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プレイ回数724難易度(4.5) 4056打 長文
師匠シリーズ
マイタイピングに師匠シリーズが沢山あったと思ったのですが、なくなってまっていたので、作成しました。
順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 berry 6998 S++ 7.1 97.9% 559.4 4000 85 74 2024/09/12

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問題文

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(「あいつの、でしか」すごいちからだった。くろたにはおれをひきよせてささやく。)

「あいつの、弟子か」凄い力だった。黒谷は俺を引き寄せてささやく。

(ししょうはもうそとにでていて、いえのなかからではみえない。)

師匠はもう外に出ていて、家の中からでは見えない。

(「おれのことはきいたか」つかまれたうでのいたみにかおをしかめながら、うなずく。)

「オレのことは聞いたか」掴まれた腕の痛みに顔をしかめながら、頷く。

(「じゃあうらいのこともきいたか」まだぜんぶはきいてません。)

「じゃあ浦井のことも聞いたか」まだ全部は聞いてません。

(ようやくそういうと、やっとてをはなしてくれた。)

ようやくそう言うと、やっと手を離してくれた。

(くろたにはなにかかんがえごとをしているようにしせんをちゅうにさまよわせていたが、)

黒谷は何か考えごとをしているように視線を宙に彷徨わせていたが、

(にっとくちもとをゆがめると、「あのびでお、やばいぜ」といって)

ニッと口元を歪めると、「あのビデオ、やばいぜ」と言って

(”もういけ”とばかりにてをふった。)

"もう行け"とばかりに手を振った。

(つかまれたひじのうらがわがねつをもったようにいたむ。)

掴まれた肘の裏側が熱を持ったように痛む。

(おれはにげるようにくつをはいてそとへでた。そとではししょうがだれかにきづいたようすで、)

俺は逃げるように靴を履いて外へ出た。外では師匠が誰かに気づいた様子で、

(なにかをしゃべりながらほんどうのほうへあるいていこうとしていた。)

なにかを喋りながら本堂の方へ歩いていこうとしていた。

(おれはいえのとぐちをきにしながらあわててそれをおいかける。)

俺は家の戸口を気にしながら慌ててそれを追いかける。

(しせんのさきにしろいふくをきたしょうじょがうつった。ああ、さっきの、とおもう。)

視線の先に白い服を着た少女が映った。ああ、さっきの、と思う。

(げんかくではなかったようだ。ししょうは「あきちゃん」とよんでちかづいていった。)

幻覚ではなかったようだ。師匠は「アキちゃん」と呼んで近づいていった。

(ほんどうのしきだいのはしにこしかけてあしをぶらぶらとさせながら、)

本堂の式台の端に腰掛けて足をぶらぶらとさせながら、

(ししょうのよびかけにかるいえしゃくでこたえている。)

師匠の呼びかけに軽い会釈で応えている。

(ちゅうがくせいくらいにみえる、ほっそりとしたいろのしろいこだった。)

中学生くらいに見える、ほっそりとした色の白い子だった。

(ひさしぶりにあったようなあいさつをかわしたあと、)

久しぶりに会ったような挨拶を交わしたあと、

(ししょうは「こうこうにはあがれそうなのか」ときいた。)

師匠は「高校には上がれそうなのか」と聞いた。

(そういえばきょうはへいじつのはずだ。がっこうをやすんでいるのか。)

そういえば今日は平日のはずだ。学校を休んでいるのか。

など

(しょうじょははにかんでわらい、「たぶん、なんとか」とふうりんがなるようなこえでかえした。)

少女ははにかんで笑い、「たぶん、なんとか」と風鈴が鳴るような声で返した。

(そのあと、さんどうをひきかえすおれたちをみおくりながら、)

その後、参道を引き返す俺たちを見送りながら、

(かのじょはずっとおなじかっこうですわっていた。)

彼女はずっと同じ格好で座っていた。

(ふりかえるたび、しゅういのけしきよりちいさくなっていくようにみえた。)

振り返るたび、周囲の景色より小さくなっていくように見えた。

(かえりのくるまのなかでおれはしーとべるとをしめながらししょうにかおをむける。)

帰りの車の中で俺はシートベルトを締めながら師匠に顔を向ける。

(「あきちゃんていうんですね」)

「アキちゃんて言うんですね」

(「ああ。あきにうまれたからだと。あのおっさんのいもうとだよ。)

「ああ。秋に生まれたからだと。あのオッサンの妹だよ。

(からだがよわくてね。がっこうもやすみがちみたいだ」)

体が弱くてね。学校も休みがちみたいだ」

(ずいぶんとしのはなれたきょうだいだ。それよりあのがっしりしたたいかくの)

ずいぶん歳の離れた兄妹だ。それよりあのガッシリした体格の

(だんせいとのぎゃっぷがおおきい。)

男性とのギャップが大きい。

(「ちはつながってるのはほんとだよ、どっかからさらってきたわけじゃない。)

「血は繋がってるのはホントだよ、どっかから攫ってきたワケじゃない。

(それにあのおっさん、ああみえてまだぎりぎりにじゅうだいのはずだ」)

それにあのオッサン、ああ見えてまだギリギリ二十代のはずだ」

(ししょうはいみしんなくちょうでそういって、きゅうなやまみちをおりるために)

師匠は意味深な口調でそう言って、急な山道を降りるために

(ふっとぶれーきからぎあをおとしてえんじんぶれーきにきりかえた。)

フットブレーキからギアを落としてエンジンブレーキに切り替えた。

(「あのおっさんのはなしは、まあ、またいずれな」それより、こっちさ。)

「あのオッサンの話は、まあ、またいずれな」それより、こっちさ。

(そんなかおでししょうはかたわらのかみぶくろをなめるようにみるのだった。)

そんな顔で師匠は傍らの紙袋を舐めるように見るのだった。

(おたがいにごごはようじがあり、しんやれいじちかくになってまたごうりゅうした。)

お互いに午後は用事があり、深夜零時近くになってまた合流した。

(「よるのほうがふんいきがでるだろう」)

「夜の方が雰囲気が出るだろう」

(ししょうはそういって、まだみてないというびでおてーぷをかみぶくろからだしてみせた。)

師匠はそう言って、まだ見てないというビデオテープを紙袋から出して見せた。

(ししょうのあぱーとのたたみのうえで、いつものようにおれはあぐらをかいて)

師匠のアパートの畳の上で、いつものように俺は胡坐をかいて

(てれびのまえにすわった。かぐだかごみだかよくわからないこまごましたものを)

テレビの前に座った。家具だかゴミだかよくわからないこまごましたものを

(らんぼうにどけて、ししょうもよこにすわる。)

乱暴にどけて、師匠も横に座る。

(「ふるいてーぷみたいだからな。べーたとかいうおちじゃなくてよかった」)

「古いテープみたいだからな。ベータとかいうオチじゃなくて良かった」

(そんなことをいいながら、くろいびでおてーぷのかばーぶぶんをぱかぱかといじる。)

そんなことを言いながら、黒いビデオテープのカバー部分をパカパカといじる。

(どこにでもあるひゃくにじゅっぷんてーぷのようだ。たいとるしーるはない。)

どこにでもある百二十分テープのようだ。タイトルシールはない。

(「さて、たきあげくようきぼうのいっぴん、ごはいけん」)

「さて、焚き上げ供養希望の一品、ご拝見」

(かるいちょうしでししょうは、びでおでっきにてーぷをおしこむ。)

軽い調子で師匠は、ビデオデッキにテープを押し込む。

(「さいせい」のもじがうつりこみ、くろいがめんがすなあらしにかわった。)

「再生」の文字が映り込み、黒い画面が砂嵐に変わった。

(すこしどきどきしながらくいいるようにがめんをみていたが、)

少しドキドキしながら食い入るように画面を見ていたが、

(すなあらしはいっこうにおさまらない。)

砂嵐は一向におさまらない。

(もしかしてからのてーぷをつかまされたんじゃないかという)

もしかしてカラのテープを掴まされたんじゃないかという

(ぎねんがわきはじめたころ、ようやくがめんがかわった。えきのこうないのようだ。)

疑念が沸き始めたころ、ようやく画面が変わった。駅の構内のようだ。

(よるらしく、あかりのないところとののうたんがはっきりしている。)

夜らしく、明かりのないところとの濃淡がはっきりしている。

(ちいさなえきのようで、ひとかげもまばらなぷらっとほーむがうつったまま)

小さな駅のようで、人影もまばらなプラットホームが映ったまま

(かめらはうごかない。なにかのきろくびでおだろうか、とおもったしゅんかん、)

カメラは動かない。なにかの記録ビデオだろうか、と思った瞬間、

(がめんのみぎはしからあわいみどりいろのしゃつをきたわかいおとこがあらわれてむかいのほーむを)

画面の右端から淡い緑色のシャツを着た若い男が現れて向かいのホームを

(ながめながらなにごとかしゃべりはじめた。かおにはしろくのっぺりとしたかめん。)

眺めながら何ごとか喋り始めた。顔には白くのっぺりとした仮面。

(ことばのないようはよくわからない。ありばいがどうとかいうたんごがきこえたので、)

言葉の内容はよくわからない。アリバイがどうとかいう単語が聞こえたので、

(どうやらすいりげきをほーむびでおとしてさつえいしているようだ。)

どうやら推理劇をホームビデオとして撮影しているようだ。

(おとがあまりひろえてないし、たんたんとしたどくはくというすたいるでは、)

音があまり拾えてないし、淡々とした独白というスタイルでは、

(あまりできがよいとはおもえない。)

あまり出来が良いとは思えない。

(おれはこうこうせいかだいがくせいのがくえんさいでのはっぴょうようかな、とあたりをつけた。)

俺は高校生か大学生の学園祭での発表用かな、と当たりをつけた。

(あるいはそのれんしゅうだんかいのものかもしれない。)

あるいはその練習段階のものかも知れない。

(めのぶぶんにだけあながあいているしろいかめんもおどろおどろしいかんじはしない。)

目の部分にだけ穴が開いている白い仮面もおどろおどろしい感じはしない。

(ただかおをかくしているというだけにみえた。なぜかくしているのかはわからない。)

ただ顔を隠しているというだけに見えた。何故隠しているのかはわからない。

(れっしゃもはいってこず、こうないほうそうもながれないたんちょうなえいぞうをばっくに)

列車も入ってこず、構内放送も流れない単調な映像をバックに

(しろうとのえんぎがえんえんとつづき、このあといったいなにがおこるのかと)

素人の演技が延々と続き、このあと一体何が起こるのかと

(みがまえていたおれもだんだんとひょうしぬけしはじめた。)

身構えていた俺もだんだんと拍子抜けしはじめた。

(がめんがときどきゆれるので、すえおきではなくだれかがかめらまんをしているようだ。)

画面が時々揺れるので、据え置きではなく誰かがカメラマンをしているようだ。

(たったふたりでのさつえいだろうか?それともこのあとべつのとうじょうじんぶつが)

たった二人での撮影だろうか? それともこのあと別の登場人物が

(でるのだろうか、とおもっているといきなりえいぞうがとぎれた。)

出るのだろうか、と思っているといきなり映像が途切れた。

(またすなあらしだ。ししょうがはやおくりぼたんをおす。)

また砂嵐だ。師匠が早送りボタンを押す。

(しかしがめんはすなあらしがそのままつづいていた。)

しかし画面は砂嵐がそのまま続いていた。

(ていしぼたんをおして、まきもどしをはじめる。ししょうがくちをひらく。)

停止ボタンを押して、巻き戻しを始める。師匠が口を開く。

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