだ。すいぶんとてつぶんとへもぐろびんだ。こんなことでなにか)

「たかが血だ。水分と鉄分とヘモグロビンだ。こんなことで何か

(とくべつなにんげんになったつもりか。ならこれでわたしもおなじだ。おまえだけじゃない。)

特別な人間になったつもりか。ならこれで私も同じだ。お前だけじゃない。

(うらないなんていうめいもくでおどすようにどうきゅうせいからあつめなくったって、)

占いなんていう名目で脅すように同級生から集めなくったって、

(すっぽんでもかってきてそのちをのんでればいいんだ」)

すっぽんでも買って来てその血を飲んでればいいんだ」

(まくしたてるきょうすけさんに、まさききょうこはめんくらうどころかやがてめを)

まくしたてる京介さんに、間崎京子は面食らうどころかやがて目を

(かがやかせて、このうえないえがおをうかべる。「やっぱり、あなた、すばらしい」)

輝かせて、この上ない笑顔を浮かべる。「やっぱり、あなた、素晴らしい」

(そしてりょうてをきょうすけさんのほおのたかさにあげてちかよってこようとしたとき、)

そして両手を京介さんの頬の高さに上げて近寄って来ようとした時、

(「ぎゃー」という、つんざくようなひめいがあがった。)

「ギャー」という、つんざくような悲鳴があがった。

(ふりかえるとしめたはずのいりぐちのどあがひらき、すうにんのじょせいとが)

振り返ると閉めたはずの入り口のドアが開き、数人の女生徒が

(きょうふにひきつったかおでこっちをみている。くちもとのちをぬぐうきょうすけさんと)

恐怖に引き攣った顔でこっちを見ている。口元の血をぬぐう京介さんと

(めがあったなかのひとりが、くずれおちるようにたおれた。そしてぎゃーぎゃーと)

目が合った中の一人が、崩れ落ちるように倒れた。そしてギャーギャーと

(わめきながら、そのこをすうにんでかかえてころがるようににげていった。)

わめきながら、その子を数人で抱えて転がるように逃げていった。

(だいにりかしつにのこされたふたりは、かおをみあわせた。)

第二理科室に残された二人は、顔を見合わせた。

(やがてまさききょうこが、あーあ、となげやりなためいきをつくと)

やがて間崎京子が、あーあ、となげやりな溜息をつくと

など

(てーぶるのうえにこしをかける。「このあそびもこれでおしまい。)

テーブルの上に腰をかける。「この遊びもこれでおしまい。

(あなたのせいとはいわないわ。どうざいだしね」)

あなたのせいとは言わないわ。同罪だしね」

(わるびれもせず、くったくのないえがおでそういう。)

悪びれもせず、屈託のない笑顔でそう言う。

(きょうすけさんはこれからおこるだろうわずらわしいことにうんざりしたちょうしで、)

京介さんはこれから起こるだろう煩わしい事にうんざりした調子で、

(となりにならぶようにこしかける。)

隣りに並ぶように腰掛ける。

(「おまえといっしょにいるとろくなことになったためしがない」)

「おまえと一緒にいるとロクなことになったためしがない」

(「ええ、あなたはかんぜんにえんざいだしね」「わたしもちをのんだんだ。おまえとおなじだ」)

「ええ、あなたは完全に冤罪だしね」「私も血を飲んだんだ。おまえと同じだ」

(あら、というとうれしそうなかおをして、まさききょうこはかたをおとすきょうすけさんの)

あら、と言うと嬉しそうな顔をして、間崎京子は肩を落とす京介さんの

(みみもとにくちびるをよせてささやいた。あのちはわたしのちよ。)

耳元に唇を寄せて囁いた。あの血はわたしの血よ。

(それをきいたしゅんかん、きょうすけさんははいた。)

それを聞いた瞬間、京介さんは吐いた。

(おれはびどうだにせず、せいざのままでそのはなしをきいていた。「それでていがくですか」)

俺は微動だにせず、正座のままでその話を聞いていた。「それで停学ですか」

(きょうすけさんはうなずいて、からになったびーるかんをてーぶるにおく。だれもがちかづくなと)

京介さんは頷いて、空になったビール缶をテーブルに置く。誰もが近づくなと

(いったわけがわかるきがする。まさききょうこというおんなはやばすぎる。)

言ったわけがわかる気がする。間崎京子という女はやばすぎる。

(「こうこうそつぎょうしてからはつきあいがないけど、あいつはいまごろなににへんしんしてるかな」)

「高校卒業してからは付き合いがないけど、あいつは今頃何に変身してるかな」

(やばい。やばい。おれのしょうどうぶつてきちょっかんがそうつげる。)

やばい。ヤバイ。俺の小動物的直感がそう告げる。

(きょうすけさんがおもいでばなしのなかで、「まさききょうこ」のなまえをだすたびに)

京介さんが思い出話の中で、「間崎京子」の名前を出すたびに

(おれはびくびくしていた。ずっとみられていたかんかくをおもいだしてぞっとする。)

俺はビクビクしていた。ずっと見られていた感覚を思い出してゾッとする。

(ちかづきすぎた。そうおもう。おびえるおれにきょうすけさんは)

近づき過ぎた。そう思う。おびえる俺に京介さんは

(「ここはたぶんだいじょうぶ」といって、へやのすみをさす。)

「ここはたぶん大丈夫」と言って、部屋の隅を指す。

(みると、てっせいのきみょうなかたちのぶったいがしほうにおかれている。)

見ると、鉄製の奇妙な形の物体が四方に置かれている。

(「わりとつよいけっかい。のつもり。しゅってんはしょうあるべるつすのぐりもあ」なんだかよく)

「わりと強い結界。のつもり。出典は小アルベルツスのグリモア」なんだかよく

(わからないくろまじゅつようごらしきものがでてきた。「それに」といって、)

わからない黒魔術用語らしきものが出てきた。「それに」と言って、

(きょうすけさんはむなもとからぺんだんとのようなものをとりだした。)

京介さんは胸元からペンダントのようなものを取り出した。

(くびからかけているそれは、ぷれーとがたのしるばーあくせにみえた。)

首から掛けているそれは、プレート型のシルバーアクセに見えた。

(「おまもりですか」ときくと、ちょっとちがうかなぁという。「にほんのおまもりは)

「お守りですか」と聞くと、ちょっと違うかなぁと言う。「日本のお守りは

(どっちかというとあみゅれっと。これはたりすまんっていうんだ」)

どっちかというとアミュレット。これはタリスマンっていうんだ」

(せつめいをきくに、あみゅれっとはまさにおまもりのようにじゅどうてきなそうぐで、)

説明を聞くに、アミュレットはまさにお守りのように受動的な装具で、

(たりすまんはよりのうどうてきな、「もちぬしにちからをあたえる」ためのじゅぶつらしい。)

タリスマンはより能動的な、「持ち主に力を与える」ための呪物らしい。

(「これはげーてぃあのだびでのほし。もっともめじゃーでそしてもっともきょうりょくな)

「これはゲーティアのダビデの星。最もメジャーでそして最も強力な

(まよけ。ねんだいものだ。おまえはしかし、わたしたちのさーくるに)

魔除け。年代物だ。お前はしかし、私たちのサークルに

(かおだししてるわりにはぜんぜんちしきがないな。なにがもくてきできてるんだ。)

顔出してるわりには全然知識がないな。何が目的で来てるんだ。

(おっと、わたしいがいのにんげんがさわるとちからをうしなうようにせいべつしてあるから、さわるな」)

おっと、私以外の人間が触ると力を失うように聖別してあるから、触るな」

(みるとていれはしているようだが、ぷれーとのひょうめんにえがかれた)

見ると手入れはしているようだが、プレートの表面に描かれた

(こまかいずあんにはずいしょにさびがうき、かなりのふるいものであることがわかる。)

細かい図案には随所に錆が浮き、かなりの古いものであることがわかる。

(「ください。なんか、そういうのください」)

「ください。なんか、そういうのください」

(そうでもしないと、とてもぶじにいえまでかえれるじしんがない。)

そうでもしないと、とても無事に家まで帰れる自信がない。

(「しろうとにはつうはんのでじゅうぶんだろう。といいたいところだが、あいてがわるいからな」)

「素人には通販ので十分だろう。と言いたいところだが、相手が悪いからな」

(きょうすけさんはおしいれにあたまをつっこんで、しばしごそごそとさぐっていたが)

京介さんは押入れに頭を突っ込んで、しばしゴソゴソと探っていたが

(「あった」といって、びみょうにゆがんだぷれーとをだしてきた。)

「あった」と言って、微妙に歪んだプレートを出してきた。

(「とるえるのぐりもあのたりすまん。まあこれもまよけだ。かしてやる。)

「トルエルのグリモアのタリスマン。まあこれも魔除けだ。貸してやる。

(あげるんじゃないぞ。かなりきちょうなものだからな」なんでもいい。)

あげるんじゃないぞ。かなり貴重なものだからな」なんでもいい。

(ないよりましだ。おれはありがたくちょうだいしてさっそくくびからかけた。)

ないよりましだ。俺はありがたく頂戴してさっそく首から掛けた。

(「くろまじゅつずきなひとって、みんなこういうのもってるんですか」)

「黒魔術好きな人って、みんなこういうの持ってるんですか」

(「ひつようならもってるだろう。ひつようもないのにもってるしろうともおおいがな」)

「必要なら持ってるだろう。必要もないのに持ってる素人も多いがな」

(きょうこさんは、といいかけて、いいなおすかたちでさらにきいてみた。)

京子さんは、と言いかけて、言い直す形でさらに聞いてみた。

(「あのひとも、もってるんですかね」)

「あの人も、持ってるんですかね」

(「もってたよ。いまでももってるかはしらないけど」あいつのはべっかくだ。)

「持ってたよ。今でも持ってるかは知らないけど」あいつのは別格だ。

(きょうすけさんはしぜんとつばをのんで、いった。)

京介さんは自然と唾を飲んで、言った。

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