『風ばか』豊島与志雄1

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問題文
(みなさんは、にんげんのからだはさゆうおなじだとおもっているでしょう。)
みなさんは、人間の体は左右同じだと思っているでしょう。
(みぎとひだりにそれぞれ、めがひとつ、みみがひとつ、はながはんぶん、くちがはんぶん、)
右と左にそれぞれ、目が一つ、耳が一つ、鼻が半分、口が半分、
(てがひとつ、あしがひとつ。まんなかからきってみると、さゆうおなじようにみえます。)
手が一つ、足が一つ。真ん中から切ってみると、左右同じように見えます。
(ところが、よくしらべてみると、ずいぶんちがっています。)
ところが、よく調べてみると、ずいぶん違っています。
(いくらかみさまでも、いきたにんげんのからだをさゆうおなじにつくることは、)
いくら神様でも、生きた人間の体を左右同じに作ることは、
(おできにならなかったのでしょう。)
お出来にならなかったのでしょう。
(じぶんのかおやひとのかおを、よくみてごらんなさい。)
自分の顔や人の顔を、よく見てごらんなさい。
(めでもみみでも、みぎとひだりでは、そのおおきさやかたちが、みなちがっています。)
目でも耳でも、右と左では、その大きさや形が、みな違っています。
(さゆうでおなじものは、けっしてありません。)
左右で同じものは、けっしてありません。
(てなんか、おおきさもながさもちがうし、ちからもちがいます。)
手なんか、大きさも長さも違うし、力も違います。
(ことに、むねのなかやはらのなかになると、さゆうはひどくちがっているものです。)
ことに、胸の中や腹の中になると、左右はひどく違っているものです。
(それですから、たとえば、めかくしをしてひろいところをあるいてごらんなさい。)
それですから、例えば、目かくしをして広い所を歩いてごらんなさい。
(けっしてまっすぐにあるけるものではありません。)
けっしてまっすぐに歩けるものではありません。
(しぜんに、みぎかひだりかにまがってしまいます。)
自然に、右か左かに曲がってしまいます。
(にんげんは、どんなにからだがりっぱであっても、みぎとひだりはつりあっていないのです。)
人間は、どんなに体が立派であっても、右と左はつりあっていないのです。
(そういうはなしをせんせいがなさいました。)
そういう話を先生がなさいました。
(たしかに、めでもみみでもよくみてみると、さゆうおなじかたちではありません。)
確かに、目でも耳でもよく見てみると、左右同じ形ではありません。
(おかしいな、とこどもたちはおもいました。)
おかしいな、と子供たちは思いました。
(ですが、いちばんおかしいのは、めかくしをしてまっすぐにあるけないことでした。)
ですが、一番おかしいのは、目かくしをしてまっすぐに歩けないことでした。
(じぶんでは、まっすぐにあるいているつもりでも、いつのまにかすこしずつ、)
自分では、まっすぐに歩いているつもりでも、いつのまにか少しずつ、
(みぎかひだりかへまがってしまいます。)
右か左かへ曲がってしまいます。
(「みんな、つりあっていない」「なに、そんなわけないだろう」)
「みんな、つりあっていない」「なに、そんなわけないだろう」
(「じゃあ、のはらにいってやってみよう」「ようし、みんなこいよ」)
「じゃあ、野原に行ってやってみよう」「ようし、みんな来いよ」
(ひろくてたいらなのはらでした。はるさきのことで、たいようがうららかにてっています。)
広くて平らな野原でした。春先のことで、太陽がうららかに照っています。
(しばがあおあおとのびています。ちょうがとんでいます。)
芝が青々と伸びています。蝶が飛んでいます。
(そらにはたかく、ひばりがないています。)
空には高く、ヒバリが鳴いています。
(みんなでじゃんけんをして、かったものがいちばんさきにはんかちでめかくしをして、)
みんなでジャンケンをして、勝った者が一番先にハンカチで目かくしをして、
(まっすぐにあるきだしました。ほかのものはたってみています。)
まっすぐに歩きだしました。ほかの者は立って見ています。
(めかくしをしたものは、まっすぐにあるいているつもりですが、)
目かくしをした者は、まっすぐに歩いているつもりですが、
(やがてみぎかひだりかにすこしずつまがっていきます。)
やがて右か左かに少しずつ曲がっていきます。
(それをみると、みんなはわっとはやしたてました。)
それを見ると、みんなはワッとはやしたてました。
(けれど、わらったものもみな、じぶんのばんになると、)
けれど、笑った者もみな、自分の番になると、
(やはりまっすぐにはあるけませんでした。)
やはりまっすぐには歩けませんでした。
(「こんどはぼくだ、みておいてよ」げんきよくそういって、)
「今度は僕だ、見ておいてよ」元気よくそう言って、
(まさちゃんというこどもが、めかくしをしてあるきだしました。)
マサちゃんという子供が、目かくしをして歩きだしました。
(ひろいのはらのなかです。おいちに、おいちにとちょうしをとって)
広い野原の中です。オイチニ、オイチニと調子をとって
(まっすぐにあるいていきます。とおくなるにつれてだんだんちいさく、)
まっすぐに歩いていきます。遠くなるにつれて段々小さく、
(ぼうしのしたにしろいはんかちでめかくしをしたそのうしろすがたが、)
帽子の下に白いハンカチで目かくしをしたそのうしろ姿が、
(まるでにんぎょうのようで、そしてふしぎにも、まっすぐにあるいていきます。)
まるで人形のようで、そして不思議にも、まっすぐに歩いていきます。
(だいぶいってから、くるりとむきなおってめかくしをとり、)
だいぶ行ってから、くるりと向きなおって目かくしを取り、
(「どうだい」といいました。みていたこどもたちは、はじめびっくりしたあと、)
「どうだい」と言いました。見ていた子供たちは、始めびっくりしたあと、
(そのごぼんやりして、それからきゅうにてをたたいてほめました。)
そのごぼんやりして、それから急に手を叩いて褒めました。
(まさちゃんはもどってきて、こういいました。)
マサちゃんは戻ってきて、こう言いました。
(「きみたちは、ただまっすぐにあるこうとばかりしているからだめだ。)
「君たちは、ただまっすぐに歩こうとばかりしているからだめだ。
(じぶんのくせをしって、れんしゅうしなくちゃいけないよ」)
自分のくせを知って、練習しなくちゃいけないよ」
(そこでみんなはまさちゃんにおそわって、まっすぐにあるくれんしゅうをしました。)
そこでみんなはマサちゃんに教わって、まっすぐに歩く練習をしました。
(まず、じぶんはさゆうにどのくらいまがるくせがあるか、それをたしかめて、)
まず、自分は左右にどのくらい曲がるくせがあるか、それを確かめて、
(それからめかくしをしたときは、それだけぎゃくにまがるきもちであるく。)
それから目かくしをした時は、それだけ逆に曲がる気持ちで歩く。
(ところが、それはじっさいにひどくむずかしくて、なかなかうまくいきませんでした。)
ところが、それは実際にひどく難しくて、なかなかうまくいきませんでした。