紫式部 源氏物語 松風 9 與謝野晶子訳(終)

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1 berry 8253 8.3 98.5% 334.9 2804 40 48 2025/05/11
2 omochi 8215 8.5 95.9% 330.0 2829 118 48 2025/05/22
3 HAKU 7859 8.0 97.4% 352.7 2845 73 48 2025/05/17
4 ヤス 7749 8.2 93.9% 342.1 2833 182 48 2025/05/15
5 りく 6540 S+ 6.7 97.5% 427.2 2865 71 48 2025/05/16

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問題文

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(にじょうのいんについたげんじはしばらくきゅうそくをしながらふじんにさがのはなしをした。)

二条の院に着いた源氏はしばらく休息をしながら夫人に嵯峨の話をした。

(「あなたとやくそくしたひがすぎたからわたくしはくるしみましたよ。みやびおどもが)

「あなたと約束した日が過ぎたから私は苦しみましたよ。風流男どもが

(あとをおってきてね、あまりとめるものだから)

あとを追って来てね、あまり留めるものだから

(それにひかれていたのですよ。つかれてしまった」)

それに引かれていたのですよ。疲れてしまった」

(といってげんじはしんしつへはいった。ふじんがきむずかしいふうに)

と言って源氏は寝室へはいった。夫人が気むずかしいふうに

(なっているのもきづかないようにげんじはあつかっていた。)

なっているのも気づかないように源氏は扱っていた。

(「ひかくにならないひとをきょうそうしゃででもあるようにかんがえたりなどすることも)

「比較にならない人を競争者ででもあるように考えたりなどすることも

(よくないことですよ。あなたはじぶんはじぶんであると)

よくないことですよ。あなたは自分は自分であると

(おもいあがっていればいいのですよ」 とげんじはおしえていた。)

思い上がっていればいいのですよ」 と源氏は教えていた。

(ひぐれまえにさんだいしようとしてでかけぎわに、げんじはかくすようにかみをもって)

日暮れ前に参内しようとして出かけぎわに、源氏は隠すように紙を持って

(てがみをかいているのはおおいへやるものらしかった。)

手紙を書いているのは大井へやるものらしかった。

(こまごまとかかれているようすがうかがわれるのであった。さむらいをよんで)

こまごまと書かれている様子がうかがわれるのであった。侍を呼んで

(こごえでささやきながらてがみをわたすげんじをにょうぼうたちはにくくおもった。)

小声でささやきながら手紙を渡す源氏を女房たちは憎く思った。

(そのばんはごしょでとのいもするはずであるが、ふじんのきげんの)

その晩は御所で宿直もするはずであるが、夫人の機嫌の

(なおっていなかったことをおもって、よはふけていたがげんじはふじんを)

直っていなかったことを思って、夜はふけていたが源氏は夫人を

(なだめるつもりでかえってくると、おおいのへんじをつかいがもってきた。)

なだめるつもりで帰って来ると、大井の返事を使いが持って来た。

(かくすこともできずにげんじはふじんのそばでそれをよんだ。)

隠すこともできずに源氏は夫人のそばでそれを読んだ。

(ふじんをふゆかいにするようなこともかいてなかったので、)

夫人を不愉快にするようなことも書いてなかったので、

(「これをやぶってあなたのてですててください。こまるからね、こんなものが)

「これを破ってあなたの手で捨ててください。困るからね、こんな物が

(ちらばっていたりすることはもうわたくしににあったことではないのだからね」)

散らばっていたりすることはもう私に似合ったことではないのだからね」

など

(とふじんのほうへそれをだしたげんじは、きょうそくによりかかりながら、)

と夫人のほうへそれを出した源氏は、脇息によりかかりながら、

(こころのうちではおおいのひめぎみがこいしくて、ひをながめて、ものもいわずに)

心のうちでは大井の姫君が恋しくて、灯をながめて、ものも言わずに

(じっとしていた。てがみはひろがったままであるが、)

じっとしていた。手紙はひろがったままであるが、

(にょおうがみようともしないのをみて、 「みないようにしていて、)

女王が見ようともしないのを見て、 「見ないようにしていて、

(めのどこかであなたはみているじゃありませんか」 とわらいながら)

目のどこかであなたは見ているじゃありませんか」 と笑いながら

(ふじんにいいかけたげんじのかおにはこぼれるようなあいきょうがあった。)

夫人に言いかけた源氏の顔にはこぼれるような愛嬌があった。

(ふじんのそばへよって、 「ほんとうはね、かわいいこをみてきたのですよ。)

夫人のそばへ寄って、 「ほんとうはね、かわいい子を見て来たのですよ。

(そんなひとをみるとやはりぜんしょうのえんのあさくないということが)

そんな人を見るとやはり前生の縁の浅くないということが

(おもわれたのですがね、とにかくこどものことはどうすればいいのだろう。)

思われたのですがね、とにかく子供のことはどうすればいいのだろう。

(こうぜんわたくしのこどもとしてあつかうこともせけんへはずかしいことだし、)

公然私の子供として扱うことも世間へ恥ずかしいことだし、

(わたくしはそれではんもんしています。いっしょにあなたもしんぱいしてください。)

私はそれで煩悶しています。いっしょにあなたも心配してください。

(どうしよう、あなたがそだててみませんか、みっつになっているのです。)

どうしよう、あなたが育ててみませんか、三つになっているのです。

(むじゃきなかわいいかおをしているものだから、どうもすてておけない)

無邪気なかわいい顔をしているものだから、どうも捨てておけない

(きがします。ちいさいうちにあなたのこにしてもらえば、こどものしょうらいを)

気がします。小さいうちにあなたの子にしてもらえば、子供の将来を

(あかるくしてやれるようにおもうのだが、しっけいだとおおもいにならなければ)

明るくしてやれるように思うのだが、失敬だとお思いにならなければ

(あなたのてではかまぎをさせてやってください」 とげんじはいうのであった。)

あなたの手で袴着をさせてやってください」 と源氏は言うのであった。

(「わたくしをいじわるなもののようにばかりきめておいでになって、)

「私を意地悪な者のようにばかり決めておいでになって、

(これまでからわたくしにはだいじなことをみなかくしていらっしゃるのですもの、)

これまでから私には大事なことを皆隠していらっしゃるのですもの、

(わたくしだけがあなたをしんらいしていることもあらためなければならないとこのごろは)

私だけがあなたを信頼していることも改めなければならないとこのごろは

(わたくしおもっています。けれどもわたくしはちいさいひめぎみのおあいてにはなれますよ。)

私思っています。けれども私は小さい姫君のお相手にはなれますよ。

(どんなにおかわいいでしょう、そのかたね」 といって、にょおうはすこしほほえんだ。)

どんなにおかわいいでしょう、その方ね」 と言って、女王は少し微笑んだ。

(ふじんはひじょうにこどもずきであったから、そのこをじぶんがもらって、)

夫人は非常に子供好きであったから、その子を自分がもらって、

(そのこをじぶんがだいて、だいじにそだててみたいとおもった。どうしよう、)

その子を自分が抱いて、大事に育ててみたいと思った。どうしよう、

(そうはいったもののここへつれてきたものであろうかと)

そうは言ったもののここへつれて来たものであろうかと

(げんじはまたはんもんした。 げんじがおおいのさんそうをおとなうことはこんなんであった。)

源氏はまた煩悶した。 源氏が大井の山荘を訪うことは困難であった。

(さがのみどうのねんぶつのひをまってはじめてでかけられるのであったから、)

嵯峨の御堂の念仏の日を待ってはじめて出かけられるのであったから、

(つきににどよりあいにいくひはないわけである。たなばたよりは)

月に二度より逢いに行く日はないわけである。七夕よりは

(みじかいきかんであってもおんなにとってはくるしいじゅうごにちがくりかえされていった。)

短い期間であっても女にとっては苦しい十五日が繰り返されていった。

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