怪人二十面相21

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(ひだのおおいころもも、ところどころすりやぶれています。でも、さすがは)

ひだの多い衣も、ところどころすりやぶれています。でも、さすがは

(めいしょうのさく、そのえんまんにゅうわなおかおだちはいまにもわらいだすかとおもわれるばかり、)

名匠の作、その円満柔和なお顔だちは今にも笑いだすかと思われるばかり、

(いかなるあくにんも、このおすがたをはいしては、がっしょうしないではいられぬほどに)

いかなる悪人も、このお姿を拝しては、合掌しないではいられぬほどに

(みえます。)

みえます。

(さんにんのどろぼうは、さすがにきがひけるのか、ぶつぞうのにゅうわなおすがたを、)

三人の泥棒は、さすがに気がひけるのか、仏像の柔和なお姿を、

(よくもみないで、すぐさましごとにかかりました。)

よくも見ないで、すぐさま仕事にかかりました。

(「ぐずぐずしちゃいられねえ。おおいそぎだぜ。」)

「ぐずぐずしちゃいられねえ。大いそぎだぜ。」

(ひとりはもってきたうすぎたないぬののようなものをひろげますと、)

ひとりは持ってきたうすぎたない布のようなものをひろげますと、

(もうひとりのおとこが、そのはしをもって、ぶつぞうのがらすはこのそとを、ぐるぐると)

もうひとりの男が、そのはしを持って、仏像のガラス箱の外を、グルグルと

(まいていきます。たちまち、それとわからぬぬのづつみができあがって)

巻いていきます。たちまち、それとわからぬ布包みができあがって

(しまいました。)

しまいました。

(「ほら、いいか。よこにしたらこわれるぜ。よいしょ、よいしょ。」)

「ほら、いいか。横にしたらこわれるぜ。よいしょ、よいしょ。」

(ぼうじゃくぶじんのかけごえまでして、さんにんのやつはそのにもつを、おもてへはこびだします。)

傍若無人のかけ声までして、三人のやつはその荷物を、表へ運びだします。

(そうたろうしとこんどうろうじんは、それがとらっくのうえにつみこまれるまで、)

壮太郎氏と近藤老人は、それがトラックの上につみこまれるまで、

(さんにんのそばにつききって、みはっていました。ぶつぞうだけもちさられて、)

三人のそばにつききって、見はっていました。仏像だけ持ちさられて、

(そうじくんがもどってこないでは、なんにもならないからです。)

壮二君がもどってこないでは、なんにもならないからです。

(やがて、とらっくのえんじんが、そうぞうしくなりはじめ、くるまは)

やがて、トラックのエンジンが、そうぞうしくなりはじめ、車は

(いまにもしゅっぱつしそうになりました。)

今にも出発しそうになりました。

(「おい、そうじさんはどこにいるのだ。そうじさんをもどさないうちは、)

「おい、壮二さんはどこにいるのだ。壮二さんをもどさないうちは、

(このくるまをしゅっぱつさせないぞ。もし、むりにしゅっぱつすれば、すぐけいさつに)

この車を出発させないぞ。もし、むりに出発すれば、すぐ警察に

など

(しらせるぞ」)

知らせるぞ」

(こんどうろうじんは、もう、いっしょうけんめいでした。)

近藤老人は、もう、一生けんめいでした。

(「しんぱいするなってことよ。ほら、うしろをむいてごらん。ぼっちゃんは、)

「心配するなってことよ。ほら、うしろを向いてごらん。坊ちゃんは、

(もうちゃんとげんかんにおいでなさらあ。」)

もうちゃんと玄関においでなさらあ。」

(ふりむくと、なるほど、げんかんのでんとうのまえに、おおきいのとちいさいのと、)

ふりむくと、なるほど、玄関の電燈のまえに、大きいのと小さいのと、

(ふたつのくろいひとかげがみえます。)

二つの黒い人かげが見えます。

(そうたろうしとろうじんとが、それにきをとられているうちに、)

壮太郎氏と老人とが、それに気をとられているうちに、

(「あばよ・・・・・・。」)

「あばよ……。」

(とらっくは、もんぜんをはなれて、みるみるちいさくなっていきました。)

トラックは、門前をはなれて、みるみる小さくなっていきました。

(ふたりは、いそいでげんかんのひとかげのそばへひきかえしました。)

ふたりは、いそいで玄関の人かげのそばへひきかえしました。

(「おや、こいつらは、さっきからもんのところにいたおやこのこじきじゃないか。)

「おや、こいつらは、さっきから門のところにいた親子の乞食じゃないか。

(さては、いっぱいくらわされたかな。」)

さては、いっぱい食わされたかな。」

(いかにも、それはおやことみえるふたりのこじきでした。りょうにんとも、)

いかにも、それは親子と見えるふたりの乞食でした。両人とも、

(ぼろぼろのうすよごれたきものをきて、にしめたようなてぬぐいで)

ぼろぼろのうすよごれた着物を着て、にしめたような手ぬぐいで

(ほおかむりをしています。)

ほおかむりをしています。

(「おまえたちはなんだ。こんなところへはいってきてはこまるじゃないか。」)

「おまえたちはなんだ。こんなところへはいってきてはこまるじゃないか。」

(こんどうろうじんがしかりつけますと、おやのこじきがみょうなこえでわらいだしました。)

近藤老人がしかりつけますと、親の乞食がみょうな声で笑いだしました。

(「えへへへへへ、おやくそくでございますよ。」)

「エヘヘヘヘヘ、お約束でございますよ。」

(わけのわからぬことをいったかとおもうと、かれはやにわにはしりだしました。)

わけのわからぬことを言ったかと思うと、彼はやにわに走りだしました。

(まるでかぜのように、くらやみのなかを、もんのそとへとびさってしまいました。)

まるで風のように、暗やみの中を、門の外へとびさってしまいました。

(「おとうさま、ぼくですよ。」)

「おとうさま、ぼくですよ。」

(こんどはこどものこじきが、へんなことをいいだすではありませんか。)

こんどは子どもの乞食が、へんなことをいいだすではありませんか。

(そして、いきなり、ほおかむりをとり、ぼろぼろのきものをぬぎすてたのを)

そして、いきなり、ほおかむりをとり、ぼろぼろの着物をぬぎすてたのを

(みると、そのしたからあらわれたのは、みおぼえのあるがくせいふく、しろいかお。)

見ると、その下からあらわれたのは、見おぼえのある学生服、白い顔。

(こどもこじきこそ、ほかならぬそうじくんでした。)

子ども乞食こそ、ほかならぬ壮二君でした。

(「どうしたのだ、こんなきたないなりをして。」)

「どうしたのだ、こんなきたないなりをして。」

(はしばしが、なつかしいそうじくんのてをにぎりながらたずねました。)

羽柴氏が、なつかしい壮二君の手をにぎりながらたずねました。

(「なにかわけがあるのでしょう。にじゅうめんそうのやつが、)

「何かわけがあるのでしょう。二十面相のやつが、

(こんなきものをきせたんです。)

こんな着物を着せたんです。

(でも、いままでさるぐつわをはめられていて、)

でも、今までさるぐつわをはめられていて、

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