盗まれた手紙 - 3

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エドガー・アラン・ポー 佐々木直次郎訳
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1 Neil 7816 8.2 95.2% 181.4 1492 74 31 2024/11/24

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問題文

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(「なるほど、そこで」とでゅぱんがわたしのほうをむいていった。)

「成程、そこで」とデュパンが私の方を向いて言った。

(「きみのいっているそのけんりょくなるものが)

「君の言っているその権力なるものが

(かんぜんにふるわれるわけがちゃんとわかったことになるんだね。)

完全に揮われる訳がちゃんと分かったことになるんだね。

(ぬすまれたひとがぬすんだひとをしっているということを、)

盗まれた人が盗んだ人を知っているということを、

(ぬすんだとうにんがしっている、ということが」)

盗んだ当人が知っている、ということが」

(「そうなんだ」とそうかんがこたえた。)

「そうなんだ」と総監が答えた。

(「それで、こうしてにぎられたせいりょくは、このすうかげつのあいだ、)

「それで、こうして握られた勢力は、この数カ月の間、

(せいじじょうのもくてきに、はなはだきけんなていどにまでりようされてきているんでね。)

政治上の目的に、甚だ危険な程度にまで利用されてきているんでね。

(ぬすまれたかたはごじぶんのてがみをとりもどすひつようを、)

盗まれた方はご自分の手紙を取り戻す必要を、

(ひごとにつうせつにかんじておられる。)

日毎に痛切に感じておられる。

(だが、これはむろんおおっぴらにやるわけにはゆかない。)

だが、これは無論大っぴらにやる訳にはゆかない。

(とうとうおもいあまって、ことをわたしにおまかせになったのです」)

とうとう思い余って、事を私にお任せになったのです」

(「なるほど、あなたいじょうにけんめいなやりてはのぞめないし、)

「成程、貴方以上に賢明なやり手は望めないし、

(そうぞうもされないですからな」とでゅぱんはもうもうとけむりのうずまくなかでいった。)

想像もされないですからな」とデュパンは濛々と煙の渦巻く中で言った。

(「おせじをいっちゃいけませんよ。)

「お世辞を言っちゃいけませんよ。

(しかし、まあ、そんなようなことかもしれないな」とそうかんはこたえた。)

しかし、まあ、そんなようなことかも知れないな」と総監は答えた。

(「あなたのおっしゃるとおり」とわたしがいった。)

「貴方の仰っしゃる通り」と私が言った。

(「そのてがみがまだだいじんのてにあることはあきらかですね。)

「その手紙がまだ大臣の手にあることは明らかですね。

(けんりょくをあたえるのは、てがみをなにかにつかうことではなくて、)

権力を与えるのは、手紙を何かに使うことではなくて、

(それをもっていることなんだから。)

それを持っていることなんだから。

など

(つかってしまえばけんりょくはなくなるわけだ」)

使ってしまえば権力はなくなる訳だ」

(「そのとおり」とg--はいった)

「その通り」とG--は言った。

(「で、そのかくしんのもとに、わたしはそうさをすすめたのです。)

「で、その確信の下に、私は捜査をすすめたのです。

(まずだいいちになすべきことは、だいじんのていをすっかりそうさくすることでした。)

まず第一になすべきことは、大臣の邸をすっかり捜索することでした。

(そして、そこでわたしのいちばんこまったのは、)

そして、そこでわたしのいちばん困ったのは、

(かれにしられないでそうさくしなければならんということでしたよ。)

彼に知られないで捜索しなければならんということでしたよ。

(なによりも、われわれのけいかくをかれにうたがわれるようになると、)

なによりも、我々の計画を彼に疑われるようになると、

(きけんがしょうずるかもしれないということを、わたしはけいこくされたんですから」)

危険が生ずるかもしれないということを、わたしは警告されたんですから」

(「ですが」とわたしはいった。)

「ですが」と私は言った。

(「そのようなちょうさは、あなたがたにはまったくおてのものでしょう。)

「そのような調査は、あなた方にはまったくお手のものでしょう。

(ぱりのけいさつはいままでにそんなことはなんどもやったことがあるんだから」)

パリの警察はいままでにそんなことは何度もやったことがあるんだから」

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