黒い手-1-

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プレイ回数624難易度(5.0) 4605打 長文 長文モード推奨
師匠シリーズ
マイタイピングに師匠シリーズが沢山あったと思ったのですが、なくなってまっていたので、作成しました。
順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 zero 6046 A++ 6.1 98.0% 746.9 4610 94 84 2024/10/06
2 じゅん 3981 D++ 4.1 95.1% 1086.5 4558 232 84 2024/09/15
3 daifuku 3544 D+ 3.8 92.7% 1199.3 4611 360 84 2024/10/04
4 daifuku 3540 D+ 3.7 94.4% 1226.4 4612 270 84 2024/10/23

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問題文

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(そのうわさをはじめにきいたのは、ねっとじょうだったとおもう。)

その噂をはじめに聞いたのは、ネット上だったと思う。

(じもとけいのふぉーらむにでいりしていると、きょきょじつじつのうわさばなしを)

地元系のフォーラムに出入りしていると、虚々実々の噂話を

(たくさんあたまにたたきこまれる。どれもこれもくだらない。)

たくさん頭に叩きこまれる。どれもこれもくだらない。

(そのなかにうもれて、「くろいて」のうわさはあった。くろいてにであえたらねがいがかなう)

その中に埋もれて、「黒い手」の噂はあった。黒い手に出会えたら願いがかなう

(そのためにはくろいてをいっしゅうかんもっていないといけない)

そのためには黒い手を1週間持っていないといけない

(たとえどんなことがあっても「ばっかじゃないの」)

たとえどんなことがあっても「バッカじゃないの」

(じょうきのうわさをはなしたところの、あるひとのひょうである。)

上記の噂を話したところの、ある人の評である。

(おかるとどうのししょうにそんなあっさりいわれると、がっかりする。)

オカルト道の師匠にそんなあっさり言われると、がっかりする。

(「まあふこうのてがみのあしゅだな。どんなことがあっても、って)

「まあ不幸の手紙の亜種だな。どんなことがあっても、って

(ねんおししてるってことは、いっしゅうかんのあいだになにかおこりますよってことだろ」)

念押ししてるってことは、1週間のあいだになにか起こりますよってことだろ」

(ちぇーんめーるがはやりはじめたころだったが、)

チェーンメールが流行りはじめた頃だったが、

(「まるまるしないとふこうになる」というてんぷれーとなものとは)

「〇〇しないと不幸になる」というテンプレートなものとは

(すこしけいろがちがうきがしてぼくのいんしょうにのこっていたのだが、)

少し毛色が違う気がして僕の印象に残っていたのだが、

(ししょうはこういうのはあまりすきではないようだった。)

師匠はこういうのはあまり好きではないようだった。

(しかし、しばらくのあいだぼくのあたまのかたすみに「くろいて」というたんごが)

しかし、しばらくのあいだ僕の頭の片隅に「黒い手」という単語が

(こびりついていた。ありがちなちぇーんめーるといっせんをかくすのは、)

こびりついていた。ありがちなチェーンメールと一線を画すのは、

(そのすたーとけいきだ。「このめーるをよんだら」ではなく、)

そのスタート契機だ。「このメールを読んだら」ではなく、

(「くろいてにであえたら」)

「黒い手に出会えたら」

(つまり、はなしをきいたじてんできょうせいてきにるーるのじゅんしゅをもとめられるのではなく、)

つまり、話を聞いた時点で強制的にルールの遵守を求められるのではなく、

(けいきがべつにせっていされているのだ。こわがろうにも、そのけいきにあえない。)

契機が別に設定されているのだ。怖がろうにも、その契機に会えない。

など

(「くろいてにであえたら」ぼくはであいたかった。くろいてをてにいれた。)

「黒い手に出会えたら」僕は出会いたかった。黒い手を手に入れた。

(といういちぶんをあるすれっどでみたとき、ぼくのこころははやった。)

という一文をあるスレッドで見たとき、僕の心は逸った。

(ふだんはいかないへやにでいりしていたのは、「じもとのうわさ」を)

普段はいかない部屋に出入りしていたのは、「地元の噂」を

(かたるばしょだったから。「くろいて」のうわさをきけるかもしれないという)

語る場所だったから。「黒い手」の噂を聞けるかも知れないという

(かのうせいのためだ。まにあっくなおかるとけいふぉーらむに)

可能性のためだ。マニアックなオカルト系フォーラムに

(どっぷりひたっていたぼくには、すこしていどがひくすぎるきがして)

どっぷり浸っていた僕には、少し程度が低すぎる気がして

(けいえんしていたのだが・・・・・・「みせてみせて」)

敬遠していたのだが・・・・・・「見せて見せて」

(というれすがつき、しばらくして「いーよ」というへんじがあった。)

というレスがつき、しばらくして「いーよ」という返事があった。

(そのおんきょうというはんどるねーむのじんぶつは、なんどかおふかいを)

その音響というハンドルネームの人物は、何度かオフ会を

(しきってるようなこうどうはらしく、「じゃ、あしたのどようびにいつものとこで」)

仕切ってるような行動派らしく、「じゃ、明日の土曜日にいつものトコで」

(というかきこみで「くろいておふ」がけっていした。しんざんもののぼくは)

という書き込みで「黒い手オフ」が決定した。新参者の僕は

(あわててかころぐをよみかえし、いつものとこがしないのふぁみれすで)

慌てて過去ログを読み返し、いつものトコが市内のファミレスで

(あることをかくにんすると「はじめてですけどいってもいいですか」とかきこんだ。)

あることを確認すると「初めてですけど行ってもいいですか」と書き込んだ。

(とうじつは、まだこういうおふかいというものにあまり)

当日は、まだこういうオフ会というものにあまり

(なれていないせいもあってきんちょうした。)

慣れていないせいもあって緊張した。

(おくれてしまってだっしゅでてんないにはいると、めじるしだというくろけいのぼうしで)

遅れてしまってダッシュで店内に入ると、目印だという黒系の帽子で

(とういつされたいちだんがおくのすぺーすにじんどっていた。)

統一された一団が奥のスペースに陣取っていた。

(「ちーす」というあいさつに「すみません」とかえしてせきにつくと、)

「ちーす」という挨拶に「すみません」と返して席につくと、

(てーぶるのしゅういにいならぶめんめんにたいしてみょうなきまずさをかんじた。)

テーブルの周囲に居並ぶ面々に対して妙な気まずさを感じた。

(ねっとじょうのかきこみをみていたときからそうぞうはついていたが、やはりわかい。)

ネット上の書き込みを見ていた時から想像はついていたが、やはり若い。

(たぶんぜんいんちゅうがくせいからこうこうせいくらいだろう。ぼくもついこのあいだまで)

たぶん全員中学生から高校生くらいだろう。僕もついこのあいだまで

(こうこうせいだったとはいえ、いっこしたにこしたとなるとべつのいきもののようなきがする。)

高校生だったとはいえ、1コ下2コ下となると別の生き物のような気がする。

(せんぱいかぜをふかしたりというのはにがてなので、ここではとしうえだと)

先輩風を吹かしたりというのは苦手なので、ここでは年上だと

(ばれないようにしようとこころにきめた。「で、これなんだけど」)

バレないようにしようと心に決めた。「で、これなんだけど」

(そういってぜんしんくろできめた16,7とおぼしきおんなのこが、)

そう言って全身黒でキメた16,7と思しき女の子が、

(あしもとからはこのようなものをだしてきててーぶるにのせた。おおー。)

足元から箱のようなものを出してきてテーブルに乗せた。おおー。

(というこえがあがる。)

という声があがる。

(おんきょうというhnのそのこは、もったいぶりもせずてーぶるのまんなかまで)

音響というHNのその子は、もったいぶりもせずテーブルの真ん中まで

(はこをおしだした。「がっこのせんぱいにもらったんだけど、なんか、)

箱を押し出した。「ガッコの先輩にもらったんだけど、なんか、

(もってるだけでねがいがかなうってさ。だれかいらない?」え?くれるのかよ。)

持ってるだけで願いがかなうってさ。誰かいらない?」え?くれるのかよ。

(ほかのれんちゅうもかおをみまわしている。「くろいてって、ほんとにくろいの?みいらとか?」)

他の連中も顔を見回している。「黒い手って、ほんとに黒いの?ミイラとか?」

(かるいちょうしでなかのひとりがはこのふたをとろうとした。そのしゅんかん、ぼくのみぎどなりに)

軽い調子で中の一人が箱の蓋を取ろうとした。その瞬間、僕の右隣に

(すわっていたおもながのみつあみおんながそのてをすごいいきおいでつかんだ。)

座っていた面長の三つ編み女がその手を凄い勢いで掴んだ。

(「やめて。これやばいよ」しんけんなめでくびをふっている。)

「やめて。これヤバイよ」真剣な目で首を振っている。

(「ったいわね、なにまじになってんの」つかまれたてをふりほどいて)

「ッたいわね、なにマジになってんの」掴まれた手を振りほどいて

(にらみつけると、のりだしたからだをひっこめる。)

睨みつけると、乗り出した体を引っ込める。

(それからなんとなく、ちんもくがおとずれた。れいがとおった。)

それからなんとなく、沈黙が訪れた。霊が通った。

(だれかがつぶやいて、「えー、てんしがとおったっていわない?」というはんのうがあり、)

誰かが呟いて、「えー、天使が通ったって言わない?」という反応があり、

(しばらくはこからめをそむけるように「れいvsてんし」ろんそうがつづいたあと、)

しばらく箱から目をそむけるように「霊VS天使」論争が続いたあと、

(おんきょうがいった。「で、だれかいらない?」またしーんとする。)

音響が言った。「で、誰かいらない?」またシーンとする。

(こんなのがだいすきなれんちゅうがあつまっているはずなのに、)

こんなのが大好きな連中が集まっているはずなのに、

(なんだこのていたらくは。くろいてにであえたらねがいがかなう)

なんだこの体たらくは。黒い手に出会えたら願いがかなう

(そのためにはくろいてをいっしゅうかんもっていないといけない)

そのためには黒い手を1週間持っていないといけない

(たとえどんなことがあっても)

たとえどんなことがあっても

(このうわさのいみがわからないほどばかではないということか。)

この噂の意味がわからないほどバカではないということか。

(ただそれも、このうわさがほんものでかつこのはこのなかみがほんものだったらという)

ただそれも、この噂が本物でかつこの箱の中身が本物だったらという

(ぜんていじょうけんつきだ。こんじょうなしどもめ。ぼくはちがう。)

前提条件つきだ。根性なしどもめ。僕は違う。

(なぜやまにのぼるのかといえば、とうぜんそこにやまがあるからだった。)

なぜ山に登るのかといえば、当然そこに山があるからだった。

(「ぼくがもらっていいですか」ぜんいんがこっちをみて、それからおんきょうをみる。)

「僕がもらっていいですか」全員がこっちを見て、それから音響を見る。

(「いいよ。かっくいー。ちなみにはこごとね。あけたらだめらしいから」)

「いいよ。かっくいー。ちなみに箱ごとね。開けたら駄目らしいから」

(おんきょうはぼくのほうにはこをおしだし、にっとわらった。)

音響は僕の方に箱を押し出し、ニッと笑った。

(「いっしゅうかんもってないといけないんだって。でもけっこんゆびわでも)

「1週間持ってないといけないんだって。でも結婚指輪でも

(かってやればそんなにかかんないかもよ」)

買ってやればそんなにかかんないかもよ」

(そのあとはふつうのおふかいらしく、くだらなくてたいだでむいみなじかんを)

その後は普通のオフ会らしく、くだらなくて怠惰で無意味な時間を

(ふぁみれすですごした。だれもはこのことにはふれなかった。)

ファミレスで過ごした。誰も箱のことには触れなかった。

(それがもくてきできたれんちゅうのはずなのに。)

それが目的で来た連中のはずなのに。

(かいさんになったとき、はこをかかえてみせをでようとしたぼくに、)

解散になったとき、箱を抱えて店を出ようとした僕に、

(さっきのみつあみおんながすりよってきた。)

さっきの三つ編み女がすり寄ってきた。

(「ねえ、やめたほうがいいよ。それほんとやばいよ」なんだこのおんな。)

「ねえ、やめたほうがいいよ。それほんとやばいよ」なんだこの女。

(れいかんしょうじょきどりなのか。ひきぎみのぼくのみみもとにごういんにみみをよせてささやく。)

霊感少女きどりなのか。引き気味の僕の耳元に強引に耳を寄せてささやく。

(「わたし、ひとにゆびさされたらわかるんだよね。たとえみえてない)

「わたし、人に指差されたらわかるんだよね。たとえ見えてない

(うしろからでも。そんなかんかくたまにない?わたしのばあいいやなひとに)

後ろからでも。そんな感覚たまにない? わたしの場合嫌な人に

(ゆびさされたらそれだけいやなかんじがする。そんでさっきはこがでてきたとき)

指差されたらそれだけ嫌な感じがする。そんでさっき箱が出てきたとき

(はんぱなくぞわぞわきた。こんなかんじ、いままでもなかった」)

半端なくゾワゾワ来た。こんな感じ、今までもなかった」

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