紫式部 源氏物語 若紫 10 與謝野晶子訳

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問題文

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(こちらへたいしゅつしてくることをよきしたよういがさだいじんけにできていた。しばらく)

こちらへ退出して来ることを予期した用意が左大臣家にできていた。しばらく

(いってみなかったげんじのめにうつくしいこのいえがさらにみがきあげられたきもした。)

行って見なかった源氏の目に美しいこの家がさらに磨き上げられた気もした。

(げんじのふじんはれいのとおりにほかのざしきへはいってしまってでてこようとしない。)

源氏の夫人は例のとおりにほかの座敷へはいってしまって出て来ようとしない。

(だいじんがいろいろとなだめてやっとげんじとどうせきさせた。えにかいたなにかのひめぎみと)

大臣がいろいろとなだめてやっと源氏と同席させた。絵にかいた何かの姫君と

(いうようにきれいにかざりたてられていて、みうごきすることもじゆうでないように)

いうようにきれいに飾り立てられていて、身動きすることも自由でないように

(きちんとしたつまであったから、げんじは、やまのふつかのはなしをするとすればすぐに)

きちんとした妻であったから、源氏は、山の二日の話をするとすればすぐに

(どうかんをひょうしてくれるようなひとであればじょうみがおぼえられるであろう、いつまでも)

同感を表してくれるような人であれば情味が覚えられるであろう、いつまでも

(たにんにたいするしゅうちとおなじものをみせて、どうせいのさいげつはかさなってもこのけいこうが)

他人に対する羞恥と同じものを見せて、同棲の歳月は重なってもこの傾向が

(ますますめだってくるばかりであるとおもうとくるしくて、 「ときどきはふつうの)

ますます目だってくるばかりであると思うと苦しくて、 「時々は普通の

(ふうふらしくしてください。ずいぶんびょうきでくるしんだのですから、どうだったかと)

夫婦らしくしてください。ずいぶん病気で苦しんだのですから、どうだったかと

(いうぐらいはとうてくだすっていいのに、あなたはとわない。いまはじめての)

いうぐらいは問うてくだすっていいのに、あなたは問わない。今はじめての

(ことではないがわたくしとしてはうらめしいことですよ」 といった。)

ことではないが私としては恨めしいことですよ」 と言った。

(「とわれないのはうらめしいものでしょうか」 こういってよこにげんじのほうをみた)

「問われないのは恨めしいものでしょうか」 こう言って横に源氏のほうを見た

(めつきははずかしそうで、そしてけだかいびがかおにそなわっていた。 「たまに)

目つきは恥ずかしそうで、そして気高い美が顔に備わっていた。 「たまに

(いってくださることがそれだ。なさけないじゃありませんか。とうていかぬ)

言ってくださることがそれだ。情けないじゃありませんか。訪うて行かぬ

(などというあいだがらは、わたくしたちのようなしんせいなふうふのあいだがらとはちがうのですよ。)

などという間柄は、私たちのような神聖な夫婦の間柄とは違うのですよ。

(そんなことといっしょにしていうものじゃありません。ときがたてばたつほど)

そんなことといっしょにして言うものじゃありません。時がたてばたつほど

(あなたはわたくしをろこつにけいべつするようになるから、こうすればあなたのこころもちが)

あなたは私を露骨に軽蔑するようになるから、こうすればあなたの心持ちが

(なおるか、そうしたらこうかがあるだろうかとわたくしはいろんなこころみを)

直るか、そうしたら効果があるだろうかと私はいろんな試みを

(しているのですよ。そうすればするほどあなたはよそよそしくなる。まあいい。)

しているのですよ。そうすればするほどあなたはよそよそしくなる。まあいい。

など

(ながいいのちさえあればよくわかってもらえるでしょう」 といってげんじは)

長い命さえあればよくわかってもらえるでしょう」 と言って源氏は

(しんしつのほうへはいったが、ふじんはそのままもとのざにいた。しゅうしんをうながしてみても)

寝室のほうへはいったが、夫人はそのままもとの座にいた。就寝を促してみても

(きかぬひとをおいて、たんそくをしながらげんじはまくらについていたというのも、ふじんを)

聞かぬ人を置いて、歎息をしながら源氏は枕についていたというのも、夫人を

(うごかすことにそうほねをおるきにはなれなかったのかもしれない。ただくたびれて)

動かすことにそう骨を折る気にはなれなかったのかもしれない。ただくたびれて

(ねむいというふうをみせながらもいろいろなものおもいをしていた。わかくさとそぼに)

眠いというふうを見せながらもいろいろな物思いをしていた。若草と祖母に

(うたわれていたひょうぶきょうのみやのしょうおうじょのとうじょうするみらいのぶたいがしきりにおもわれる。)

歌われていた兵部卿の宮の小王女の登場する未来の舞台がしきりに思われる。

(としのふつりあいからせんぽうのひとたちがじぶんのていぎをもんだいにしようとしなかったのも)

年の不つりあいから先方の人たちが自分の提議を問題にしようとしなかったのも

(どうりである。せんぽうがそうではせっきょくてきにでられない。しかしなんらかのしゅだんでじていへ)

道理である。先方がそうでは積極的に出られない。しかし何らかの手段で自邸へ

(いれて、あのあいらしいひとをものおもいのなぐさめにながめていたい。ひょうぶきょうのみやはじょうひんな)

入れて、あの愛らしい人を物思いの慰めにながめていたい。兵部卿の宮は上品な

(えんなおかおではあるがはなやかなうつくしさなどはおありにならないのに、どうして)

艶なお顔ではあるがはなやかな美しさなどはおありにならないのに、どうして

(おばぎみにそっくりなようにみえたのだろう、みやとふじつぼのみやとはおなじおきさきから)

叔母君にそっくりなように見えたのだろう、宮と藤壺の宮とは同じお后から

(おうまれになったからであろうか、などとかんがえるだけでもそのことこいびととの)

お生まれになったからであろうか、などと考えるだけでもその子と恋人との

(えんこのふかさがうれしくて、ぜひともじぶんのきぼうはじつげんさせないでは)

縁故の深さがうれしくて、ぜひとも自分の希望は実現させないでは

(ならないものであるとげんじはおもった。)

ならないものであると源氏は思った。

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