百人一首 No.51〜100

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投稿者投稿者三笠いいね0お気に入り登録
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(かくとだにえやはいぶきのさしもぐささしもしらじなもゆるおもいを)

かくとだに えやはいぶきの さしも草 さしも知らじな 燃ゆる思ひを

(あけぬればくれるるものとはしりながらなおうらめしきあさぼらけかな)

明けぬれば 暮るるものとは 知りながら なほ恨めしき 朝ぼらけかな

(なげきつつひとりねるよるのあくるまはいかにひさしきものとかはしる)

嘆きつつ 独り寝る夜の 明くる間は いかに久しき ものとかは知る

(わすれじのゆくすえまではかたければきょうをかぎりのいのちともがな)

忘れじの 行く末までは 難ければ 今日を限りの 命ともがな

(たきのおとはたえてひさしくなりぬれどなこそながれてなおきこえけれ)

滝の音は 絶えて久しく なりぬれど 名こそ流れて なほ聞こえけれ

(あらざらんこのよのほかのおもいでにいまひとたびのあうふこともがな)

あらざらむ この世の外の 思ひ出に 今一度の 逢ふこともがな

(めぐりあいてみしやそれともわかぬまにくもがくれにしよはのつきかな)

めぐり逢ひて 見しやそれとも わかぬ間に 雲隠れにし 夜半の月かな

(ありまやまいなのささはらかぜふきけばいでそよじんをわすれやはする)

有馬山 猪名の笹原 風吹けば いでそよ人を 忘れやはする

(やすらはでねなましものをさよふけてかたぶくまでのつきをみしかな)

やすらはで 寝なましものを さ夜更けて 傾くまでの 月を見しかな

(おおえやまいくののみちのとおければまだふみもみずあまのはしだて)

大江山 いく野の道の 遠ければ まだふみも見ず 天の橋立

(いにしえのならのみやこのやえざくらきょうここのえににおいぬるかな)

いにしえの ならのみやこの やえざくら けふここのえに においぬるかな

(よをこめてとりのそらねははかるともよにおおさかのせきはゆるさじ)

夜をこめて 鳥の空音は はかるとも よに逢坂の 関は許さじ

(うらみわびほさぬそでだにあるものをこいにくちなんなこそおしけれ)

恨みわび ほさぬ袖だに あるものを 恋に朽ちなむ 名こそ惜しけれ

(いまはただおもいたえなんとばかりをひとづてならでいうよしもがな)

いまはただ おもいたえなん とばかりを ひとづてならで いうよしもがな

(あさぼらけうじのかわぎりたえだえにあらはれわたるせぜのあじろき)

朝ぼらけ 宇治の川霧 たえだえに あらはれ渡る 瀬々の網代木

(もろともにあわれとおもへやまざくらはなよりほかにしるひともなし)

もろともに あはれと思へ 山桜 花より外に 知る人もなし

(はるのよるのゆめばかりなるたまくらにかいなくたたんなこそおしけれ)

春の夜の 夢ばかりなる 手枕に かひなく立たむ 名こそ惜しけれ

(こころにもあらでうきよにながらへばこいしかるべきやはんのつきかな)

心にも あらで憂き世に ながらへば 恋しかるべき 夜半の月かな

(あらしふくみむろのやまのもみじばはたつたのかわのにしきなりけり)

嵐吹く 三室の山の もみぢ葉は 龍田の川の 錦なりけり

(さびしさにやどをたちいでてながめむればいづこもおなじあきのゆうぐれ)

さびしさに 宿を立ち出でて 眺むれば いづこも同じ 秋の夕暮れ

など

(ゆうさればかどたのいなばおとずれてあしのまろやにあきかぜぞふく)

夕されば 門田の稲葉 おとづれて 芦のまろやに 秋風ぞ吹く

(おとにきくたかしのはまのあだなみはかけじやそでのぬれもこそすれ)

音に聞く 高師の浜の あだ波は かけじや袖の 濡れもこそすれ

(たかさごのおのえのさくらさきにけりとやまのかすみたたずもあらなん)

高砂の 尾の上の桜 咲きにけり 外山の霞 たたずもあらなむ

(うかりけるひとをはつせのやまおろしよはげしかれとはいのらぬものを)

うかりける 人を初瀬の 山おろしよ はげしかれとは 祈らぬものを

(ちぎりおきしさせもがつゆをいのちにてあわれことしのあきもいぬめり)

契りおきし させもが露を 命にて あはれ今年の 秋もいぬめり

(わたのはらこぎいでてみればひさかたのくもいにまごうおきつしらなみ)

わたの原 漕ぎ出でて見れば 久方の 雲居にまがふ 沖つ白波

(せをはやみいわにせかるるたきがわのわれてもすえにあわんとぞおもう)

瀬を早み 岩にせかるる 滝川の われても末に あはむとぞ思ふ

(あわじしまかようちどりのなくこえにいくよねざめぬすまのせきもり)

淡路島 通ふ千鳥の 鳴く声に 幾夜寝覚めぬ 須磨の関守

(あきかぜにたなびくくものたえまよりもれいづるつきのかげのさやけさ)

秋風に たなびく雲の 絶え間より もれ出づる月の 影のさやけさ

(ながからんこころもしらずくろかみのみだれてけさはものをこそおもえ)

長からむ 心も知らず 黒髪の 乱れてけさは 物をこそ思へ

(ほととぎすなきつるほうをながむればただありあけのつきぞのこれる)

ほととぎす 鳴きつる方を 眺むれば ただ有り明けの 月ぞ残れる

(おもいわびさてもいのちはあるものをうきにたへぬはなみだなりけり)

思ひわび さても命は あるものを 憂きにたへぬは 涙なりけり

(よのなかよみちこそなけれおもいいるやまのおくにもしかぞなくなる)

世の中よ 道こそなけれ 思ひ入る 山の奥にも 鹿ぞ鳴くなる

(ながらへばまたこのころやしのばれんうしとみしよぞいまはこいしき)

ながらへば またこの頃や 忍ばれむ 憂しと見し世ぞ 今は恋しき

(よもすがらものおもうころはあけやらでねやのひまさえつれなかりけり)

夜もすがら 物思ふ頃は 明けやらで 閏のひまさへ つれなかりけり

(なげけとてつきやはものをおもわするかこちがおなるわがなみだかな)

嘆けとて 月やは物を 思はする かこち顔なる わが涙かな

(むらさめのつゆもまだひぬまきのはにきりたちのぼるあきのゆうぐれ)

村雨の 露もまだ干ぬ 槇の葉に 霧立ちのぼる 秋の夕暮れ

(なにわえのあしのかりねのひとよゆえみをつくしてやこいわたるべき)

難波江の 芦のかりねの ひとよゆゑ みをつくしてや 恋ひわたるべき

(たまのおよたえなばたえねながらへばしのぶることのよわりもぞする)

玉の緒よ 絶えなば絶えね ながらへば 忍ぶることの 弱りもぞする

(みせばやなおじまのあまのそでだにもぬれにぞぬれしいろはへんはらず)

見せばやな 雄島の海人の 袖だにも 濡れにぞ濡れし 色は変はらず

(きりぎりすなくやしもよのさむしろにころもかたしきひとりかもねん)

きりぎりす 鳴くや霜夜の さむしろに 衣かたしき ひとりかも寝む

(わがそではしおいにみえぬおきのいしのひとこそしらねかわくまもなし)

わが袖は 潮干に見えぬ 沖の石の 人こそ知らね 乾く間もなし

(よのなかはつねにもがもななぎさこぐあまのおぶねのつなでかなしも)

世の中は 常にもがもな 渚漕ぐ 海人の小舟の 綱手かなしも

(みよしののやまのあきかぜさよふけてふるさとさむくころもうつなり)

み吉野の 山の秋風 さ夜更けて ふるさと寒く 衣打つなり

(おおけなくうきよのたみにおおうかなわれがたつそまにすみぞめのそで)

おほけなく うき世の民に 覆ふかな 我が立つ杣に 墨染の袖

(はなさそふあらしのにわのゆきならでふりゆくものはわがみなりけり)

花さそふ 嵐の庭の 雪ならで ふりゆくものは 我が身なりけり

(こぬひとをまつほのうらのゆうなぎにやくやもしおのみもこがれつつ)

来ぬ人を 松帆の浦の 夕凪に 焼くや藻塩の 身もこがれつつ

(かぜそよぐならのおがわのゆうぐれはみそぎぞなつのしるしなりける)

風そよぐ ならの小川の 夕暮れは みそぎぞ夏の しるしなりける

(ひともおしひともうらめしあじきなくよをおもうゆえにものおうみは)

人も惜し 人も恨めし あぢきなく 世を思ふ故に もの思ふ身は

(ももしきやふるきのきばのしのぶにもなおあまりあるむかしなりけり)

ももしきや 古き軒端の しのぶにも なほあまりある 昔なりけり

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