血 後日談

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師匠シリーズ
マイタイピングに師匠シリーズが沢山あったと思ったのですが、なくなってまっていたので、作成しました。

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問題文

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(だいがくいっかいせいのあき。)

大学1回生の秋。

(かりたままになっていたたりすまんをかえしにきょうすけさんのいえにいった。)

借りたままになっていたタリスマンを返しに京介さんの家に行った。

(「まだもってろよ」)

「まだ持ってろよ」

(というおもいもかけないしんけんなちょうしに、ありがたくごこういにしたがうことにする。)

という思いもかけない真剣な調子に、ありがたくご好意に従うことにする。

(「そういえば、ききましたよ」)

「そういえば、聞きましたよ」

(あいしゃのいんぷれっさをがーどれーるにひっかけたといううわさが)

愛車のインプレッサをガードレールに引っ掛けたという噂が

(おれのみみまでながれてきていた。きょうすけさんはぶすっとしてうなずくだけだった。)

俺の耳まで流れてきていた。京介さんはブスッとして頷くだけだった。

(「しょしんしゃまーくがむちゃなうんてんしてるからですよ」ばいくのうでには)

「初心者マークが無茶な運転してるからですよ」バイクの腕には

(じしんがあるらしいから、すぴーどをださないとものたりないのだろう。)

自信があるらしいから、スピードを出さないと物足りないのだろう。

(「でもどうしてきゅうにくるまのめんきょなんかとったんですか」)

「でもどうして急に車の免許なんか取ったんですか」

(ばいかーだったきょうすけさんだが、たんきしゅうちゅうこーすでいつのまにか)

バイカーだった京介さんだが、短期集中コースでいつのまにか

(くるまのめんきょをとり、ちゅうこのすぽーつかーなんかをろーんでこうにゅうしていた。)

車の免許を取り、中古のスポーツカーなんかをローンで購入していた。

(「あいつが、ばいくにのりはじめたのかもしれないな」)

「あいつが、バイクに乗り始めたのかも知れないな」

(ふしぎなこたえがかえされてきた。)

不思議な答えが返されてきた。

(あいつというのはまさききょうこのことだろうとさっしがついた。)

あいつというのは間崎京子のことだろうと察しがついた。

(だがどういうことだろう。)

だがどういうことだろう。

(「ふたごってさ、ほんにんがのぞもうがのぞむまいがおたがいがおたがいににてくるし、)

「双子ってさ、本人が望もうが望むまいがお互いがお互いに似てくるし、

(それがいっしょうつきまとうだろう。それがうんめいなら、しかたないけど。)

それが一生つきまとうだろう。それが運命なら、しかたないけど。

(ふたごでないにんげんが、あいてににてくることをおそれたらどうするとおもう」)

双子でない人間が、相手に似てくることを怖れたらどうすると思う」

(それはまさききょうこときょうすけさんのことらしい。)

それは間崎京子と京介さんのことらしい。

など

(「むかしからなんだ。あいつがちちおやをぱぱなんてよぶから、わたしはおやじと)

「昔からなんだ。あいつが父親をパパなんて呼ぶから、私はオヤジと

(よぶようになった。あいつがこかこーらをのむからわたしはぺぷし。)

呼ぶようになった。あいつがコカコーラを飲むから私はペプシ。

(わかってるんだ。そんなひょうめんてきなていこう、いみないとおもっていてもしぜんと)

わかってるんだ。そんな表面的な抵抗、意味ないと思っていても自然と

(からだがあいつとちがうこうどうをとる。ちがうって、ほんとにしまいなんていう)

体があいつと違う行動をとる。違うって、ホントに姉妹なんていう

(おちはない。とにかくいやなんだよ。なんていうかたましいのれべるで」)

オチはない。とにかく嫌なんだよ。なんていうか魂のレベルで」

(こうこうそつぎょうするころかみをきったのも、あいつがのばしはじめたからだ。)

高校卒業するころ髪を切ったのも、あいつが伸ばしはじめたからだ。

(しょーとかっとのあたまにてのひらをのせていった。「いまでもわかる」)

ショートカットの頭に手のひらを乗せて言った。「今でもわかる」

(なにかをしようとしていても、そのさきにあいつがいるときは、わかるんだ。)

なにかをしようとしていても、その先にあいつがいる時は、わかるんだ。

(はなれていてもおなじばしょがいたむというふたごのふしぎなかんかくとは、)

離れていても同じ場所が痛むという双子の不思議な感覚とは、

(ぎゃくのちからみたいだ。でもぎゃくってことは、けっきょくおなじってことだろう。)

逆の力みたいだ。でも逆ってことは、結局同じってことだろう。

(きょうすけさんはひとりごとのようにつぶやく。「へんなかおでみるな。おまえだってそうだろう」)

京介さんは独り言のように呟く。「変な顔で見るな。おまえだってそうだろう」

(ゆびをさされた。「さいきん、たいどがおうへいになってきたとおもってたら、)

指をさされた。「最近、態度が横柄になってきたと思ってたら、

(そういうことか」ひとりでなっとくしている。どういうことだろう。)

そういうことか」一人で納得している。どういうことだろう。

(「おまえ、いつからおれなんていうようになったんだ」)

「おまえ、いつから俺なんて言うようになったんだ」

(どくん、としんぞうがおおきなおとをたてたきがした。)

ドクン、と心臓が大きな音を立てた気がした。

(「あのへんたいが、ぼくなんていいだしたからだろう」そうだ。)

「あの変態が、僕なんて言い出したからだろう」そうだ。

(じぶんではきづいていなかったけれど。そうなのかもしれない。)

自分では気づいていなかったけれど。そうなのかも知れない。

(「おまえ、あのへんたいからははなれたほうがいいんじゃないか」いやなあせがでる。)

「おまえ、あの変態からは離れた方がいいんじゃないか」嫌な汗が出る。

(じっとだまっておれのかおをみている。)

じっと黙って俺の顔を見ている。

(「ま、いいけど。ようがないならもうかえれ。いまからふろにはいるんだ」)

「ま、いいけど。用がないならもう帰れ。今から風呂に入るんだ」

(おれはなんともいえないきぶんで、あしどりもおもくげんかんにむかおうとした。)

俺はなんとも言えない気分で、足取りも重く玄関に向かおうとした。

(ふとおもいついて、きになっていたことをくちにする。)

ふと思いついて、気になっていたことを口にする。

(「どうして「きょうすけ」なんていうはんどるねーむなんですか」)

「どうして『京介』なんていうハンドルネームなんですか」

(きくまでもないことかとおもっていた。)

聞くまでもないことかと思っていた。

(たぶんぜんぜんべくとるがちがうなまえにはできないのだろう。)

たぶん全然ベクトルが違う名前にはできないのだろう。

(きょうこときょうすけ。せいはんたいで、おなじもの。それをたましいがせんたくしてしまうのだ。)

京子と京介。正反対で、同じもの。それを魂が選択してしまうのだ。

(ところがきょうすけさんはかおのひょうじょうをひきつらせて、ぼそぼそといった。)

ところが京介さんは顔の表情をひきつらせて、ボソボソと言った。

(「ふぁんなんだ」しんじられないことに、それはてれているかおらしい。)

「ファンなんだ」信じられないことに、それは照れている顔らしい。

(え?とききかえすと、「ぼういの、ふぁんなんだ」)

え?と聞き返すと、「BOφWYの、ファンなんだ」

(おれはおもわずふいた。いや、なにもおかしくはない。)

俺は思わず吹いた。いや、なにもおかしくはない。

(いちばんしぜんなはんどるねーむのつけかただ。)

一番自然なハンドルネームの付け方だ。

(けれど、きょうすけさんはかおをひきつらせたままつけくわえる。)

けれど、京介さんは顔をひきつらせたまま付け加える。

(「びーずもすきなんだがな。「いなば」にしなかったのは・・・・・・」)

「B’zも好きなんだがな。『稲葉』にしなかったのは・・・・・・」

(やっぱりのーふぇいとなのかもしれない。)

やっぱりノー・フェイトなのかも知れない。

(そうつぶやき、そしてかえれとおれにてのひらをふるのだった。)

そう呟き、そして帰れと俺に手のひらを振るのだった。

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