つちへとしずむカゲロウ

(どこかのとおくみかいのち)

どこかのとおく　みかいのち

(いとなみきずくほしのあおじゃしん)

いとなみきずくほしの　あおじゃしん

(だれかがみずをこぼしました)

だれかが　みずをこぼしました

(ようきさめやらぬなつのくれ)

ようきさめやらぬ　なつのくれ

(きえてひさしいひとのかげぼうし)

きえてひさしいひとの かげぼうし

(ひかりがからだをすりぬけて)

ひかりが　からだをすりぬけて

(とらえきれずいるので)

とらえきれずいるので

(おそらにてをのばそうとして)

おそらに　てをのばそうとして

(まぶたをやくひこうかした)

まぶたを　やくひ　こうかした

(とびらをたたくひばかりは)

とびらをたたく　ひばかりは

(なにかつたえようとさけんでる)

なにか　つたえようとさけんでる

(しずむあざやかなかんしょうと)

しずむ　あざやかなかんしょうと

(はなであしらったかみかざり)

はなであしらった かみかざり

(かぜはなくはくといきでいちまいえ)

かぜはなく　はくといきで　いちまいえ

(にじむさざなみ)

にじむ　さざなみ

(それはふかぎゃくのぶんきてん)

それは　ふかぎゃくのぶんきてん

(しらぬうちにふくろこうじにいる)

しらぬうちに　ふくろこうじにいる

(せいぶつがくてきなけいろいぞん)

せいぶつがくてきな　けいろいぞん

(もうもどれないかげろう)

もう　もどれない　カゲロウ

(いままでかこれからか)

いままでか　これからか

(じかんじくのずれてるうらせかい)

じかんじくのずれてる　うらせかい

(みなもにうつるあまたぼうごふく)

みなもにうつる　あまた　ぼうごふく

(かさをさすこどもたち)

かさをさす　こどもたち

(りょうのてがふるえちゃって)

りょうのてが　ふるえちゃって

(はしをぽとりおとしたよ)

はしを　ぽとり　おとしたよ

(おとなたちはめをさまさず)

おとなたちは　めをさまさず

(あとごふんといってひがくれる)

「あと5分」といって　ひがくれる

(しずむあざやかなかんしょうと)

しずむ　あざやかなかんしょうと

(はなであしらったかみかざり)

はなであしらった かみかざり

(かぜはなくはくといきでいちまいえ)

かぜはなく　はくといきで　いちまいえ

(にじむさざなみ)

にじむ　さざなみ

(それはふかぎゃくのぶんきてん)

それは　ふかぎゃくのぶんきてん

(しらぬうちにふくろこうじにいる)

しらぬうちに　ふくろこうじにいる

(せいぶつがくてきなけいろいぞん)

せいぶつがくてきな　けいろいぞん

(ゆらりうごめくかげろう)

ゆらり　うごめく　かげろう

(うすぐらくよどむあかり)

うすぐらく　よどむあかり

(らじおがしめすてんきよほう)

ラジオがしめす　てんきよほう

(あかみゆくへやにたちこんだ)

あかみゆくへやに　たちこんだ

(うわさをかたるひと)

うわさをかたる　ひと

(ようきさめやらぬなつのくれ)

ようきさめやらぬ　なつのくれ

(でんわをかたてにまいおりた)

でんわを　かたてにまいおりた

(すずをぬうながれぼし)

すずをぬう　ながれぼし

(かわくのどもとにせきこんで)

かわく　のどもとにせきこんで

(かれきにみずやれさびじょうろ)

かれきにみずやれ　さびじょうろ

(しもやけのようにあかいてをこする)

しもやけのように　あかい　てをこする

(ちぢむろうそく)

ちぢむ　ろうそく

(それはふかぎゃくのぶんきてん)

それは　ふかぎゃくのぶんきてん

(しらぬうちにふくろこうじにいる)

しらぬうちに　ふくろこうじにいる

(せいぶつがくてきなけいろいぞん)

せいぶつがくてきな　けいろいぞん

(もうもどれない)

もう　もどれない

(でもね)

でもね

(ねぇあおばなとながれもの)

ねぇ、あおばなとながれもの

(やけにきりがかるゆめをみる)

やけに　きりがかるゆめをみる

(みずをまくあるくあまたぼうごふく)

みずをまく　あるく　あまたぼうごふく

(こくしょくのかさ)

こくしょくの　かさ

(それはふかぎゃくのぶんきてん)

それは　ふかぎゃくのぶんきてん

(しらぬうちにふくろこうじにいた)

しらぬうちに　ふくろこうじにいた

(じょうてんのうみざんしょうのなか)

じょうてんのうみ　ざんしょうのなか

(つちへとしずむかげろう)

つちへとしずむカゲロウ